◆4月―移籍の話が、少し動き始めました。
4月にも、日本選手権対象大会(優勝チームに、社会人野球日本選手権への出場権が与えられる大会)が開催されます。
地区によっては、リーグ戦形式の試合が組まれることもあります。
都市対抗野球の予選が始まる地区もあります。
そんなわけで、4月のお話の題材もいろいろありますが、2月のお話の移籍の件の続きを書いてみます。
社会人野球には、大小さまざまな公式戦がある。
春先は、『日本選手権対象大会』という、優勝チームに日本選手権への出場権が与えられる大会が、多く開催される。
ぼくたちのチームは、秋には休部となってしまうのだが、もともと出場を予定していた大会には出る方針で臨んだ。
3月に出場した大会で、ぼくはスタメンで使ってもらい、チームは優勝できた。
そして。
4月に入ってからのある日、練習が終わってから、監督に呼び出された。
「来年からぜひ来てほしい。って言っているチームがある。シーズンが始まったばかりだし、そのチームと対戦する機会もあるかもしれないから、今の段階では名前を出さないでおきたいけど、名前を出したほうがいいかな?」
「どちらでもいいです」
「じゃ、3月の大会で対戦したチームだとだけ言っておこう」
予選リーグで対戦した3チームと、準決勝、決勝戦でそれぞれ対戦したチームのいずれかだ。
試合で、ぼくのことが目に留まったのだろうか。
向こうから、来てほしいと申し出て頂くとは、なんとありがたいことだろう。
この先、先方の話を聞いて判断しなければならないし、他のチームの話を聞く機会もあるかもしれないが、よほどのことがない限りは、最初に移籍を持ち込んできたチームにお世話になりたいと思う。
居酒屋の娘さんとは、時々連絡を取っている。
チームが日本選手権の出場権を獲得できたことを知らせた時には、とても喜んでくれた。
移籍の件についても、報告することにした。
『ぼくは、来年も野球を続けられることになるかもしれません。今日、監督から移籍の話を少し聞いただけで、正式な決定じゃないですけどね』
メールを送信してから、すぐに後悔してしまった。
向こうは、たぶん、ぼくのことを特別な目で見ていない。
チームのみんなの、今後の進路が決まった時こそ、知らせるべきだったのではないだろうかと思った。
返信に気づいたのは、翌朝だった。
『電話でお話をしたかったんですけど、もう遅い時間で、寝てるでしょうから、メールにしました。
来年も、応援できるんですね。
その前に、今年の日本選手権が今から楽しみです。今まで、まとまったお休みは年末年始以外はほとんどなかったんですけど、臨時休業して、秋に大阪に家族で旅行をすることが決まりました! もちろん、応援に行くためですよ!』
応援できるんですね、と言われても、チームの全体移籍の話ではなく、ぼくが移籍するかも……というだけのこと。
しかも、移籍はまだ確定していない。今後の状況によっては、話が消えてしまうかもしれないのだ。
【6月】に続く。
活動休止のチームの選手が、野球を続けたい場合、いつどんな形で移籍が決まるのかは、様々だろうと思います。
私は情報通ではないので、詳しくはわかりませんが、いろいろな縁があってお話が持ち込まれるのでしょうね。
自分で、またはチームの関係者の方が移籍先を探す場合もあるでしょうね。
母体となる企業の事情で、社会人スポーツでの休部や廃部、一時的な活動休止があると、切ない思いになります。
私は、他のサイトで、休部するチームや、休部のために移籍した選手を取り上げたお話をいくつか書きました。休部して長い年月が過ぎても忘れていない、大好きだったチームがあるからです。