39 神殿、異変す!
古ぼけた扉が音もなく閉じる。手にした鍵で施錠し彼女は合言葉を唱えた。途端に見えぬ力が鉄扉に加わって、周囲の壁と一体化したかのような感覚を覚えた。
ここしばらく通い詰めた王宮書庫の建物もこれでしばらくは見納め。明日からは又、神殿内での中級巫女としての様々なお務めが待っている。妹分が始めた《洗礼の滝》の部屋の清掃も、今やマリナと同僚の巫女達の奮闘努力によって9割方まで終わっている。
神官長であるアリウスの協力によって、こうやってこの場所に通い詰める事ができた一方で、特別扱いを受ける彼女への嫉妬混じりのとある上級巫女の軽い嫌がらせにもすっかり慣れ、周囲は一見、至って平穏な毎日である。
だが、今この足元では彼女の大切な知人たちが人知れず、己の目的の為に命をかけている。そんな彼らに神殿巫女である己が役に立てることなど何もなく、ただ彼らの無事の帰りを願いながら、日々を過ごすだけだった。
わずかに寒さの緩みが感じられる空気の中を、陽光にきらめく歴史の重みを感じさせる壮麗な建築物の数々を眺めながらしっかりとした足取りで歩く。騒乱を終えた街は、すっかり平穏を取り戻したように見えるが、それもいつまで続く事だろう? 争い合わねば生きていけぬ人の性は、ささやかなきっかけで次なる騒乱を再び呼び起こさせる事もありうる。
正門に近づいたところで彼女は足を止める。数人の男達がその姿を認めるや否やゆっくりと近づいた。
「ご機嫌麗しゅう、マリナ殿」
「いえ、こちらこそ。お陰さまでずいぶんと有意義な時間を過ごさせていただきました」
マリナを出迎えたのは手の中にある合い鍵を彼女に預けた男である。後ろに控えているのは彼の腹心の部下達であろう。
神殿礼をする男に対して返礼したマリナは手の中の合い鍵をそっと返却する。
「お役にたてたようで、なによりです」
「いえ、こちらこそ、力及ばずですが……」
「また、何かご用があれば、いつでもご協力いたします」
「ありがとうございます。ただ、私は上級巫女を降格された身。貴殿のお役に立てるかどうかは分かりませんが……」
それ以上の言葉を交わす必要はない。それでは、と会釈をして正門へと消えてゆくマリナを深々とした礼と共に見送ると、男は黙って伴の者達と共に書庫へと向かう。人の営みの歴史は、光と影があってこそ真の姿が見えるもの。真実を隠すにはどちらか一方だけを見せればよいのである。新たな街に暮らす者達に不要な時代の影を覆い隠すべく、書庫に眠っていた幾冊もの『禁書』が歴史の闇にその姿を消した事を知る者はいない。
「あっ、姉ちゃん! 早かったんだな」
敬礼をする衛兵たちの間を通って正門を抜けたマリナを待っていたのはジルと彼の仲間たちである。錆びたナイフを腰にさした彼と、手に手に棒きれを持って周囲を警戒するかの視線を送るその仲間達と共にマリナは神殿への道のりを歩き始める。
「いつもの方はどうされましたか?」
「なんか緊急の用事が入ったみたいで、先に神殿に帰るってさ……姉ちゃんに謝っといてって」
「そうですか……」
珍しい事もあるものだとふと、思案する。こちらにやってきて以来、なにかとマリナの周囲に身を置き、世話を焼きたがっていた神官の彼女らしくない行動にふと疑念が浮かぶ。
ザックス達が迷宮へと旅立った後、マリナの王宮訪問の為の護衛を買って出たのが彼女だった。騒乱がとりあえず収まったとはいえ、まだまだ護衛なしで歩くには心もとない。とはいえ、事が事だけに、書庫についてこられても困るわけで、如何したものかと思案したところに現れたのがジル達だった。ジルとその仲間達に終了日までの夕食を護衛料として契約する事で、マリナの周囲の小さな臨時護衛団を彼女と共に正門近くで待たせることに成功したのだった。
「私にもしもの事があれば、まずは協会長殿のところへ。それから神官長様にご報告を」
マリナの簡潔な指示に一瞬、怪訝な顔を浮かべたジルだったが、すぐにその意図を理解したらしい。まかせときな、という言葉と共に彼はマリナの望み以上の働きをしてみせ、仲間たちと共に連日、正門で女性神官の足止めを行っていた。
「オイラ、あの人、キライだ!」
「まあ、そのような事、言ってはいけませんよ、ジル」
たしなめながらも子供の感受性の強さに舌を巻く。人の世に交わり、年を経るごとに鈍感になっていく大人の感性では見落とす事を直感的に見抜いてしまうのが、子供の恐ろしい所である。
急激に物資が流通し始めた街では人の流れも大きく様変わりし、大通りには営業を再開した店が軒を連ね、さまざま商品が店先を飾り始めている。それらを物珍しそうに立ち止まって眺める一人の子供の袖を、仕事中だからと仲間たちが引っ張る姿はどこかほほえましい。
「兄ちゃん達、まだ、帰ってこないのかな」
「大丈夫ですよ、彼らはどんな時でもきちんと帰ってきました。今度だって必ず……ね」
ザックス達の姿が自らの教えた入口を通って迷宮に消えて以来、彼は毎晩、マリナの護衛を終えたその足で、近くまで様子を見に行っているようだ。自らの教えた入口から消えて行った知人の消息に思いを馳せるのは、彼の責任感の強さゆえの事か。あるいは街の子供たちと同じように、彼にとってザックスは、特別な存在であるのかもしれない。
「大丈夫だよね?」
「ええ」
傍らでぽつりと不安げに呟くジルの頭をマリナはそっと撫でる。その行為に顔を真っ赤にするジルと、それをはしゃぎたてる仲間達に囲まれながら、マリナは神殿に向かって夕暮れに近づきつつある大通りを歩いていた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
閑散とした廊下を少々重い足取りでアリウスは進む。
ときおり遠くから聞こえてくる信者達の笑い声が心地よく響く様は、解放の日以来、神殿内の空気が徐々に様変わりしていった結果を示すものである。
だが、つい先ほど訪れた客の存在が己の心に奇妙な重さを生み出している事を彼は自覚していた。
ふと立ち止まり、懐に手を入れる。そこには護身用と称して持ち歩くナイフが一丁。
いかに神官長とはいえ、時として争い事の矢面に立つ以上、そういった準備も必要である、などというのは建て前で、彼がそれを所持しているのには別の理由がある。
一つ深く呼吸をして件の客人の待つ部屋へと足を向ける。と、扉が開き、その部屋から一人の見知った者の姿が現れた。一瞬垣間見せた表情で、瞬時に事態を把握する。
(成程、そういう事か……)
現れたのはこの神殿に補充人員として配置された若い女性神官だった。ここに来てまだ、2カ月程度だろう。何かにつけて、マリナの側に身を置かんとする彼女の振る舞いに、そこはかとなく疑念を抱いていたものの、事態はもう少し複雑であったらしい。わずかに頬を赤らめて扉を閉める彼女は、アリウスと顔を合わせるや否や、すぐさまその人間臭い表情を消し、取り繕うかのような神殿礼と共に足早に立ち去ってゆく。
「まだ若いだろうに……」
その背を覚めた目で見送りつつ、ぽつりと彼は呟く。創世神殿がいかに大いなる神に携わる場所とはいえ、所詮人の集まる組織である。眼前を通り過ぎて行ったのは、大きな組織の中に身を置けばどこにでもある、さほど珍しくもなんともない人間の営みの一つである。
もう一度懐に手を入れて、その存在を確かめると、彼は落ち着いて扉を叩き中へと入ってゆく。
「遠路遥々、ようこそいらっしゃいました。ご無沙汰いたしております。師よ……」
「ああ」
そろそろ老年と呼ばれる年に手が届きそうな壮年の男は、アリウスが最もよく知る人物である。到着早々、何かと不便な馬車の旅の鬱憤を上等な酒で晴らすその姿をみれば、彼の聖職者としての程度は知れるものである。尤もそんな人物でなければ、魑魅魍魎はびこる最高神殿内の濁流を泳げないのは事実であり、そんな彼を師として仰がねば、今日のアリウス自身がないのもまた事実である。
彼の隣に座り空になったグラスに酒を注ぐ。お前も飲めという無造作な勧めに従い、予備のグラスに酒を注ぐ。芳醇な匂いがふわりと周囲に広がる。それはこの神殿が再開して以来、決して広がる事のなかったという事をこの男は知っているのだろうか――そんな思いがアリウスの脳裏をよぎる。
ひとしきりつまらぬ昔語りにうつつを抜かしていたアリウスの師は、やがて、ぽつりとその本題に入った。その言葉にアリウスの顔色が小さく変わった。酒で赤く染まった男の目は冷静にアリウスの表情の変化を読み取ろうとしている。酔った振りをしているものの、この男はまだ酔っていない、その程度の事は長い付き合いで十分に承知していた。
他人を使いながらも決して信用しない、相手が弟子であれ、女であれ同じ事。そうやって、彼は幾重にも人の折り重なる山をよじ登ってきたのであり、アリウスも又そのやり方を学んできたはずだった。唾棄すべき感情を押し殺して……。
「約束が違うではありませんか、師よ……」
その言葉を男はフンと鼻で笑う。
「状況が変わったのだ。貴様が三年近く、この田舎でのんびりと陰謀ごっこにうつつを抜かしている間も、最高神殿の中では時が動き続けているのだ」
言われずとも百も承知である。それを承知でわざわざこの地に来たのは、より高みを目指すための大きなアドバンテージを得ることが目的である。新たな自由都市の成立によって生み出される莫大な利権は、商業同盟だけでなく、創世神殿にも大きな富をもたらす。
動揺する心を静め、彼の言葉の真意を探る。
このアテレスタの解放が決定するや否や、自由都市化は確約され、この街の神殿は再び大神殿へと昇格する事は決定事項だった。その為にアリウスは三年もの間、この街の多くの人々と交わり、その土台を築いて来た。転移の扉で再び結ばれ新たな人の流れが生まれれば、周辺の領主達の生活も大きく様変わりし、この街は辺境ではなくなる。
自らの作り上げた基盤を踏み台にしてさらなる高みを。大神殿神官長の地位を確約されていた彼はそのためにこれまで踏ん張ってきたのだった。だが、ここにきて事態は急変する。新たな大神殿の神官長の地位を得たのは、眼前に座る己の師であった。弟子の手柄を横から奪い、己の物とした訳である。
(相変わらずな御方だ)
手を懐に忍ばせてそっとそれを握りしめ、己を落ち着かせる。彼の行為は別段予想していなかった訳ではない。ただ、ここまで露骨な振る舞いを見せるとは思わなかったが……。
「……して、私の処遇は、如何程に……」
アリウスの問いにさして表情を変える事もなく男は言う。
「うむ、貴様には、《スレソナ》へと向かってもらいたい、ここでの経験を活かして、新たな布教地にて貴様の力をいかんなく発揮してほしい」
《スレソナ》――大陸の某国にある主要都市の一つである。《アテレスタ》と非常に似かよった状況にあり、彼は再びここで行ったことと同じ役割を望まれているという訳である。
心の中で小さく嘲笑う。
――成程、そういう事か、と。
早い話が斬り捨てられかけている訳である。そして自身を切り捨てようとしている者も又、沈む泥船であるという事実を理解する。
弟子の手柄を横取りする代わりに彼がどうアリウスを扱うのかで、彼の人としての器と現在の神殿内での力量が知れる。自身の手元において、新たな利権を確実なものとする為に補佐させ、この地に生まれたシステムを盤石なものとなす。あるいは、彼を最高神殿内の要職につけ、自身の野望の新たな楔として打ち込み、後方からそれを支援する――そんな図を描ける男ならば、彼の評価は上がり、もう少し利用価値があったものの、残念ながらそうではないらしい。
いかに魑魅魍魎はびこる最高神殿とはいえ、所詮は人間の集まり。弟子の手柄を横取りしようとする彼の行いは、後々大きな代償を彼に支払わせる事になるだろう。そのことを理解していないはずはない。
だが、そこまでなりふり構っていないのはなぜなのか?
答えは簡単な事だ。早い話が焦っているのである。
長老会に加わる為には、彼はライバルたちに比べて年を取り過ぎている。そしてそれを補うための己の手駒が少なすぎるという訳である。アリウスの扱いをみればそれは火を見るよりも明らか。猜疑の塊である男の性格ゆえに自身の地位を脅かす者を遠ざけ続けることで、年齢の近いものから次々に見放される。より経験不足の若者を巧みに手の内に引き込んでも、それはあまりに脆い盾や基盤としかなりえない。そうやって組織内でより強いものに食われ、己を摩耗させながら堕ちてゆく――眼前の男はそういった類の転落の人生を歩みつつある訳である。
――切り捨て時だな。
再び懐に手をやり己を落ち着かせる。後は如何に己に傷なく沈む泥船から逃げ出すか。己のもつカードの種類と枚数を思い浮かべながら、もっとも無難かつより有効に事態を収拾すべく知恵を巡らせる。そんな時だった。師である男は奇妙な事を呟いた。
「幸いなことにここには、なかなか面白そうな手駒がわんさかとある。英雄気取りの《魔将殺し》に、《鉄機人》だったか。中々に面白い仕掛けをしたものだ」
ニヤリと笑う男に対してアリウスは表情を一切変える事はない。真実などはいずれ知れるもの。知れたところで上手く覆い隠せば済む事である。だが、その後の男の言葉はアリウスの心を大きく揺るがせるに十分だった。
「ほかにもそうそう、確か、マリナとかいったかな、あの神殿巫女は。なかなかに美しい娘だそうだな」
その言葉に小さく鳥肌が立つ。
「つい先日も、小賢しい知恵を使って長老共を煙に巻いたそうだが、所詮は浅知恵。もっとも宛ての外れた者達の右往左往する姿はなかなか楽しめたが、それも所詮は一時の事。あれを最高神殿への貢物とすれば、まだまだワシの遅れを取り戻してさらに有り余るものが得られよう」
少しずつ思考が白くなっていく。アリウスの様子を楽しむかのように男は追い打ちをかける。
「そう言えば、貴様は昔からあれに懸想しておったのう」
下卑た笑いを浮かべて男は続けた。
「若い娘の代わりなどいくらでもきく。いかに美しさを誇ろうとも所詮は女。あの娘も又、いずれは年をとり、醜く老いさらばえて、己よりも若くみずみずしい娘達に嫉妬しながら朽ちてゆく。その美貌が類いまれであればある程、その差は惨めな物だ。貴様もいずれは分かるだろうよ。若さゆえの情熱など所詮はまやかしであるという事が……」
――お前ごときの物差しで彼女を図るな!
先ほどすれ違った女性神官の顔が思い浮かぶ。醜い者の側には醜い感情が集ってゆく。それは決して無視できぬ人の世の理の一つである。己の弟子が己の支配下にあるという事を十分に理解したうえで、彼を嬲り続けるかの如く師は傲慢に語り続ける。
「ふむ、ただ貢ぐのも芸がない。放りこむ前に味を試しておくのもまた一興か……」
その言葉は決定的だった。生まれて初めて経験する心のタガが外れる音を聞いた後、アリウスの脳裏は完全に白く染まった。その後の彼の記憶ははっきりしない。
彼が懐にナイフを忍ばせるのは護身用というためだけではない。人の世の汚泥にどっぷりと染まった神殿内を泳ぎきるためには、未熟な己の感情を押し殺す為のきっかけが必要なのである。
己の前で傲慢な素顔をさらけ出して享楽に耽る者の背中に立ち、懐のナイフを使って空想の中でその者をつき殺す。突然に訪れた己の死に遭遇する者はほとんどと言っていいほどに取り乱し、泣きわめきながら絶望して死んでゆく。その者が傲慢であればある程、その光景は実に小気味よい。その者のすぐ側で懐の中のナイフを握りしめその光景を想像する事で、彼は何十度となく己の感情の爆発をやり過ごしてきた。それは身を守るというよりもむしろ、己の心を守る為の役割を果たしていた。
眼前の男の胸にそれをつきたてた事はもはや数え切れない。それは決して実現してはならぬ空想の世界の中での出来事……のはずだった。
己の脳裏が白く染まった後で、ふと気付いたアリウスが次に目にしたのは、常に懐に仕舞っていたはずの朱に染まったナイフとそれをしっかりと握る己の右手だった。
強すぎる力で握りしめたためか、まるで血で張り付いたように放れぬ己の指を強引に開いて、赤く染まったナイフを放り出す。
座っていた椅子ごとひっくり返って動かぬ師であった者の顔は、小気味よく歪んだまま動く気配はない。傍らに置いてあった飲みかけのボトルを手に取ったアリウスは、残りをその身体にたっぷりと降りかけると、丁寧に神殿礼をして部屋を立ち去った。
返り血に真っ赤に染まった神官着を身につけたままのアリウスと廊下ですれ違った者達が、次々に悲鳴を上げるのをどこか遠くの世界での出来事のように感じながら、彼は唯、ぼんやりと歩き続けていた。
突如として《アテレスタ》神殿内で起きた一連の凶事は、幾人もの人々の運命を大きく変えることとなった。だが、長い創世神殿の歴史の中での些細な出来事として、いずれは忘れ去られていくことになるのである。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
地下31層――《杯の魔将》ヒュディウスが指定した最終階層にある大広間に続くその扉の前に、疲労の色を隠せぬものの決して闘志を失わぬ4人の冒険者達の姿があった。
「いよいよだな……」
「長かったわね……」
「うん」
一度は大きく崩れかけた心を仲間に支えてもらいながら立ちあがったクロルと共に、ザックス達はここまでの道のりをどうにか歩いて来ていた。対《イエロードラゴン》戦で大きなダメージを負った《鉄機人》を後ろに下げ、極力無駄な戦闘を避けながら辿りついたその場所はしんと静まり返っている。
大きなトラブルもなくどうにかやってきた4人は最後の休息をとると再び立ち上がり、いよいよこの探索の締めとなる大扉に手をかける。
「さっさと片付けて《ペネロペイヤ》に帰ろう」
「いい加減、携帯食にも飽きたところよ。ハミッシュの料理が懐かしいわ」
「ゆっくり体を伸ばして眠りたいな」
相変わらず寡黙なライアットにリーダーのザックスは声をかける。
「いよいよ最後だ、おっさん、頼んだぜ」
「分かっておる」
無愛想なその面も彼の人となりに多少でも触れれば、それなりに味わいがあるのだろう。もっとも慣れ合う事は決してできないのであろうが……。
様々な想いを胸にして、四人の冒険者達は眼前の扉を押しあける。
「今、行くよ、ラフィーナ」
クロルの小さな呟きは、重々しく周囲に響き渡る開門音にかき消されていった。
2012/11/10 初稿




