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Lucky & Unlucky  ~アドベクシュ冒険譚~  作者: 暇犬
アドベクシュ冒険譚03章 ~騒乱の都市編~
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41 ラフィーナ、応える!

「クロル……。本当に……あなた……なの?」

 ようやく届いた言葉に安心したクロルの目に涙が浮かぶ。

「そうだよ、あの時の約束を果たしに来たんだ。ボクはもう一度《冒険者》になったんだよ。キミと一緒に楽しい事を探しに行くために……」

「冒……険……者……」

 瞬間、彼女の顔に険しいものが走る。ゆらゆらとあてどなく彷徨う触手達が一斉に警戒の意思を示した。彼を守ろうとクロルに接近するザックス達に対して触手が攻撃態勢をとる。

「やめてよ!」

 クロルが大声で叫ぶ。その言葉に双方の動きがぴたりと止まった。

「ラフィーナ、皆、ボクの仲間なんだ。ここまでボクを連れてきてくれた。きっと君も覚えてる筈だよ。ボク達の同期なんだから……」

 その言葉に従うかのようにラフィーナはザックス達に視線を移す。クロルの背後に立ったザックスが武器を収め、攻撃の意思がない事を示した。それに反応するかのように触手は緊張を解き、完全に閉じ切った捕虫葉の中へと姿を消した。

「そうね……、知ってるわ、貴方達も目覚めたのね……」

「ラフィーナ、よかった、やっと話ができた」

 崩れ落ちるようにクロルはその場に膝をつく。主茎をさらに折り曲げて花の中のラフィーナが、さらに彼に近づいた。

「街中、探したんだ、キミの事を。キミがどこにもいないと知って、自棄やけになったボクは暴れ回って、たくさんの人を傷つけて……」

 膝をついたまま嗚咽するクロルの姿に、彼女は悲しげな視線を向けた。

「帰ろう、ラフィーナ、執事さんもずっとキミの帰りを待ってるんだ」

 だが、その言葉に返事はない。クロルは顔を上げる。

「帰ろう。そして新しい旅に出かけるんだ。二人で!」

 だが、彼女は悲し気に首を横に振った。

「ダメよ。クロル、私はもう貴方とは一緒にいられない。私にはその資格はないの」

「どうして?」

「私の姿をみたら分かるでしょう? 私はもう人間じゃないの。モンスターなのよ」

「そんなことない! キミはキミだ。すぐに元に戻れるよ! ボクがそうしてあげる。ボクはもう……《冒険者》なんだから」

「そうじゃないの、クロル、私はね……」

 そのまま彼女は目を伏せる。悲しみと辛さを織り交ぜた表情を浮かべて、彼女は告げた。

「姿だけじゃないの。私の心そのものがモンスターなの」

 その言葉にクロルは絶句する。

「もう、気付いているでしょう、貴方なら。私が公会堂の中でした事を……。私はね、身も心もたくさんの人の血にどっぷりとまみれてるのよ」

「違う! そんなことない! キミは……ラフィーナは……モンスターなんかじゃない。本当のキミは優しい……」

「クロルは優しいね……」

 言葉とは裏腹に小さな棘が感じられる。自嘲気味に笑うラフィーナは続けた。

「でもね、クロル、今の私にはあなたの優しさはとても辛いんだ。だってどんなに言葉で否定しても、私のした事は変わらない……」

「ラフィーナ」

「あの日、アマンダを放り出した後、私は私の全てを私の中のもう一人の私に引き渡したの。私の全てを終わらせる為に。そして、彼らを皆殺しにした……」

 淡々と語り続ける彼女の言葉を遮るものは一人としていない。

「とても滑稽だったわ。あんなに立派な事を言って私の事を弾劾し続けていた貴族や富裕層の人達が死んでいく様は……。覚えてる? クロル、あの運命の日のダンジョンの中の出来事を。とても正しくて立派なこの街の人々は皆、あの日の私達以下だったわ。モンスターに姿を変えた私に出口を封じられた彼らはね、私に立ち向かおうなんてしなかったの。武器を持ってる人だってたくさんいたのに……」

「ラフィーナ……」

「言葉が通じぬと見るや否や、彼らはこぞって次々に周囲の人を生贄に差し出した。誰を次にするか私の目の前で争い合い、果ては武器を手にして殺し合いまで始める始末。そんな姿を見てね、私、安心しちゃったんだ。ああ、私だけじゃなかったんだって。私よりもっと醜くて卑しくて浅ましい人たちがいるんだって……、いろんな事を押し付けられて抱えこんだまま身動きの取れなくなっていた自分がなんだかバカみたいだったわ。だから皆殺しにしたの。ううん、違うわね、一人だけ残したわ。最後にね、お母様を残したの。自分の親だからね。きっと誇り高い貴族として最後まで振る舞い、正しい言葉で私を叱るに違いないって期待したの。国の正義、貴族の誇り、高貴なる者の務め。いつもあんなに立派な事を言うんだから……。でもね、おかしいのよ。お母様はね、あの人は……」

 本当に可笑しそうに彼女は笑う。その狂気の笑みにザックスの背筋がふるえる。

「命乞いをしたわ。たくさんの人の血と肉片で染まった床の上に這いつくばって、カエルのように惨めな姿で。ううん、自分の力で飛び跳ねるだけまだカエルの方がましね……。周囲に転がっていた剣や槍に目もくれず、闘う事も自決する事も放棄して、自分だけは助けてくれって、髪を振り乱して半狂乱になって……。戦場で死んだお父様を不甲斐ないと蔑み、ようやく街に帰りついた私を罵倒したあの人のそんな姿は、とても醜悪だった。滑稽だった。哀れだった。それが私の母親の真実の姿だったの。だから、彼女に相応しい結末を与えてあげた」

彼女の笑みはいつしか悲しげなものに変わっている。ザックスの記憶の底にある、時折見せたあの表情だった。

「ううん、違うわね、あれがこの街の、私の故郷に暮らす人々の本当の姿だった。そして気付いたんだ。私の全てはあの日、初めて入ったダンジョンの中で《魔将》に襲われたときに終わっていたんだって。私の心はあのときすでに死んでいたのよ」

「違うよ、ラフィーナ、そんな事言っちゃダメだ。キミは……間違ってるよ」

「ありがとう、クロル。貴方だけよ。私にきちんと本音をぶつけてくれるのは……。クロル、私はね、人として越えてはならない一線をとうに踏み越えてしまったモンスターなのよ。だから、もうあなたの側にはいられない」

「ラフィーナ、そんな事ない。キミは自分がやった事が分かっている。それが悪い事だって自覚してる。キミはまだ人の心を捨ててなんかいない。本当にキミがモンスターならばキミはボクを襲っている筈だ。このダンジョンで戦ってきたモンスター達と同じように……」

 立ち上がってクロルは腕を伸ばす。

「この街を出よう、そのためにボクはもう一度《冒険者》になったんだ。キミが笑っていられる場所を一緒にさがす、そのためにボクはここまでやってきたんだ! 本当はね、キミの事を放り出して、怖くて途中で逃げ出しそうになったこともある。でもね、そんな弱いボクの事をザックス達が支えてくれた。キミだっていつか分かる。仲間ってのがどういうものなのか。キミの周囲でキミを苦しめた人達なんかとは全く違う、そんな人たちがたくさんいるって事を教えてあげるよ」

 だが、ラフィーナは自身に伸ばされた手を取ろうとはしなかった。代わりに彼女は初めて心から嬉しそうな笑みを浮かべた。

「よかった、クロルは《冒険者》になれたんだね、本当の……。よかった、本当に良かった」

「キミだってなれるさ。弱虫のボクにだってなれたんだから」

 彼女の笑みは変わらない。微笑みを浮かべたまま、静かにはっきりとクロルに言った。

「じゃあ、《冒険者》になったクロルにお願いがあるの。今の私は自決する事はできない。だから、私を殺して。そして今度こそ、本当に私の全てを終わらせてほしいの、貴方自身の手で。私の大切なたった一人の仲間だった貴方に……」

「イヤだ。バカなこと言うな! ラフィーナ。言ったはずだ! キミと楽しい事を探す為に《冒険者》になったんだって。そんな事を言うキミなんて大嫌いだ!」

「クロル、私を困らせないで……」

「困らせてるのはキミだ! ラフィーナ! ボクはキミに殺されたって絶対に殺したりしない! キミをここから絶対に連れ出す。そう心に決めたんだ!」

 さらにクロルは一歩踏み出す。その勢いに気圧された彼女が僅かに引いた。巨大な花弁が躊躇いがちに動く。さらに踏み出したクロルが腕を伸ばす。そして、彼女の手をしっかりと掴んだ。反射的に振りほどこうとする彼女に構わず、クロルは掴んだその手を放さなかった。

「相変わらずキミの手は冷たいね。でも、ボクは知ってるから。キミがとても暖かくて優しい人だって」

「それでも、私は……、やっぱり一緒に行けないんだよ……」

 悲しげにその瞳が揺れ、涙が、溢れだす。そして意外な結末が訪れた。手をつないだ二人の間に予期せぬ第三者の声が響いた。

「では、そろそろ、私が終わらせて差し上げましょう」

 聞き覚えのある声が響く。反射的にザックスが愛剣を引き抜き、アルティナの表情が変わった。そしてクロルとラフィーナ、二人の悲鳴と絶叫が響き渡った。

 眼前の光景に誰もが言葉を失う。

 ラフィーナの上半身。その胸の中央から一本の腕が生えている。その手に握られた物の正体に気付き、彼女の血を浴びながらクロルは絶叫する。

「ラフィーナ!」

 自身を突然襲った事態にショックを受けつつ、ラフィーナは最後の力を振り絞ってクロルを突き放す。強力な力で突き飛ばされ床に転がるクロルの元にザックス達が駆け付けた。彼らの助けを借りて起き上がったクロルが再び見上げたその先には彼女の背後から突き刺した腕を引き抜く《杯の魔将》ヒュディウスの姿があった。引き抜いた手に握られたもの――彼女の心臓の存在を確かめると、ヒュディウスはその場を大きく離れる。同時に巨大な植物の形が徐々に崩れ始め、やがてラフィーナの裸身だけがその場に残り、石の床の上に崩れ落ちて床石を真っ赤に染めた。

 名を叫びながらその身体を抱き上げたクロルの腕の中で、ラフィーナは苦しげに呼吸していた。もう、助からない――彼女の顔に浮かんだ死相がそう告げていた。

 二人を背にしてザックス達は《杯の魔将》を睨みつける。

 そんな彼らから少し離れた所に立った魔人は己の懐から粗末な木の杯を取り出した。左手に握ったラフィーナの心臓を握りつぶし、それを手にした杯で受け止める。途端に杯は金色の光を放ち、その中身を魔人は一息に飲み干した。

 瞬間、巨大なマナの波動が膨れ上がり、その中心に立った《杯の魔将》ヒュディウスの存在感と威圧感が桁違いに大きくなる。これまで感じた事のない圧倒的なその力に、眼前の敵は確かに《魔将》である事を実感する。

 己のやるべき事をやり終えたヒュディウスは余裕の笑みを浮かべながら、ザックス達に告げた。

「心臓を引き抜かれたとはいえ、まだマナは尽きていません。彼女とのお別れの時間くらいは残っていますよ」

《杯の魔将》の動きに警戒しながら振り返ったその先には、少しずつ手足の先から光になって消えて行くラフィーナとそれを抱きしめるクロルの姿があった。

「ラフィーナ、死んじゃダメだ。ボクはまだ約束を果たしてない! お願いだから目をあけてよ!」

 その言葉に僅かに反応するかのようにラフィーナはうっすらと目をあける。彼女の顔に浮かんだのは懐かしい優しげな儚い頬笑みだった。

「クロ……ル。迎えに、来て……くれてありがとう……。ゴメン……ね。もうお別れ……だよ」

「ダメだ! ボクはまだキミに何もしてない。キミは苦しんだ分だけ、これからたくさん笑わなきゃいけないんだ!」

 彼女を強く抱きしめるクロルの頭に向かって、消えかけた左手を伸ばす。すでに二の腕近くに達した消滅の光によって、彼女の手が彼の頭に触れる事はなかった。

「クロル……は、やさ……しい……ね……」

 その言葉を残して、目を閉じる。そして彼女の身体はマナの光になって消えていった。それは、人が死に至る過程には決してありえない、彼女のモンスターとしての結末を意味していた。

 己の腕の中で消えゆく最後の輝きを必死で抱きしめようとするクロルだったが、その腕の中の光が完全に消滅した事で呆然とした表情を浮かべて宙を仰ぎ見る。そして吐き出すように叫んだ。

「ラフィーナ、どうしてだよ、ボクはまだキミに何もしてあげてないんだ」

 小さな両の拳を床にたたきつける

「キミはもっと知るべきなんだ。世の中は広いってことを……」

 二度、三度と、クロルはラフィーナが消えていった床石を叩く。

「面白い事も、驚く事も、信じられない事も、たくさんあるんだ。ボクがキミと離れたほんの短い時間の中で知った色んなことだって、まだ何にも話してあげてないじゃないか」

 絶叫し、号泣し、額を床にたたきつける。

「どうしてだよ! どうしてこうなるんだよ! ラフィーナ!」

 彼女の名を呼び、泣き叫ぶクロルに、冷たい一声が浴びせられた。

「それは彼女が己に課された義務を結果的に果たしたからですよ、クロルさん」

 その言葉に一同が一斉に振り返る。4人の視線の先には淡々とした表情で語る《杯の魔将》の姿があった。

「お前に何が分かる!」

 クロルの怒りの叫びに魔人は冷静に返答する。

「分かるのですよ、今の私の中には集められた力と共に、僅かな彼女の想いの残滓が残っていますからね……」

 その答えに誰もが絶句する。魔人は続けた。

「古き姿を捨て、新しき姿に生まれ変わろうとするこの街に暮らす人々の願いから生まれた彼女達の運命は、脆くも崩れ去った。尤もその片棒を担いだのは私である訳ですが、その中で彼女は気付いたのですよ。この街が生まれ変わる為に本当に滅ばねばならぬ者達が誰であるかという事に。そして、彼女は己の身を捨てその義務を果たした。表面ばかりを変えただけでその本質を変えようとしなかった古き者達に鉄槌を下したのです。決して報われない、ただ憎まれるだけの行為を身を呈して行う。まさに『高貴なる者の義務』を果たした者の姿ではないですか」

 彼に向けられる厳しい視線に構わず、魔人は語る。

「ここにくるまで貴方達も見てきた筈です。醜さ、浅ましさ、貪欲さ。生きようとする人々の意思の集まりが垂れ流す膨大な汚物の処理を最も貧乏くじを引いた者に押し付け、その犠牲を見ぬふりする。あるいは英雄譚に美化して都合よく書き換え、語り継ぐ。本来、人が生きるというのはそういう事なのでしょう」

 まるで語り部のように魔人は淡々と振舞う。

「彼女が己の身と共に焼き払った土地の上に新しい人々がやってきて畑を作り種をまき、やがて新しい実が育つ。収穫に喜ぶ人々の中におそらく彼女の事を知る者などいないでしょう。当の彼女だって自身がそんな役割を果たしていた事には気付きもしなかったはず。これはもう、何者かの意思が働いたという以外にないでしょう」

「黙れ、ラフィーナを殺したのはお前じゃないか!」

 クロルの言葉に魔人は初めて笑みを浮かべた。

「心外ですね、私はあなたに代わって彼女の願いをかなえて差し上げただけですよ。代償と引き換えにね。非難されるべきはむしろ貴方の方にある……」

「バカなこと言わないで! クロルが何をしたっていうの?」

 アルティナの怒りが魔人に向かう。

「魔物となって苦しむ彼女の願いを、どうして叶えてあげなかったのですか。彼女は言ったはずです。自分を殺してくれと。でも貴方は聞かなかった。魔物と化した彼女に止めをさすという汚れ役を引き受けるどころか、自分の我がままを彼女に押し付けて苦しめ続けた。それだけじゃない。彼女はこの街に帰るまでの道中、ここに帰りたくないと、あなたに言いませんでしたか」

「それは……」

「自分の心は私に襲われた時に死んだ。彼女はそう言いましたが本当でしょうか? 彼女は度々貴方に助けを求めていたのではありませんか。だが、貴方は聞かずに、自分の気持ちを押し付けた」

「違う! ボクは……」

「結果として私が憎まれ役を引き受け、貴方はそこで悲劇の主役を気取っている。死んでいった彼女の意思を都合よく解釈して……。そういう……」

「黙れ!」

 ザックスの押し殺した声が響き渡る。その迫力に一瞬、魔人すらも黙りこむ。

「いい加減に黙れ、ヒュディウス、その薄汚い口を閉じろ!」

 愛剣の柄を握り腰だめに構えながら、ザックスは前に進み出る。

「これ以上、死んでいったオレ達の仲間の尊厳ほこりを侮辱するな!」

 その言葉にヒュディウスは大きく笑う。

「仲間ですか、ずいぶんと都合のいい言葉……」

 瞬間、両者の姿がぶれた。魔人のいた場所に愛剣を抜き放ったザックスが現れ、さらに離れた場所に魔人の姿が現れる。

「分かったふりして軽々しく彼女の想いを語るな! 二人の間の事は二人が決めるものだ。他人が……、ましてや踏みにじった張本人である下種なお前に口を挟む権利はねえ!」

 その一言で魔人の笑みが消えた。

「下種ですか……。ずいぶんと大きな口を叩くようになったものですね、ザックスさん」

 だが、その言葉にザックスは取り合わない。魔人に剣を向けたまま彼は言い放った。

「クロル、泣くのも悲しむのも後回しだ! 立ちあがって《鉄機人》に乗れ! アルティナ、おっさん、戦闘開始だ。この下種野郎を軽く一捻りして、全てを終わらせる!」

 その言葉で仲間たちが身構える。涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を袖口で拭き取り、クロルはザックスの言葉に従った。

 ザックスの元に集まる仲間達と睨み合う魔人。だが、その顔が突然破顔する。

「くっくっくっ……。ザックスさん、貴方、本当に可笑しいですね。滑稽ですよ! この私を軽く一捻り、ですか。この《魔将》である私を……。一体、何を思い上がっていらっしゃるんでしょうかね、貴方は!」

 最後の言葉には強烈な怒気が含まれていた。同時に破裂するかの如きマナの波動と共に大広間内の空気が歪んだ。

 一瞬肩を強く掴まれるかの感覚に振り返ったザックスの視界に、身体の輪郭がぼやけたライアットの姿が映る。

「おっさん!」

 ザックスの肩を掴んだ感触を残したまま、ライアットはそのまま消えてしまった。消え去る一瞬、互いの視線が合う。後にはアルティナと《鉄機人》に乗ったクロルの姿のみが残された。




2012/11/13 初稿





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