1 居候の言い訳
「聞き捨てならない
図々しいにも
ほどがある
私が薄情?
ねえ チョルス
もとはと言えば
あんたでしょ
私の部屋に
ある日突然
ずかずかと
押しかけて来て
居座ったのは
半年もすれば
住人なんか
すぐ入れ替わる
安アパートに
昔の彼女が
今でも住んでるはずだって
ひとり勝手に
思いこんでた
だけのくせして
彼女がいないと
わかっても
居座りつづけた
無礼千万は
そっちじゃない」
「そりゃそうだ
世間的には
そうだよな
面識もない
一人暮らしの女の家に
転がり込んで
居候なんて
普通じゃない
悪かった
それは謝る
でもチュニ
俺としては
居座ってみて
正解だった
毎日毎日
いやでも視界に
飛び込む君の
やることなすことに
慰められる
君って人は
失恋の
心の痛手を
癒すには
絶好の見物対象
それだけは
断言できる
君って人は
眠くなったら
ベッドと言わず
床と言わず
物の5秒で
正体もなく
眠りこけるし
女のくせに
顔洗うのも
歯を磨くのも
いたって平気で
忘れるし
飲み物は
ペットボトルの
ラッパ飲み
部屋じゅう万年
ほこりだらけ
たまに飯でも
作ってやれば
奇声を上げて
喜ぶ始末
仕事に出かける
10分前に
女物とはゆめ思えない
しっちゃかめっちゃかな
クローゼットから
洋服選びに
悪戦苦闘
俺だけじゃない
誰が聞いても
100人が100人
吹き出すってば
吹き出すななんて
言う方が無理」