【200文字小説】 小説「檸檬」と冗談
きみが檸檬を買ってきた。
「これに爆弾をしかけて、本屋さんに置いてきましょうよ」
にっこりと可愛らしく微笑みながら、きみは檸檬に頬ずりした。
僕は冗談だと思って
「おお、良いんじゃないかい。小説家のきみにはぴったりじゃないか?」
と言った。
そうきみは、煌めく様な青春を瑞々しく書くことで人気の小説家。僕は、きみの最初のファンにして夫。
「フフ。じゃあ行ってきます」
数日後。
きみを亡くした僕は、取り調べられていた。
「檸檬」という小説のあらすじを聞いて、「これが本当に爆弾だったらどうなるかな」と思って書きました。