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真央は、熱を出してから二日後、元気に登校した。
「いやー心配させて、ごめんなさい。」
「本当に心配したよ。俺が見舞いに行こうとしたら、健人に止められるし」
「当たり前だ!真央が、死ぬかもって大騒ぎしてる奴を、見舞いに行かせられるか」
「……来なくて正解かも」
――ミズキに、甘えまくってたの渉に、見られたくなかったし
小さい子どもみたいに、甘え、あーして、こーしてと、ミズキに、おねだりしたのだ。ミズキは、ブツブツと文句言いながらも、結局やってくれたけど。
「そういや、ミズキは?」
「俺の風邪がうつって、今日は休み」
「そうか」
健人は、寂しそうに呟く。普段、あまり感情を表に出さない健人だが、ミズキの事となると、非常にわかりやすい。
今も、ミズキの事が心配でたまらないと、顔に書いてある。
「なあ、今日の放課後ミズキの見舞いに来てくれないかな?喜ぶと思う。まぁ別に来なくてもよかったのにとか、言いそうだけど」
真央の提案に、健人はパッと顔色を変えた。
――本当に、ミズキの事好きなんだなー。
普段より、考えてる事が、丸わかりだぜ。
「携帯にメールでも、送って様子確かめるだけのつもりだったけど、真央がそう言うなら、お言葉に甘えさせてもらうよ」
「いやー実は、そうしてもらえると、ありがたいんだ。昨日、ミズキ電話で、道春さん。ミズキのお父さんとケンカしちゃったみたいで、かなり、落ち込んでるんだよ。なんで、あんな事言っちゃたんだろうって」
「ようするに、俺に、ミズキを励まして欲しいと。そういうことだろ?」
「そうなのです。よろしくお願いします」
真央は、健人に頭をさげて、お願いした。
―――
放課後、真央は健人を連れて家に帰った。
「ただいま、母さん。いきなり、だけど、学校の友達連れてきた。ミズキの見舞いにきてくれた。高橋 健人くん。」
「いきなり、押し掛けて申し訳ありません。高橋健人と言います。ミズキさんのお見舞いに来ました。」
「あーみっくんの言ってた。ミズキちゃんのお付き合いしてるって男の子か。」
「えーと」
「母さん。いきなり、そんな事言ったら、困るだろ。健人が。ゴメン。うちの母さんちょっと、変わってるから」
「ああ」
真央は、健人を ミズキの部屋に連れていく。
「おーい。ミズキ健人が、見舞いに来たぞ」
真央の声に反応して、ミズキが、布団から顔をだした。
「健人くん。きてくれたんだ。」
予想に反して、嬉しそうな声をだす、ミズキにびっくりする健人。
「じゃーお邪魔虫は、消えるから。」
そう言って、真央は、ミズキの部屋から出ていくが、自室へは行かずに、こっそりと、二人の様子を覗き見する事にした。
「いや。びっくりしたよ。ミズキが、風邪で休むなんて、はじめてだろ」
「うん。まさか、僕も風邪ひくと、思わなくて。こんなに、大変だと思わなかったよ」
ミズキは、話しながら、体を起こそうとする。
「無茶すんな。」
と健人に止められる。
「んじゃ、このままで、ゴメン。」
ミズキは、健人の言う通りにする。
「思ったより、調子よさそうで、よかったよ」
「そう?まあ、食欲は、あるし熱も、下がって、明日には、学校行けそうなんだ。」
「そっか。よかった」
「 ……なんなんだよ。あのラブラブぶりは。砂吐きそうだぞ」
自分たちにも、負けないバカップルぶりに、真央は、呆れつつ、二人にばれぬように、そっとドアを閉めたのだった。




