1/5
プロローグ
地球。
魔力にみなぎる魔物、
闇なる存在…すなわち魔王もいなければ
光なる存在…すなわち勇者や、騎士団、
宮廷魔術師もいない。
この世界で、俺は生きるのか?
右も左も、言語も文化も、何もわからない状態で、この俺を異世界にほっぽりだしたというのか?
視界いっぱいに広がる灰色の道路。
みっちりと隙間なく建てられている小さな城というにも、小汚らしさのにじみでる建造物。
警戒の色が微塵もない、鎧も着ない奇妙な格好をした人々。
視覚、聴覚、味覚、感覚、嗅覚。
全ての感覚が違うこの世界に、たった一人。
今初めて、一介の騎士である俺は神たる精霊たちを呪った。