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とある日の4時間目の家庭科室。真央達は、家庭科の授業で、トートバッグを作っていた。
「ミシンの扱いには、気をつけて。間違えて、指縫わないようにね」
各班を周り、生徒の作業状況をチェックしながら、先生は、そんな注意をした。
「ひぎゃー。助けてー ミシンが!ミシンが」
「あーもう、なにやってんの真央!」
真央の悲鳴とミズキの怒鳴る声が、家庭科室に響く。
先生が、あわてて駆け寄ると、半泣きになった真央と、糸が絡まって、グシャグシャの作りかけのトートバッグを一瞥きして、嘆息した。
「ねぇ、長谷川さん何をやったらこうなるの?」
そういいながら、先生は、ミシンから布
を外す。
「すみません」
「まあ、怪我とかなかったからいいけど。気をつけてね。」
「はい」
真央は、泣きそうな気分で、糸をリッパーを使って布からとって改めて、縫い直しをする。
自分の作業が、一段落ついたミズキが、声をかけてきた。
「真央。僕が、教えた通りにやってみて」
「うん」
「ほら、出来たじゃん。なんで、落ち着いてやらないの?」
縫い終わった布を見ながらミズキは、呆れてる。
「 なんか、こういう作業苦手で」
「僕より、料理は、上手だよね?なんで、苦手なの?」
「裁縫は細かすぎて、イライラするの」
裁縫箱を片付けながら、真央は、言う。
「真央、言葉使い変えた?」
「うん。この前の言葉使いの事言われてからでも、慣れないから困るぞ」
教室へ戻ると渉が話しかけてくる。
「真央、さっきの叫び声すごかったぜ。
ひぎゃーって可愛かったけど」
「可愛いってなに!こっちは、ミシン暴走させちゃって大変だったんだよ。俺の叫び声聞いたんなら、飛んできても、いいじゃん」
「いやーごめん。俺も大変でそれどころじゃなかったし。ミズキが、いるなら大丈夫かと思って」
――まさか、泣きそうな真央を見たかったから。行きませんでした。なんて、言えないよ
一方、真央は、渉が変な事を考えてるとは、知らずに話しを続ける。
「大変だったんなら、仕方ないか。授業中だし、無意味にこれないよね」
上目遣いに、話す真央を見て、渉は、タジタジになる。
――無意識なんだろうけど、上目遣いで、話すなよ。つーか、言葉使い少し、変えただけなのに、可愛さパワーアップしてねえか?
「ねぇ、明らかに、渉くん。真央の無意識の行動に、困ってるよね?」
「多分な。真央の身長だと、どうしても上目遣いになるからな。可愛く見えるよな。」
「僕の前で、真央の事褒めるんだ?」
「別に、褒めてない。」
プーッと膨れ面になるミズキを健人は、宥めた。
少し、離れた場所で、二組のバカップルの会話を聞いていた未希と波奈。
「ねぇ、未希。あのバカップル共、抹殺してきていい?」
「波奈。笑いながら、恐い事言わないで。まぁ、少しウザイけど。」




