18
10月半ばのある日の昼休憩。
いつものように、 真央が仲のいい女子と話していたら 、渉が呼んできた。
「真央さん、ちょっと いいですか?」
なぜ敬語だ。なんか重要なお願い事かな? 真央が思ってたら、波奈が声をかけてきた。その表情は、ニヤリとしてて、意地悪な笑顔だ。
「 真央 ダーリンが 呼んでるよ 」
「ダーリンって 、ごめん いってくる」
真央は クラスメイトの輪から離れて
渉のところにいく。いつの間にか、教室内にはいない。
渉は、廊下の一番端 人気のない場所にいた。
「なんだよ。こんなとこで 」
「いやー 教室だと、クラスの奴らがいて、落ちついて 話せねーから」
「あー なるほど。 で 用事は何?」
「 真央 今度の日曜 秋祭りに行かねえか?」
「 秋祭りって この近くの神社で 毎年やってるやつ?」
「 そう 」
「 行く ! 」
即答した真央に、渉は 拍子抜けする。
思わず、後ろにこけかけたくらいだ。
「 昨日、俺 散々 真央の事どう 誘おうか悩んだのに 即答かよ。」
「 だって 渉からの誘いだもん 断る理由ないし」
ニコニコしながら言う真央に、渉はつい意地悪をしてしまう。
「 そう言って、誰 からの誘いにも のるんじゃないよな?」
――はあ? 何言ってやがるんだよ!俺は、尻軽女じゃねーし。
渉のたった一言にちょっとムカツク気分なる真央。だけど、ここでへそを曲げるのも、しゃくだから、気分を落ち着かせる意味でも、きつめに言ってみる。
「 あのな、俺が そういう人間に見えるか?お前がいるのに 、なんで 他の男の誘いにのるかよ 」
――若干キレてるかな? ここで、へそを曲げれても、面倒だし。
「 ごめん 悪かったよ。お前は そんなじゃないよ」
「 そうだよ。わかればいいんだよわかれば」
「 はい 」
「もう この話は終わりな ところで、 日曜の事だけど」
切り替えの早い真央に、若干呆れつつも ご機嫌がナナメにならなくて良かったと渉は、思いつつ 答えた。
「ああ 10時に 校門で 待ち合わせは?」
「 いいよ。それで 」
二人の話が 終わったところで、予鈴がなったので 教室へ戻った。
―――
渉にとっては、やきもきする数日が 過ぎ日曜日 校門で真央を待ってると、息を切らして走ってくる真央の姿が見える。
「 わりぃ 待った?思ったより準備に時間がかかって」
「 そんなに待ってないし。真央さんなんですか その服。いつも キュロットかショートパンツのあなたが ワンピース着てらっしゃる」
「 なんで、敬語なんだ やっと 着る機会が あってよかったよ。このシャツワンピ 」
赤いチェック柄のシャツワンピの裾をつまやむ。
「 学校以外じゃスカートとか穿かないからなほとんど 変じゃないか?」
「 変じゃありません むしろ お似合いです」
「 だから なぜに 敬語なんだ。渉は、いつも通りだな。Tシャツにデニムのパンツ」
「 もっと 違う格好のが良かったかな」
「 いや、渉らしくていいんじゃねーか」
「 そりゃどーも じゃ行きますか」
「 うん」
2人は、学校から歩いて5分の所に 、秋祭りの会場の中島神社はある。
狭い住宅街の中を人が沢山歩いている。渉は、真央を見失わないか、心配だったが、歩く度にピョンピョン跳ねるツインテールのお陰で、見失う事は無かった。
「 渉 早く早く」
すっかり テンションあがりまくりの真央は、渉を急かす。
「 子どもじゃねーんだから そんなにはしゃぐなよ」
「だって 嬉しいんだよ 2人で 一緒に遊べるんだから」
本日も、幻の犬のしっぽ及びイヌミミをばたばたと、ふりまくっている真央のはしゃぎように渉は、嬉しく思いつつも、自分は気分を落ち着かせた。
「はしゃぎすぎて 迷子になったら大変だから手繋ごうな 人沢山いるから」
「 うん」
「さて どこから行く?」
「射的」
「ハイハイ 行きましょうか」
真央の手をひいて渉は、射的のお店を探した。
それから、射的にくじ わたあめにたこ焼きと買って歩く。
「買いすぎ 食べすぎ ちょっと休むか?」
「うん あっ あとでさ 神社の裏いかねーか?」
「いいけど、何かあるのか?」
「フッフ 秘密」
「えー 気になるだろ」
「あとで」
真央は、渉にしつこくきかれても あとでの一点張りだった。
「 こんなとこに紅葉があったのか 知らなかった。」
神社の裏には、かなり大きな紅葉の木があった。まだ、色づき始める前だからか、緑の葉っぱが多い。
「 今は、色づいてないけど もう少し したらまた、来ようぜ すっげー綺麗なんだ」
「 ああ、俺は、真央と一緒ならどこでも いいけど。」
「 あー うん そろそろ 帰ろ 寒くなる前に」
「 帰るか 」
渉の言ったセリフが、恥ずかし過ぎる真央は、真っ赤になった顔を、渉に、見られないように 下を向いたまま歩いた。




