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9月の終わりのよく晴れた日曜日。 中島中学では、体育祭が行われた。
ちなみに、中島中学は、一学年 4クラスある 1組と3組が、赤 組 、2組と4組が 白組と2つのチームにわけて 争われる。
真央達のクラスは、1年1組 なので、赤 組である。
プログラム最初の競技は、1年女子全員に
よる棒奪い。
グラウンドの真ん中に置かれた、長い2本の棒。 それらを挟むように、紅白4つのチームは、にらみ合いをしていた。
――法螺貝の音が聞こえそうだな。
真央は、そう思った。
パァンと、ピストルの音ともに、1組 17名の女子は、突進する。
このクラスの女子は、他のクラスより、運動部に所属してる娘が多いのと、ガタイ いや身長の高い娘が多いから、こういう時の迫力半端ないのよね。
「 うららあ、突撃 ー 」
「放すなよ。絶対ぃ」
一本の棒を奪いあうという単純かつ危険なこの競技は、普段は きゃっきゃ笑ってる女子生徒を獲物を狙うライオンへと変える。
棒を文字通り奪いあい。しまいには、髪をひっぱるわ 、ギャーギャー 相手をののしるわ、最早、女の戦場化とする。
「てめー 手放せや」
「 てめーこそ!」
「 邪魔なんだよ」
「 ウゼー、早く諦めろや!」
30秒間 終了のホイッスルがなるまで これが、続く。
「 よし、うちのクラスの勝ち 」
1組の女子の鬼気迫る勢いに、飲まれた 2組の女子が、最後の最後に、棒から手を放した為 1組の勝ちとなった。
同じく3組が勝ったので、 赤組に点数が、入った。
棒奪いの後、自分達のクラスに割り当てられたテントに戻ると 、渉が 預かっていた真央の水筒を渡してくる。
「サンキュー」
真央が、水筒からお茶を飲んでると、渉が、げんなりとした顔で話してくる。
「 凄かったな 女子 クラスマッチの時も思ったけど、こえーよ 女って」
「 確かに、俺も女子だけどさ。 あれが、何年かしたら、安売りとかに突撃するんだぜ。 俺もあーなんのかなって ちょっと 思った。」
「真央は、そうなるなよ。絶対に 」
「うん 。ならないように努力するよ」
多分なと 真央は、心の中で付け加えた。
そのあと、男子による台風の目 とクラス対抗リレーでも 赤組が勝った。
順調に午前中の競技は、進みお昼を挟んで、午後の競技 最初は、400メートル走からはじまった。
「真央ーいけー そのまま 」
グラウンドを走る真央に、未希と波奈が声援を送る。
ゴール直線 真央は、一気にスピードをあげると ぶっちぎり1位でゴールする。
「やったー」
未希と波奈は、大喜びする。
テントに、戻る途中 クラスメイトから声をかけられ 嬉しそうな真央は、 渉を発見するなり後ろから 、抱きつく。
「 渉!やったぜ 1位」
――真央さん、何かの嫌がらせですか?
そうやって、ぎゅうぎゅう抱きつかれると、大きなお胸が、惜しげもなく押し付けられるんです。十代男子には、ある意味拷問なんです。
渉は、理性を総動員させて、真央の体を離す。
「 真央 嬉しいのは わかるけどな うん。 あんまりひっつくのは、どうかと思うぞ」
渉の顔が少し赤い事と、視線を反らそうと必死になっているが、視線が自分の胸にいってる事から、察した真央は、弁解する。
「 ああ、ごめん。別に、変な意味じゃないぞ」
体育祭が終わるまで、2人が ギクシャクしてたのは、言うまでもなかった。




