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奇妙な関係  作者: ねこ
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無言のまま、佐野さんと視線が絡まり合い外せなくなった。


「あの…。着替えを取りに荷物を取りに行きたくて…。」


もう一度言うと、無言で佐野さんが私の手を引きソファーに座らせ隣に座った。手は離されて、私の背中の後ろの背もたれに回された。

密着しそうな距離で、いつもより低い艶めいた声で強く私を見て聞いてくる。


「どうして着替えるの?似合っているのに。」


どこにも触れていなくて、何もされていないのに、胸が苦しくなってきてしてしまう。


「…だって寝るなら着替えないといけないですよね。」


私は、荷物の中にあるクリスマスプレゼントを取りに行きたかっただけだった。

佐野さんに何も言わずに渡して驚かせてから、着替えるつもりだった。


佐野さんと関係を持つ事を予想をせずに、泊まりに来た訳ではない。

けれど、急に甘い空気を作られて、それに吸い込まれる様に引き込まれていく自分に戸惑ってしまう。


「ふ〜ん。そんなに眠いの?」


佐野さんは艶めいた声で聞きな私の肩を抱き寄せ、空いてる手の親指で私の唇をゆっくり撫でる。

だから、私も佐野さんの動く唇だけを見つめてしまう。


「あの…。」


「だからなに?俺に分かるように教えて?」


「佐野さんに…。」


クリスマスプレゼントを


続きの言葉は佐野さんの唇に飲み込まれてしまった。


薄く開いた私の唇を食みながら舌先で軽くノックされると、すんなり開いた私の唇の中に佐野さんの舌が入ってくる。

私の舌に絡めながら、佐野さんの手が私の足を膝から上に撫でてくる。


「智恵。好きだよ。やっぱり可愛い。寒い季節なのに、短いスカートで生足なのも俺の為?」


少し離れた唇から佐野さんの言葉が出ても、私が答える前に唇が塞がれ舌が絡め取られ、いたる所を熱い舌で撫でられる。

手は、足の上の方まで撫で、めくれたスカートの中の下着を辿るように撫で下りていく。


「智恵。寝るんだったら今のうちに言って…。」


佐野さんは、私の目をじっと見つめて少し掠れた声で言い、唾液で濡れた私の唇を親指で拭いた。


「…佐野さんと一緒に寝ます。」


私の素直な呟きの様な答えに佐野さんは嬉しそうに笑った。

足を撫でていた手が、ニットの上に動き胸の膨らみの存在を確かめるように力を入れて撫で始める。


「じゃあ、いい?」


私を見つめたまま悪戯っぽく聞いてくるので、顔が赤くなり少し背けた。


「可愛いのに、よそ見しちゃ駄目。」


そんな私を佐野さんの唇が追いかけてくる。遠慮が無くなったような佐野さんの口づけに、いつの間にか佐野さんの胸に縋り私も舌を絡めていた。


佐野さんが唇を離し耳元で低い声で吐息混じりに囁いた。


「泊まりにきてくれてありがとう。本当に智恵と一緒にいられる事が…たまらなく嬉しい。」


そのまま、耳を軽く噛んで首をゆっくり舌が辿り胸元から除く鎖骨に何度も口づけた。私の身体もその度に勝手に動いてしまう。


そうすると、肩を抱く腕に力が篭りニットの下から佐野さんの手が入りこんできた。

器用にブラの肩紐をずらし、出来た隙間から手を滑りこませ優しく包み込み、胸全体や先を楽しむように指を動かして甘い刺激を生み出しはじめる。


「智恵?どうしたの?」


「…ど…どうもしません。」


艶があるのに優しい声に答えるために、見ないようにしていた佐野さんをちゃんと見た。

佐野さんの手や指の動きで変わる私の反応を見ながら、目を細めて楽しそうな顔にしていた。

けれど、私の答えは気に入らなかったらしい。


「…っ。」


私の答えて、意地悪そうになった佐野さんが私を見ながら、与え続ける胸からの強い刺激に、声が出そうになり我慢できなくなってきて唇を噛み締めた。


「へ〜。頑張るんだ。どこまで我慢できるのかな?」


ニットから手を抜いて、佐野さんの手が太股を撫でながらスカートの中に入ってくる。きわどい場所を、ゆるゆる撫で始めた。


電気の明かるいリビングで、声は我慢出来そうにないし、身体の変化も自分でわかる。

ここまでされると、恥ずかしくてたまらなくなってしまう。


「さっ…佐野さん…っ。」


「智恵。…ベットに行こう。声も我慢しなくていいから。いや、俺が行きたい…。」


ため息をついてスカートから手を抜き出し、私の唇に啄むような口づけを落として、すこし掠れた声で佐野さんは言った。


「行こう。」


そんな一日目の夜だった。



そして、疲れ果てた私は知らない間に眠りについていた。


寝ているはずなのに、なにやら身体を撫で回されている気がした。


「…あっ。」


ピクッと身体が動いて、こぼれた小さな私の声。


だんだん、意識が目覚め始めると柔らかい声が聞こえた。


「起きた?」


「佐野さ…んっ。」


なんで?の言葉がまず頭に浮かんだ。明け方だろう時間に、何も纏わずそのまま疲れて眠った事を、少しずつ思い出せた。


その間も、私を可愛がるように上も下も刺激し続けていた。

音をたてながら佐野さんの口や手が動き続けて、水音をたてて反応する私もいる。


「あっ…。ちょっ…。手…。」


やっと目が覚めても出てくる言葉を繋げられず、止める為に伸ばした手も、逆にベットに押さえられてしまう。


「寝ててもこんなになるなんて…。可愛い。もう少してから、後一回だけ。ね?」



結局、分厚い寝室のカーテンで時間が分からなかった寝室から、佐野さんに解放されたのはお昼を過ていた…。


頑張ってシャワーを浴びて着替えて、ソファーに座りひじ掛けにぐったり身体を預けていた、私。


キッチンでは、佐野さんが昨日のケーキを取り分けている。セットしたドリップコーヒーの良い香りが漂ってきている。


初心者の私には信じられない夜と、佐野さんの元気な姿だった。


回数を指折り数えてみたけれど、多いか少ないかは比較が出来なくて分からない。けれど、この身体の疲れ具合からしたら、普通じゃない…はず。


もう、このまま寝てしまいたくなった所でカチャと小さな音が聞こえた。


「智恵?大丈夫?食べれそう?」


暖かいカフェオレとケーキを乗せたトレイを、ローテーブルに置いた心配そうな佐野さんだった。


「寝込みを襲うなんて…変態。」


「初めての男に対してひどいなぁ。相性もいいし、智恵が可愛いかったから、ついね。今日中は、もうしないから。」


「もう、ずっと佐野と呼んでやる。」


クスクス笑う佐野さんの言葉も、朝から爽やかな態度と表情も昨夜とは全く違っていた。

どちらが良いとは選べない自分にため息がでてしまう。


それからは、穏やかな時間だった。


日中は、私がソファーで身体がきつそうだからと、カーテンを開けた寝室のベットの上で過ごした。

テレビでDVDを見たり、佐野さんと並んで横になり他愛のない話をしていた。


驚く事に、シーツが変えられていて、私の中で「マメな男」だった佐野さんが「マメな変態」になった。


プレゼントも寝室で無事に渡せた。包装をすぐに開いて首に巻いてくれた。


「暖かい。ありがとう。無くさないようにしないとね。」


嬉しそうに微笑んでリビングに行き、すぐに戻ってきた。


「昨日、リビングで渡すつもりだったんだけど…。」


そう渡されたのは、可愛い包装の私の手の平より少し大きな箱。箱を見て佐野さんに顔を向けると、マフラーを外しながら頷かれたので開けてみた。

中には、お洒落で可愛い感じの時計だった。


「それなら学校にも、つけて行けるでしょ?指輪と悩んだけど、学校で無理かも知れないから卒業してからにしようと思って。」


「ありがとう。」


胸の奥がじんわり暖かくなって、鼻の奥がツンとしてきた。


佐野さんは、私の手から時計の入った箱を取り上げ、利き手の反対の手につけて満足そうに微笑んでいた。


「おいで。」


そうして、佐野さんの腕枕でうたた寝をした。


こんな時間が、いつも…毎日、あればいいのに。


そう思えるくらい、幸せな時間ばかりを過ごして、幸せを実感していた。


夜になると、何とか身体は動かせる様になっていた。

キッチンで、簡単なパスタとサラダを二人で作り、残りのケーキと一緒にリビングで食べた。


お風呂も済ませ、ソファーで暖かいカフェオレを飲みながら台本を読む佐野さんと、くつろぐ頃には明日帰らないといけない寂しさが徐々に大きくなってきていた。


時計はもう、10時を指していた。佐野さんは、明日は早い。早く寝ないといけない事は分かっているのに、寝てしまうと二人のこの時間が終わる事が嫌だった。


そこまで、我が儘を思うほど好きになってしまっていた。


この人が佐野悠斗とゆう事は実感させられているのに、そんな人を好きになった自分が嫌になる。


そんな私の隣で、パタンと台本を閉じる音がした。


「智恵。悪いけどそろそろ寝ようか。」


そうして、二日目の夜は終わった。


深夜、物音で目が覚めた。時計を見ると3時半すぎていた。

ベットの私の隣には佐野さんがいない。


「あれ?」


目をこすりながら身体を起こすと、ドアが開き佐野さんが入ってきた。


「ごめん。起こした?3時頃に目が覚めて、寝たら起きれない気がしてさ。」


「はい…。じゃあ私も起きます。」


寝ぼけ眼で見る佐野さんは、眠そうながらも、ジーンズに黒っぽいタートルのセーターをきていた。


「本当?」


何故か嬉しそうにベットに上がる佐野さん。そのまま、ゆっくり私を押し倒した。


「…え?」


「時間はまだあるし。ね?」


「ね?じゃなくて、今日は何もしないって…。」


抵抗する私に優しい啄む様な口づけを何度も落としてきた。


「それは、昨日の話。少しだけ…。智恵。手が邪魔してるよ。」


耳元で低く囁き、そのまま水音をたてて耳を食み続け、パジャマのボタンが外されていく。


「で…でも、お仕事…。」


「大丈夫。台本も覚えられてる。」


よほど手が邪魔だったのか、私の手をとり佐野さんの首の後ろに両方共置かせる。そして、佐野さんの唇と舌が、身体が勝手に動く様な所ばかりをしつこく攻め立ててくる。


「4時がっ…。」


「4時は起きる時間。1時間半前には起きるから。そんなに可愛らしくなって、まだ言うの?」


佐野さんの片手がズボンの中に入り込み、唇は深く塞がれた。

そして、絶対に少しとは言えない事をしてしまった…。


昨日の事もありベットで布団に包まり、佐野さんの腕枕で抱き寄せられたまま、ぐったりとしてしまう。


「智恵。無理させて、ごめん。」


「止めたのに…。」


「今日が最終日かと思うと寂しくなって、つい。今日は、ここでゆっくり休んで俺が帰るのを待ってて…。」


私と同じ気持ちな事が嬉しくなって、佐野さんの胸にほお擦りしてしまった。


「駄目だ。これ以上、智恵といたら仕事に行きたくなくなる。」


勢いをつけて身体を起こし、チュッと音を立て私に口づけて、佐野さんは用意の為に寝室を出て行った。


せめて、見送り位はしないといけないと思って、あちこち痛む身体で下着とパジャマを着たら限界だった。

そのまま、ベットに転がって呻いてしまう。


「智恵、じゃあ行ってくるからね。コンビニで悪いけど、リビングに朝食置いてる。コーヒーも冷まして用意してあるから、よかったら飲んでよ。家の物も好きに使って。」


しばらくして、用意が出来たのか早朝から無駄に元気そうで爽やかな笑顔の佐野さんが、寝室に入りベットまできた。


私との、あまりの違いように思わず聞いてしまった。


「なんで、そんなに元気なんですか?」


「ん?普段から身体を鍛えてるし、智恵の為に貯めていましたから。」


ニヤリと嫌な笑顔をして佐野さんはいった。


「な…やっぱり、佐野だ。変な事まで言わないで。」


顔を赤くして怒る私の頬に、ご機嫌を取るようなキスを落として耳元で囁いた。


「智恵が大好きで可愛いんだから、頑張っても仕方ないだろ。

行ってきます。いい子にしてろよ。」


また顔が赤くなる私に、触れるだけの口づけをして佐野さんは仕事に向かった。




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