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勇者vs冒険者(A級) 前

「そういえばメイブ、なんで俺の武器が業物って分かったんだ?」

「さっきも言ってたけど私、有名人なんだよね。だから業物って言われる武器もそこそこ見てるんだ。

まぁ今は防具着けてないから私が有名人って分からないのかなぁ」

「おいおい、それが私服なのか?露出というか肌を出しすぎというか・・・」

 鎧の下に着るような薄着だぞ?太股を出しすぎだろ。

「いやー、今日はどこも行く気は無かったから・・・。散歩のつもりだったから」

 散歩って、大丈夫なのか?

「むう。その顔は心配してる感じだなー?ほらほらこれが証拠!こんな格好でも襲われないよ」

 そう言いながらカードを見せてくる。


      メイブ=アルニス

      人族・女

   称号:【劫焔】呑み込みし【魔人】

   功績:炎を司る霊を倒した

      冒険者A級の試練を達成した

      二つ名を持つ魔物討伐数12

      ・・・


 ・・・。

 はぁっ。思わず溜め息がでちまうぜ。

「予想以上だったわ。さっきまでの失言は許してほしい。すまなかった」

 頭を下げる。

 実質、最高ランクの冒険者って訳か・・・。

「いいよいいよ!全然気にしてないから。それに本当だったんだ、誰も私に言ってくれなかったな、強かったらルールを守らなくてもいいのか?なんて」

 まさかコイツ・・・

「メイブは子供の頃から強かったのか?」

「そこそこかなー? あ、私は【妖精】族なんだよね。【妖精】族の中だと殆ど負けたことないけど、魔族全体で見ると普通より少し上ぐらいじゃないかな。ベリーのおじさんには一度も勝ったことないしね」

 【妖精】族ね・・・。危険度は最も低くて、人に友好的って言っても過言じゃないぐらい戦わない種族だな。

 って今なんて?

「聞き捨てならない名前が出たな。ベリーってまさかべリアルのクソジジイか?あのチート上等みたいな魔族か?」

「そうだよ?なんだ知ってたんだ。ベリーおじさん元気にしてるかなー。今でも一本取れるか分からないし。知り合い?」

「知り合いも何も、剣で語り合った仲というか、知り合い通り越して仲間なんじゃね?ってぐらい闘った仲だな」

「おじさんと戦って生きているなんて強いんだね!どうだった? 全然現役だったでしょ?おじさん」

「強かったね。あのジジイ、こっちが和平申し込んでも知るか!語る口は持っとらんわ!語るなら得物で語れぇっ!とか言って襲いかかってくるんだぜ?まったく、あの時は死ぬかと思った・・・」

 と喋ってから視線に気づく。なんか俺今、変なこと

言っ・・・たわ。

「シノギって何者?魔族相手に和平って・・・私が言うのもなんだけど正気じゃないよね。【焔尽】のべリアル相手に戦って生きて帰ってきた人間なんて聞いたことないし」

 ちなみにべリアル並に強いのは四人。当然全員二つ名持ちで【焔尽】のべリアル。【死風】のアスモ。【錬水】のザガン。【崩震】のベレトという二つ名で広まっている。ただ、全員が好戦的というわけじゃなくて話が通じるやつもいる。あのジジイは話し合いに応じたことないけどな!しばらく戦うと、満足気に「楽しかったぞ!またな!」そして去っていく。  えっ?話は・・・?

「それはだな・・・」

 まずい、正直に言うべきか?今は元だから大丈夫だよな!

「それは?」

「俺が勇・・・者だったからだ!今は元だけどな!」

 俺の発言に固まるメイブ。

「シノギって・・・勇者だったの?」

「そう、勇者だった。今はブロンズの冒険者だけどな」

 と言うと

「すごいよ!?シノギ。剣を構えを見た時から只者じゃないと思ってたけど、まさか勇者だったなんて」

 興奮してるな・・・コイツ。

「でも・・・」

 ん?

「でも?なんだ?」

「今の私でも勝てそうだね・・・?」

 感じる殺気。さっきの会話中の雰囲気はもう感じられない。

 コイツ・・・ッ! 俺にケンカ売ってきやがった!

「ほう。売られたケンカは買う主義だぞ俺は?」

「勇者の力が見れるならケンカぐらい売っちゃうよ私」

 あくまでケンカだ。命をかける決闘じゃない。

 なにも心配することはない。

 そう自分に言い聞かせて

「なら、ケンカといくか。場所借りに行くぞ」

 そう言って俺らは歩き出した。



 さっきの職員はどっこかなー。

 と、探していると

「話は済みましたか?」

 おっとナイスタイミング。でも後ろからっていうね。

「まぁ、ある程度は。突然なんだけど試合ができるような場所知らない?ちょっとこの女と勝負することになったんだよね」

 何気にこの人、気配が薄いな・・・。まさか強い?

「失礼なこと考えてませんか? 別にいいですけどね」

 おぉ・・・。そんなに俺は考えてることが分かりやすいか?

「いえ。私は心を読んでいるだけですが?(真顔)」

 おぉ、なんてこった!エスパーだったか。

「冗談です。心なんて読めるわけないでしょう(苦笑)」

 ですよねー。思わずガックリ。

 そんなやり取りをしてるとメイブが

「そんなことより、どこかの訓練所使わせてくれない?」

「!!メイブさんの頼みは断れませんから・・・」

 そう言い残し奥へ消えていった。

 メイブ・・・一体何者なんだ?!

「このフウランにはA級の冒険者の数が少ないからね。多少のわがままは聞いてもらえるよ?」

「へぇへぇ、良いご身分なことで。遠慮はしなくていいんだよな?」

 一応確認は取っておかないとな。今回はガチだ。

「ガチじゃないと困るよ?むしろなんか賭けたほうがおもしろいんじゃない?」

 言うね~。

「そいつは良い考えだ。命以外なら賭けてもいいぜ」

「うーん、お金は面白くないしなー。じゃあ――」

 私を賭けてあげる。

 笑顔で爆弾を投下してきた。

「そいつは――!」

「ほらほら私を手に入れるチャンスだよ?お得だよ?」

 賭けってのは対等じゃないと燃えないよな!!

「―――いいだろう!なら俺も俺を賭けよう!」

 その時職員が戻ってきた。

「借りる手筈は整えました。それでは付いてきてください、ご案内します」

 虎狩りはもうちょっと後でもいいだろう。まずは売られたケンカからだ!

 

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