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地球限定。  作者: 遊庵
4/5

これから。


食卓に湯気だった紅茶を二つ置き、俺はイケメンと向かい合うように座った。


「どうぞ。」

「…恩に着る。」


イケメンはずっと何かを考えるような面持ちをしていたが、紅茶を一口すすると表情がすこし緩んだ。


「…うん。うまいな」


ーーーい、イケメン現る。

悩殺スマイルとはこれをいうのか。


とりあえず、この美貌を前に聞かなければならない事があるだろ、俺。


そう言い聞かせて、イケメンの真紅の眼をまっすぐ見つめた。


「あの、名前。教えてもらっても?」


「…そうだな。まだ名乗っていなった。」


イケメンは俺と視線を合わせると


「ライン・S・ツヴァイクだ。失礼だが、貴殿の名前は?」


「俺は、柳 源馬です。…ラインさんとお呼びしても?」


「…ラインでいい。俺も源馬と呼ばせてもらう」


そういうとイケメンは「あと改まった言葉使いもしなくていい」とつけたした。


「ーーーじゃあいいな。改めてよろしく。」


そういうと、少しの間静寂が訪れた。

ラインは家のあちこちに目を見張らせている。


「ーーー源馬、みたところこの明かりは炎じゃないようだが…どんな魔法を使ってるんだ?光属性か?」


ーーー何だこいつ。

いきなり魔法だのって…


服装にせよ容姿にせよ、異質すぎるだろ。


「…電球だけど。なんで?」

「電球?なんだそれは。」


「いや、何だっていわれてもなぁ…つか魔法って何よ。」


そういうと、ラインは唖然とした表情を浮かべる。


「魔法がわからなっ…ま、まさか!なら魔物からの襲撃はどう対応するというのだ!」


「魔物ぉ?んなもん、存在しねーよ。あっても画面上が精々。いねーよ、魔物なんてファンタジーな生きもん」


ラインの双眸はみるみる大きくなって行く。


「う、嘘だろう。魔物がいないなら魔王がいない事になるじゃないか!」


「うん…魔王もいねーぞ?おい、ライン。落ち着け、大丈夫かお前。」


「お、お、落ち着けるか!ここは魔力がものをいう世界だぞ!それが魔王も魔物もいないなんて、信じられるわけがないだろう?!」


ラインは俺の肩をつかみ顔を近づける。


「うぉっ?!近いって!」


「教えてくれ、ここはどこだ?!なんて世界でなんて国で、どんな世界なんだ?!」


肩を激しく揺さぶられながらも、俺はラインに諭すようにつげる。


「ここは、地球だ。俺がいる、この国は日本っていう。魔力とかが存在する世界じゃない。」


ラインは面食らったような顔して、俺を突き放し、一人で何やら考察をはじめた。



「…なら…どういう事だ、俺は自室でっ…ここは…違う世界?…いや、そんなはずはない、あの魔術は古代に封印されたはず…」


「ーーーなぁライン。俺も状況が飲み込めないんだが…どゆこと?」


言葉を投げかけても返事がなかったが、数テンポ遅れてラインはゆっくりこちらを振り返る。


「よくきけ、源馬ーーー」



「俺は、この世界の住人ではない」



ーーー今なんと?


*○*○*○*○*○*○*○



「ちょっと待て。なら、ラインは異世界から来たって事か?」


「ーーー俺も信じられないが」


おいおいおい。

冗談だろ…


異世界じゃなくて異次元だったら危うくお前ドラ○もんになるんだぞ!?俺はの○太か?!俺の将来の嫁さんがとんでもない奴だからお前来たの?!


「ととととととと、とりあえずアレあの。じゃあお前ここを自分の世界だと思ってたんだよな?根拠は?魔力的なもんを感じたからじゃねーの?」


「根拠は、源馬だ。俺は今まで自室で寝ていた筈だが、強い衝撃に目が冷めて、起きたらあの場所だった。起きた場所も違えば本来土地に宿る精霊の力も感じないからおかしいとはおもったんだが、遠くからくる源馬を見てここはとりあえず俺の元いた世界だと確信した。」


「俺?なんで。」


「ーーーお前、目の色。黒髪で、碧眼じゃないか。それは俺の世界で、エルフがもつ特徴だったからな。俺は、源馬をエルフと勘違いしてたようだ。」


あーーー。なるほどね。

さて読者の皆。申し遅れた。

なんで俺は目の色が黒じゃないかっつーと、じいちゃんが外人だからです。目だけ受け継いじゃったみたいでね。アーユーオーケィ?

今はじいちゃんは亡き人だけど。


この目のせいで今まで散々なトラブルを被ってきたが、今回もこの目のせいだ。


ちくしょー。じいちゃん呪ってやる。


「ーーーそう、か。で、ライン。なら何でお前は異世界に来れたんだ。召喚されたわけでもないだろうに。」


当然の疑問だ。

水星から来たなんてもんじゃないんだ。そもそもどこかもわからない。

よっぽどの何かがない限り世界間をいったりきたりなんてできない話だろ?


「…こころあたりはある。が、それは魔術であってな。しかも古代に封印されている魔術だ。だからそう容易に扱えるものとは考えにくい…何故来たか、来れたかは正直分からない。」


おーけー。

つまりラインにもわからなきゃあ、当然俺もわかんないってわけね。


さて。


ーーーこれから、どうすっか。


幸か不幸か、明日からは長期休校、春休みってやつだ。


異世界人との同棲生活。

ーーーどーなっちまうんだよ。ほんと。

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