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口減らしされた少年の生存戦線  作者: 抹茶スライム
第一章 禁忌の森
1/16

プロローグ

誤字脱字があるかも知れません。

勢いで書いたので、終わりを考えてません。

よろしくお願いします。

 俺は朝日を顔に浴びて、眩しくて目を覚ます。

 寝起き特有の気だるさから徐々に解放されれば、視界は安定された。

 

 スーっと大きく息を吸った。

 起きる為の力を入れるためだ。

 

 すると、吸った空気から感じたのは、草と土の香り。

 

 違和感を覚えながらも、手に力を込めて起き上がろうとする。

 すると、手に柔らかいくも、ジャリジャリとした異物が触れた感触がした。

 

 流石にこの違和感に耐えきれず、手元を見た。

 

 俺の手は茶色い土のような付着物が―…ってこれ土だ。

 

 四つん這いの状態で辺りを見渡すと、視界いっぱいに広がるのは自然。

 高く聳え立つ木、膝辺りまで延びた草……。

 

 ――目が覚めたらそこは森でした。

 

 

 いやいやいや!

 俺は間違いなく、昨日はいつもの狩りを終えて、家に着いて、ベッドで寝ていたハズ…。

 

 なのに、起きたら森に居た。

 

 一応、常に携帯していた父親の形見の銀色に輝くミスリルソードと、母親の形見の《夜目のネックレス》は無事だった。

 これらを持っていたことは不幸中の幸いだ。

 

 …しかし、現状に頭がどうにかなりそうだ。

 俺に何が起きた?

 流石に寝ながら勝手に一人で見知らぬ森へ出歩くなんてのはおかしい。

 

 例えば、誰かに連れていかれれば、可能性は…。

 

 俺はそこまで考えて、とある記憶が思い出された。

 

 それは、昨日の夜。俺が家で寝ていた時の事。

 俺は家に入ってきた侵入者に気付き、寝たふりをしていたんだ。

 

 その時の会話が確かこうだった。

 

―――

 

 「…レイ君。悪いけど、これも村の為なんだ…。許してくれ…」

 

 これは村長の声に似ていたから、きっと村長だろう。

 確か俺はそこで起きようとしたんだ。だけど、それは無理だった。

 

 

 「“   ”!」

 

 次いで聞こえてきたのは恐らく魔法名。

 その魔法はどういった効果があるのかはわからないが、その魔法が唱えられた瞬間から俺の意識は薄れていった。

 

 

 俺はそこで強い白い光に包まれた後、抵抗さえ出来ずに、意識を手放した。

 

―――

 

 俺は、その断片的な記憶からある一つの結論を付けた。

 

 「…口減らし、か」

 

 口減らしとは、困窮に陥った村などが人数を減らして、養える人を増やすことだ。

 

 俺の居た村も、確かに貧しかった。

 

 村長や村の大人たちは皆こぞって農業に力を入れていた。

 食料を安定させるのと、村の外への交流を増やす為だと、大人たちは言った。

 

 だけど俺は、手伝わなかった。

 俺には夢があったからだ。

 その夢のために、村の近くの森へ父親の形見を片手に一人で行って、弱い魔物を狩っていた。

 たまに大物を狩っては、村の皆に肉を別けていたけど、当然、毎日ではなく、時たまにであった。

 

 だから、そんな村の為にならない俺だから口減らしの対象となったんだろう。

 心臓が痛む想いがしたが、自分の蒔いた種だと考え、無理矢理納得した。

 

 そこまで考えて、俺は腰の剣を見る。

 

 俺は父と母のような冒険者に憧れていた。

 幼い頃、両親から聞かされていたのは冒険譚。母は父と若い頃から出会って意気投合。それから、一緒に冒険者として仕事をこなす毎日。

 強い魔物を倒したり、未知なる場所を発見したり、ダンジョンを踏破したり…。

 内容の殆どがのろけであったが、俺は、楽しく聞いていた。

 俺の知らない世界を知っている二人が羨ましかった。世界の広大さに興奮した。そして冒険者に強く憧れた。

 

 「世の中には見たこともない植物や魔物がいーっぱいいるぞ」

 とは父の言葉。

 「けれど、危険いっぱいなの。まぁそのスリルが楽しかったけれどね」

 とは母の言葉。

 

 そんな二人の子の俺は、自然と冒険者になることを夢見ていた。

 

 

 俺は近々、15歳になったらやる成人の儀を受けて、俺は大きな街に行けるまでのお金を貰えるハズであった。

 そこで、街にある冒険者ギルドで晴れて冒険者になるハズだったが…。

 

 今はもう、それは難しい。

 

 

 「…はぁ。こんな形で夢が破れるなんて思わなかった。…仕事してれば良かったな」

 

 俺は、俺らしくない弱音を吐いた。

 

 流石にこの状況は、俺の精神を磨り減らすのに十分であった。

 だけど、持ち前の前向き思考で切り抜ける。

 

 「いや、寝てる間に魔物に食われてなくて幸運だった。冒険者には運も必要だと父さんも言っていたしな」

 

 夜の森へ寝てる人を置いていくことは実質の殺人だが、俺は幸運を武器に生き残ることが出来た。

 

 「冒険者に直ぐになることは出来なくなったけど、不可能になった訳じゃない」

 

 この森から生きて出れば、冒険者になれる。

 しかも、大自然を相手に生き残ったとなれば、強い冒険者としてデビュー出来る。

 

 「村のことは忘れよう。俺は、ここから冒険者を目指して生きる!」

 

 俺の冒険者の夢を応援してくれた幼馴染みのフィーナ、罠作りを一緒に考案してくれた親友のマック、俺の狩ってきたウサギをペロリと平らげた大ぐらいのデッポ。

 他にも仲の良かった村の皆。

 そして、天涯孤独な俺の面倒を見てくれたエトワール村長。

 

 皆は、こんな俺にも優しく接してくれた。とても嬉しかった。

 けれど、また会うことは限りなく無いだろう。

 

 村には、俺と、両親が住んでいた家、思い出もあった。

 正直に言えば、今すぐにでも帰りたい。

 でも、帰れない理由が色々ある。

 

 だから、俺は割り切ることにした。

 

 

 俺の両親は危険な魔物の討伐の指令を受けて、村から旅立って、そのまま帰らなかった。

 唯一、帰ってきたのは両親の遺品であり、形見。

 

 俺には、父さんと母さんが形見があるから、勇気を貰える。

 

 ぎゅっと右手の剣とネックレスを強く握る。

 

 

 この森で、賢く、強かに。

 生き残らねば。

 

 そう、これは俺の。

 

 「生存戦線だ!」

 

 


 ―しかし、少年レイは知らない。

 口減らしの為に“転移魔法”で転移させようとした術者が実は過失によって魔力の暴走を起こしており、場所が無作為に決められたことと、送られた場所が名だたる冒険者でも恐れをなす大森林《禁忌の森》であることを―…

 

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