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長谷川真央はTS娘!~妹の理不尽な理由から女子として転生した俺の物語~  作者: ねこた まこと
3章 真央の鯉?いや恋です。

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夏休みがはじまって、2週間たった、 8月の初め。 扇風機がまわる自室で、Tシャツ ショートパンツ姿の真央は、原稿用紙とにらめっこしてた。


「あーだめだ、書けねぇ なんで、 宿題に 読書感想文なんて、あるんだよ」


真央は、シャーペンを放り投げると、机に伏せため息をつく。


――もう、夏休みの宿題なんて、問題集とかプリントだけでよくね? 作文とか無くていいじゃん。


真央はしばらく、机の上に伏せた状態で、だらだらとしながら、そらが、爪で、原稿用紙引き裂いてくんないかな?もしくは、そらが、原稿用紙の上で、おしっこしてくんないかな、そしたら、感想文やんなくていいのにと、現実逃避をしていた。


いやいや真央さん。そらさんがいくらお猫様でも、元女子高生ですよ。原稿用紙を爪で引き裂いたり、ましてやおしっこなんてしませんから。まぁ現実問題、上記の理由で、世のお猫様が、原稿用紙を駄目にしたところで、別の原稿用紙買ってきて読書感想文書けよと、言われるのが落ちです。




「やるしかないか」


文句言ってても、終わるわけじゃなし。 真央は、気合いを入れ直して、シャーペンを手に取ると、読書感想文と格闘をはじめた。


書きはじめて2時間。 どうにか、書き終えたところで、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴る。

長谷川家の玄関は、インターホンがなくしかも、外を覗ける覗き穴もないので、ドアを開けて直接、 相手を確かめくては、いけない。 真央は、チェーンをかけたままドアを開ける。


「はーい どなた?」

「真央~助けてくれ~」


そこには、この世の終わりごとく、悲壮感たっぷりのオーラを出しまくってる渉がいた。


――何事だろう? ていうか、渉じゃなかったら、絶対近寄りたくないな。

いつぞやの自分の事を棚に放り投げて、真央は、そんな風に思う。


「 渉どうした? 幽霊みたいな顔して」

「宿題が 全然出来てないないんだよ」

「宿題? 何の教科が出来てないんだ?」

「 風景画と読書感想文以外 全部 」

「てことは、問題集とかプリント類かよ」


――ほとんどじゃねぇか。俺と逆じゃないか。



一応、元高校生だし、もともと、勉強嫌いではない真央は、問題集やプリント類は、苦もなく7月中にサクッと終わらせてる。ただ、風景画と読書感想文は、面倒だから、8月になっても、ほったらかしにしてた。



「 宿題しないと、兄貴に部活禁止を言い渡されて どーしよー」




渉の言い分を聞くには、吹奏楽部の練習に明け暮れて、肝心の宿題がほとんど 進まず、 兄である(ひろむ)に部活禁止を言い渡されらしい。


――仕方ねぇな。渉の為だ。一肌脱ぎますか。



「 俺、宿題 済んでるから、わかんねーとこ 教えてやるよ」


真央の一言に、渉の顔は、一気に明るくなり、しがみつき、懇願する。



「 真央様 仏様。お願いします」

「えーい!ひっつくな、暑苦しい。さっさと 上がれ 。早よ、宿題するぞ」


渉を引きずって 、自室へ向かう。

真央は、部屋の隅に立て掛けてる折り畳み式のテーブルを部屋の真ん中に置いて 、済ませた宿題を机の引き出しから出した。


「 さあ やるぞ どの教科からやる?」

「英語からお願いします。」



渉はそう言って、持ってきたリュックから、問題集を取り出す。

真央は、時々怒りながら渉の宿題をみていた。



―――



「 お前さあ、真面目にやれば出来るのに なんでしないの? 1日で、大分済んだじゃねぇか」



今日1日で、大分済んだ宿題をみて呆れた真央が言った。

渉は、異様なまでの集中力を発揮し、五教科の山のような問題集とプリント類ほとんど終わらせたのだ。


――こいつ、頭悪くないんだけど、こういう宿題とか、テスト勉強とか、コツコツやらないといけない物、真面目に取り組まねぇよな。面倒臭いだけかもしんないけど。


「やる気は、あるんだよ やる気は、ただ計画たてて 満足しちゃうんだよな」

「……わかるな それ テスト勉強とか そうだった。 直前になってあわてるんだよな 前は、よくやってた。」

「 でも、今はそんな事ならないようにしてるんだろ?」

「まあな、未希と波奈と遊ぶ約束とか、 部活とかあるし。やりたい事しようと思ったら 、その前にやるべき事やっとかなきゃいけねぇだろ」

「 耳が痛い話だな」

「 ちったあ、これに、こりて、今度から真面目に宿題しろよ」


真央は、ニヤニヤといじわるな笑顔で、言った。



「 気をつけます。」

「約束だぜ。 冬休みそんな事したら 許さないからな」

「はいはい 約束します。」



真央が差し出した小指に、渉は小指を絡ませる。幼い頃よくやったおまじないだ。



「 絶対 破ったらだめだからな」



真央は、自分の手で渉の手を包みこみ2、3回ブンブン降ってから離す。


「 はい、約束 守るおまじない完了」

「なんだよ、それ」


渉は苦笑してるが、真央は気にしない。


「いーじゃん これで、約束破れないだろ」

「まあな」


――あそこまでされちゃ、破れないよ。おまじない完了とかさ。まぁ真央との約束は死んでも、破れないけどな。


そらが見ていたなら、「アッツイわー。このくそ暑いのに、暑苦しいバカップルー」と、囃し立てるとこだが、そらは、真央の机の下で、半目で爆睡中だ。



渉が、済ませた宿題をリュックに入れてると、チラチラと壁の時計を見ながら、真央が訊いてきた。



「 もう、帰るだろ?」

「ああ」

「 どうした?」


もう少し、雰囲気大事にしてくれよ。

渉は、心の中でそう叫ぶ。

渉の心の叫びが、通じた訳じゃないだろうが、真央は 申し訳なさそうな顔だ。



「 あー本当は、一緒にいてえけど、そろそろ、母さん 用事終わらして帰ってくるから。母さんいたらさ、色々、面倒くさいからな」


真央は、頬をポリポリかきつつ言った。

あ~と、ため息のような声を出す渉。何度か会った真央の母親の奇想天外な性格を思い出すと、納得がいく。


「 そうか、じゃ帰るよ。また、メールする。」


渉は、くしゃりと真央の頭をなでて、玄関へ向かう。


「 ただいま、真央ちゃん 帰ったよー」



桃子の声が 聞こえる 2人はあわてて、挨拶を交わした。



「じゃあな」

「うん またな」




その日の夜。夕飯を食べながら、桃子から、帰ったあと 真央は、桃子にあれこれ訊かれて大変だった。


「ねー真央ちゃん橋田くんと何してたの?ねー」

「あーもー母さんうるさい !」


「あーん 真央ちゃんが冷たい」



桃子がマジ泣きしかけたので、真央は仕方なく、昼間の事を聞かせたのだった。




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