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◇3月―社会人野球のシーズン開幕です。

3月編は、社会人野球の大会に絡めたお話になります。


プロ野球の公式戦より早く、3月の半ば頃から、社会人野球の大会が各地で開催されます。


まず、大会について大まかに説明します。

社会人野球の柱になっている大会として、都市対抗、日本選手権、クラブ選手権があります。

クラブ選手権は、クラブ登録をしているチームによる大会です。

ただし、企業チーム扱いの専門学校のチームも、現在は出場資格があります。

近年では、クラブ登録のチームの中にも、特定の企業の従業員が主体のチーム、企業がスポンサーになっているチームなど、企業名を付けたチームが増えてきました。


その他にも、各地で大会があります。

優勝チームに日本選手権への出場権が与えられる大会は、『日本選手権対象大会』と呼ばれます。

日本選手権の出場チームは、都市対抗、クラブ選手権、『対象大会』のそれぞれの優勝チームに加え、地区予選からの出場枠もあります。

社会人野球の大会に主催や後援で関わっている新聞社以外の新聞では、予選の試合の結果が載ることはほとんどないので(せいぜい、代表決定戦がチョコッと載る程度)予選がいつどこで行われているのかご存知ない方が、大多数でしょうね……。

黒々まゆ毛の30番の選手。

いつの間にか、大好きなプロ選手の社会人時代のチームメートとしてではなく、一人の野球選手として、かなり気になる存在になった。


チームの公式サイトを時々見ては、情報をチェックしてきた。

2月はキャンプがあったそうだ。

練習中の写真や、他のチームと組まれた練習試合の写真が、チームのサイトにたくさん載っていた。

30番の選手が写っているのを見つけると、心の底で、温かさがわいてきたのだった。


3月には、大会に出場するらしい。


プロ野球は大好きだけど、社会人野球はよく知らないわたしにとって、社会人野球の大会として思い浮かぶのは、夏の都市対抗と、秋の日本選手権ぐらい。

 

それは、社会人野球からプロ入りしたばかりの選手のプロフィールを紹介する報道記事に、

『都市対抗でチームの上位進出に貢献』

とか、

『日本選手権で活躍』

なんて書かれているからで、都市対抗と日本選手権がどんな大会なのか、実際のところはわからない。


3月に関東で行われる大会で優勝できたら、日本選手権への出場権を得られるのだと、チームのサイトには書いてあった。

『大会』って言っても、これは日本選手権の予選みたいなものなのかな?

試合の日程を見ると、ウチの近辺の球場でも試合があるということだったから、友人を誘って観戦することを思い立った。


「今度、社会人野球の試合を一緒に観てほしいんだ」

 

「いいよ」 

断られるかと思ったが、あっさりとOKしてくれた。


けれど、返事のあとには、こう言ってきた。

「ねえ、プロ野球のオープン戦は観ないの?」


「プロも観たいけどね。う〜ん……」

「応援している選手が結婚したから、プロ野球への熱が冷めたというわけ?」

「そんなことはないよ。プロも観るつもりだから」

「じゃあ、何で社会人が観たいって、突然言い出したのかな」

「それはね……」


わたしは、大好きな選手の社会人時代の所属チームの名前を挙げて、そのチームの試合が近くであるから観てみたいのだと話した。 

 

「ああ、そういえば、グラウンドに行ったけどお目当ての人に会えなくて、選手の人にメールで写真を送ってもらったんだっけ。あの時の選手と、やりとりしてるの?」

「最近は、全然メールしてないなぁ……」



『一目惚れしたみたい』とのメールが届いたあとは、連絡を取っていなかった。

返信の文が思い浮かばないまま、日々が過ぎていったのだ。

『一目惚れの相手は、きっと綺麗な人なんだろうな』

『アマチュアとは言っても、野球選手って、やっぱり遠い存在よね』

とは思いながらも、心のどこかで引っかかり、遠くからでもいいから、見たくなる。

言葉で表現するのが難しい、不思議な気持ち。 

 

大会は、予選リーグと決勝トーナメントによって行われた。

黒々まゆ毛の選手のチームは、予選リーグの3試合ですべて負けてしまい、決勝トーナメントには進めなかった。

予選リーグの1試合目は、ウチの隣の市の球場で行われた。1回表、一番打者の黒々まゆ毛の選手がいきなりホームランを打った時はハシャギまくり、立ち上がって友人とハイタッチまでしたのだが、その後逆転されてしまったのだ。



『お久しぶりです。わたしのことは覚えてますか? 試合、観に行きましたよ。お疲れ様でした。優勝できなかったから、日本選手権にはもう出られないのでしょうか?』

選手の人に対して失礼だとは思いつつ、ちょっとした疑問をぶつけてみた。 

 

しばらく経って、黒々まゆ毛の人からの返信が届いた。

『おお、久しぶり! メール待ってたよ。

今回は負けたけど、これで終わりじゃないからね。

他にも、大会に出場する予定だし、地区予選もあるから、日本選手権に出るチャンスはまだあるよ。今度観に来たら、試合が終わって球場の外に出た時に、声をかけてね』


メールを待ってた、だなんて。

声をかけてね、だなんて。

社交辞令かもしれないけれど、ちょっと気分が良くなった。



【5月】に続く。

何だか説明ばかり多いし、どこからどうラブストーリーになるのやらという感じもしたりして。

作者として、書きながら自分でも思います。(苦笑)

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