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ビミョーな空気が二人を包んで数分。
――何か言わなきゃな。
――何かしゃべってくんないかな
渉と真央の2人が、それぞれ思いはじめた時、無言にいたたまれなれなくなったらしい、渉が口を開いた。
「いきなり、告白 うれしいけど 」
渉は、一度言葉をきる。
――今、言うべきかなあ。いや、後で訊こう。そうしよ。
「けど?何?」
真央は焦れて言う。――振るならなら、早く振ってくりゃいいのに。そうすりゃ、気分が楽になるのに。
「とにかく、 放課後まで返事待ってくれ。頭冷やしたいしな それに、少し前から俺な お前に、訊きたい事も、あったんだ。 放課後 その時に告白の返事も含めて 話そう」
「うん、わかった」
真央は、渉がいつになく真剣な表情で 言ってきたので 、もやもやした気持ちだったものの、思わず了承してしまった。
「 放課後、体育館の裏で、待てってくれ
いいな?」
「うん」
そのあとは、何もなかったように保健室へいき 真央の膝の手当てを済まして クラスメイトの元へ戻った。
―――
放課後、真央は、未希と波奈の誘いを断り、体育館の裏に向かう。
「訊きたい事って なんだろ?」
真央は、あれこれと考えたけど、思い浮かばない 。あるとしたら、一部の人間を除いて秘密にしてる、特殊すぎる自分の事情くらいしか思い浮かばない。
「悪い 待ったか?」
「 いや、そんなに待ってないしで、俺に訊きたいことってなんだよ。」
真央から切り出すと不意をつかれた、渉は、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしてる。そして、苦笑しながら、言った。
「俺から言うべきなんだけど、まあいいか。回りくどいの嫌いだから、単刀直入に言う。3月に、高校生の兄妹が、トラックにひかれた事故あったよな、お前、亡くなった高校生は、親戚だって言ってたし 、桃子さんも、身寄りのないお前を養子にしたと言ってた。 でもよ、親戚の子を養子にしたってのは、わかる。だけどよ、名前が一緒なのは偶然か? 亡くなった高校生 男の方も 真央って名前だった。図書館で、新聞探して確認したからな」
――信じてくれるかどうか、一か八かだけど、話してみるか。渉の反応が恐いけど。
真央は、腹をくくって切り出した。
「あのな、今からとんでもない話するけど、全部真実だ。」
真央は、事故に遭ってからの事をざっくばらんに話す。
渉の反応は恐いけど、目を反らしたら、逃げてるみたいで、嫌だったから、渉の目をしっかり見据えて話した。
「という訳で、この体なの。」
真央は、渉の顔を見る。渉は、真央が話し始めた時から、無表情だ。いつも、怒ったり、笑ったりして、表情豊かな渉なので、正直今、何考えてるのか、さっぱりわからない。
――普通は、こんな話 信じないよな。
真央がそんな風に、考えていたら、渉が、質問してきた。
「他に知ってるやついるのか?」
「未希と波奈 未希の兄貴は、俺が、男だった時の友達なんだよ。未希は、そいつ 通じて知ってるんだよ。」
真央は、説明する。
「未希と波奈いなかったら、普通に、中学生生活送れてないよ。」
言って真央は、心の中で付け加える。
流石に猫のそらが 、実は、妹のそらで、しかも、しゃべれる猫に、生まれ変わった事は、2人供知らないけど。
渉は、不意に真央の肩を抱く。
「じゃ、問題ねーな いきなり告白の返事。俺も好きです」
言って真央を抱きしめる。いきなりの行動に、真央は全身が熱くなった。
――少女漫画かドラマかってんだよ。中1の癖に、よく小っ恥ずかしい事が出来るんだよ?
真央が、そんな風に、考えているとは、知らない渉は、話を続けた。
「お前が、心配するから言うけど。別に、お前が元男とか、関係ねぇからな。長谷川真央全部が、好きなんだからな」
「うわー、よく恥ずかしいセリフ 、言えるなお前」
「お前なぁ。人が、格好よくきめたのに、壊すなよムード」
壊すなよって言われてもな。無理だっつうの! 素直に恥ずかしいって言ってみるか。
「だって、恥ずかしいんだよ」
真央は、真っ赤にした顔を背けながら、言ってみた。
「まあ、いいけど。真央らしくて」
渉は、嘆息しながら、帰ろうぜと言って、真央の手を引っ張る。
恥ずかしいからやめろ!と叫びたい真央だったが、そこはぐっとこらえ、されるがままに、渉の手を握ったまま帰ったのだった。
自分で書いといてなんですが、かなり恥ずかしいです。




