表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/22

【元勇者】×【魔王】の【娘】

 唐突だが、この世界には偉業を成し遂げることで貰える特典がある。その特典とは称号だ。

 例えば未開の地へ行き、十分な成果を成せば【探検家】としての称号。

 例えば誰も倒したことのないような強大な魔物を倒したら【スレイヤー】としての称号。

 また、【スレイヤー】や【探検家】などの職業称号は職業ギルドに行けば変えれるという利点がある。

 しかし俺の【勇者】の称号は変えられない。何故か分からんが職業適性試験を受けて、結果を見ると【勇者】になっていた・・・。しかも2回目は職員が、恐れ多いからとかなんとか言って試験を受けさせてくれない・・・。無理やり試験を受けると結果は【勇者】。

 【勇者の称号(呪)を手にいれた!】って感じ。

 今となっては勇者で良かったと思ってはいるけど、仕事は楽じゃないからなー。

 おっと、愚痴みたいになってしまった。

 他にも決まりがあって、前後にも称号が付けられるという決まりだ。こんな風に・・・


     カツラ・シノギ


    人族・男

 称号:【旅人】兼【元勇者】

 功績:――――――――――――――――――

    ――――――――――――――――――


 ふぁっ!?なんじゃこりゃ!?元勇者になってるし!功績が閲覧できない・・・。

 いや、今は俺のことはいいとして、こんな風な称号はしかるべき場所でなら自由に変えれる。ただ、自分が行ったことあることしか称号として設定出来ない。だから身分の証明になるわけだ。

 まぁ俺は変えれないわけだが・・・。

 さて、なんでこんな話は唐突にしたかというと・・・


    エルメス・フィード

   魔族・女 

 称号:【魔王】の【娘】

 功績:異種族である人間と友好を持った 

    単身で別大陸へ渡った

    5種族の言葉を話すことができる

    ・・・・ 

 はい、困りましたねー。なんでこんなとこにいるのやら魔王の娘が・・・。

 ・

 ・

 ・

 ――ヨシノの家・応接室

「どうした?カードを見た途端に遠い目をして・・・おーい聞いておるのか?」

 だって魔王だぜ?分かりやすい言い方をすればちょっと前のラスボスだぜ?

 それが小間使いみたく届け物を配達しに人間領まで来て、半分行き倒れて俺らが来なきゃ危なかった・・・?なんか作為的なものを感じるな。

「おい!いい加減私のカードを返せ!」

 痛っ!コイツ蹴りやがったな!

 話は聞いてなかった俺が悪いので反省。

「あのー、話を続けてもよろしいですか?」

「悪い、ヨシノ。少しエルメスと話がしたい。三人で話してていいから部屋を貸してくれ」

「話ですか・・・?良いですけど、聞かれると不味い話なんですか?」

 うーん、何て言おうか。

「不味い訳じゃないんだが、少し当事者同士で話がしたい」

「そうですか・・・ではこちらでも、これからのことを話しますので・・・そうですね、アチラの部屋をお使いください」

 と言って右斜めの部屋を指定した

「ありがとな。話はすぐ終わるから」

 エルメスに呼びかけて二人で部屋に入る

「それで、なんの話があるんだ?シノギ」

 よほど重要なんだろうな?と言外に問いかけるエルメス。

「さっきのカードを誰かに見せたか?」

「いや、お前にしか見せてないぞ?」

 ふぅ、なら一安心だ。

「ならいい。お前、魔王の娘だったんだな」

 何気なく言った俺の言葉は

 ビクッ!

 【効果は抜群だ!】

「ななな、なんのことかなー?私はしがない魔族ですよー?」

 動揺しすぎだろ・・・。口調変わってるし。

「お前のカードに載ってたぞ?魔王の娘って」

「ふっ、そうか・・・。バレてしまったか」

 達観したかのような顔をするエルメス。

「それで?魔王の娘の私をどうするつもりだ?脅すか?ばらされたくなかったら、と脅すつもりか?!」

 おいおい、話が一気にとんだな・・・。

「いや、特に。何もしねーよ。俺も元勇者になっちゃったしな」

 と、俺の言葉に呆けるエルメス。ん?なんか変なこと言ったか?俺。

「お、お前。いや貴方は勇者だったのですか?!」

 あれ?言ってなかったっけ?つか敬語似合わんなエルメス・・・。

「もう勇者じゃねーって。なんか称号見たら元になっててビックリしたぐらいだ」

 だからどうもしねーよ。ここで怖がられると話が進まん。

「ほっ、ならあの二人は?二人も勇者の仲間なのですか?」

 コイツの俺らに対するイメージを聞いておきたいところだな・・・。仲間が商人と監視って、どう考えてもおかしいだろ。

「あの二人はこの町に行くときに付いてきた商人と護衛だ。仲間だけど、勇者一行じゃないな」

 これで落ち着いて話が出来る。お茶飲もうっと

「なら良かった。魔族たちの話だと勇者一行は悪逆非道の限りを尽くした暴虐の権化だと語られていて、特に勇者は身の丈三メートルを越えていて、二メートルを越える特異な剣を使い、鎧ごと体を真っ二つにした怪物だと。その時は城内でみんな戦慄したものです」

 ブフゥッ!エホッ!ケホッゴホッ!なんだその尾ひれ付きまくった話は!?付きすぎて魚類になっちゃうぐらいの話になってんじゃねーか!?

 つーか、そりゃ怖がるよ!魔族からしたら俺ただの化物じゃん・・・。

「キャー!大丈夫ですか?勇者様!?」

 キャラまで変わってんじゃね?コイツ・・・。

「いや、あまりに荒唐無稽な話すぎて思わずむせた。そんなことはないぞー?俺はいたって普通の身長だし、二メートルの長い剣なんて持ったことないし」

 もはや別人だよね?とエルメスに目で問いかける俺。

「私は貴方の戦闘を見たことがないのでなんとも・・・。しかし話した感じは暴虐とか破壊の権化は多分・・・恐らく・・・違うと思います」

 推測の言葉が3つぐらい入ってる気がする。信用ねーな、俺。

 また本題からずれてる気がする。

「俺のことはもういい。今はお前の立ち位置が気になる。今一度聞く。人間領フウランの町まで来た理由はなんだ?」

「私はフウランの町長に物を届けに来ただけです。それ以外の理由はないです。なんなら【リメンバー】の魔法を使っても構わないですよ」

 【リメンバー】はその意味通り記憶を呼び起こさせ、その記憶を視る魔術だ。しかし、発動する時に相手に触れていなければならないという困ったちゃんな魔術でもある。接近することができたら魔術なんて使わず殴った方が強いから接触系の魔術は基本、人気がない。

 しかも生身に直接触れないと相手の記憶を思い出させることが出来ない。服などに触れたら服が何かを思い出しそれを視るという風になる。まじ使えねぇ・・・。

 使い勝手が悪そうだって皆は言うけど、(俺も言ったけど)それは戦闘に限った話であって日常生活だと絶大な人気を誇る魔術である。

 なぜ人気かというと・・・

 あれー?どこ置いたっけなぁ?と物をどこに置いたか忘れた時などに使える魔術リメンバーである。

 そこ!しょーもなっ!とか言わない!

 まぁ、他にも使い方があるんだが、それは置いといて。

「そこまでしなくていい。疑うような真似をして悪かった。あと、敬語は止めてくれ。元勇者と姫だったら姫の方が偉いだろ?」

 決して似合わないとは言わない。

「そ、そうか。なら普通に戻そう。

 なんでこんな話をしたんだ?しかも二人っきりで」

「他の人に聞かれると不味いからだよ。今のお前は爆弾みたいなものだ。やっと戦争が一時的とはいえ終わって束の間の平和が訪れた。ただそれは、どっちも消耗したから一旦休憩、してるだけだ。そこで魔王の娘であるエルメス(爆弾)が人間領にいる。ここが今だ」

 ここまでは分かるな?と視線で問う。

「そこで、だ!人間領でエルメスになにかあったとしよう、例えば・・・暴行された、でいいや。そうすると魔族側は、今休戦中なのになにウチのもんに手だしてんだ!?アァン!。てなる」

「それがシノギの魔族に対するイメージなのか・・・?」

 ・・・・・・黙殺!

「そういうことが起きなくても、だ!エルメス(魔族)が人間領にいる。これがお偉いさんたちにバレると、お偉いさんたちは、休戦中なのに魔族がウチのシマにいるけどおたくら魔族、何企んどんじゃ!?アァン!。てなる」

「シノギの人間に対するイメージが魔族と変わらないんだが・・・?」

 ・・・・・・黙殺!

「しかも職業が【魔王】の【娘】だからな、VIP過ぎて何が原因で揉め事が起きるか分からん」

 だからと前置きをおいて

「自分の立場を意識した行動をしてくれ。話はそれだけだ長々と悪かったな」

「構わん。謝るのはそれこそこちらのほうだ。配慮が足りなかった・・・」

 さて、そろそろ俺の話を進めたいところだな。



 応接室に戻ると案の定というか、予想通りというか、ヨシノが熱弁を奮っていた。

「―――というわけで彼女についてはなにも心配はありません。そこは私の地位にかけて断言します」

 エルメスのことについて話してたみたいだな。

「おーい、こっちの話は一段落したけどそっちはどうだ?」

「こっちも大体は決まったかな。僕は村長よりも商業ギルドに話を聞かないとダメだから」

「私もフウラン近辺の話は聞けましたから、後でまとめて話しますね」

 それは助かる。シグルドに任せておこう。

「それじゃ改めて俺の用件を言っておこう。率直に、異世界へ渡る方法もしくは場所を知らないか?元の世界へ帰りたいんだ」

 呆ける一同。変な空気になっちまったな。

「えっと・・・」

「くくっ!くはははは!面白すぎですよシノギさん。これほど規格外で予想外な斜め上の人だったなんて!僕の目は狂ってませんね」

 ・・・笑いすぎだろ!ツェンのやつ。

「すいませんシノギさん。フウラン近辺だとそういった話はあまり聞きませんねぇ。町長なら何か知ってるかもしれませんけど・・・」

「なんだシノギは異世界へ行きたいのか・・・。私たちの領地でもそういった話は眉唾な話として扱われてるぞ?」

 むぅ、流石にそんなに早く見つからないか。

「あ!それっぽい話なら・・・うーん、何て言おうかな」

 シグルド?

「いや、さっき聞いた話と以前、主都で聞いた話を照らし合わせると」


 つまり話を要約すると

 フウラン近辺で見たことない魔物が出没していて、数多の冒険者が返り討ちにされてるらしい。その現状を危惧した主都のお偉いさんたちが独自に持っている兵を派遣するかもしれないという話。

 と、ここで俺らに問題になるのは、見たことない魔物というところだ。

 見た目は大きい虎だが所々に桜の花弁が舞っている毛皮が特徴らしい。

「数多の冒険者が返り討ちなんだろ?なんでそんな詳細に容姿が出回ってるんだ?」

「交戦した冒険者から聞いた話が一番分かりやすいですね。えっと・・・気絶させられ、木に寄りかかるように放置されていた。その時持っていた武器が無いことに気づいた。らしいです」

 つまり

「命は奪わずに武器を奪う、とその冒険者は言いたいみたいだな。他人の目線から言わせてもらうと、武器はゴブリンとかに取られていて、単に殴られた場所の当たり所が良かっただけじゃないか?」

「そういう風にも見えますね。ですけど遭遇した地域はゴブリンの生息圏から大きく外れています。なんで俺は生きてるんだ?と冒険者は口を揃えていってますね」

 ふむ。ならば

「突然変異か・・・?」

「はい。その可能性が高いと私は思います。そこで気になることがあります」

 気になること?

「その魔物はなぜ武器を集めるのかということです。自分で使えないのになぜ集めるのでしょうか?」

 確かに・・・それもそうか。

「鴉の習性みたいなものじゃないか?光り物を集めたがるみたいな感じで武器を集めてるんじゃないか?」

 まぁ、気になるといえば気になるな。

「異常には原因が付き物だからな。探してみるか?魔物・・・なんて名前だ?その虎」

 不便すぎるな・・・名前が無いってのは。

「一応、危険度ランクAのグラップルタイガーの異常種イレギュラーもしくは危険度ランクSの獅子皇レーヴェの格落ち。といった風な分類をされてるみたいです 。この魔物は見つかってからまだそんなに時間が経ってないですから、正式な名称は決まっていないみたいですね」

「正式には決まってないのか。つか危険度ランクAかS!?殺してないのに、この短期間でA以上か・・・。どれだけ悪名広がってんだか・・・」

「二つ名は【刀剣】。剣で斬った時に火花が出たらしく、少なくとも鉄並の硬さとか言われてますね」

 それもう毛皮じゃないじゃん・・・。

「しかしシグルドは何でも知ってるな。本業より詳しいんじゃないか?」

「いやいや!そんなことはないですよ。今回は交戦する可能性を考えていたので色々と伝をあたってたんですよ」

 またまた謙遜しちゃって。

「無性に気になるな、ソイツ。この面子で勝てるのか・・・。ムラマサを使えば斬れないこともないと思うが、どうだろうな」

「普段、戦う魔物とは一味違うと思いますよ。ただ、私とツェンさんは多分役に立たないかと。すいません」

 残念そうにするな。怪我されるほうが困る。

「シグルドの言う通りだね。僕も流石にA級以上の魔物と戦うのは無理だと思うよ」

 エルメスは・・・無理だな。何かあったら不味いからお留守番だな。

「うわっ!髪に触るな!」

 ワシワシっと頭を撫でてやる。

「町長の所に用があるんだろ?気を付けてな。ヨシノ!後は任せた」

「はいはい。エルメスさんは私が責任を持って町長の所へお送りしますよ」

 それじゃあ・・・明日から情報収集と行きますか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ