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Lucky & Unlucky  ~アドベクシュ冒険譚~  作者: 暇犬
アドベクシュ冒険譚03章 ~騒乱の都市編~
74/157

31 見つケロ君、跳ねる!

 協会長から《跳躍の指輪》を受け取ったザックス達一行は入口付近の壁に印をつけると不気味な口を広げる地下ダンジョンへの第一歩を踏み出した。

「イヤな感じね……」

 魔法光を空中に灯らせたアルティナが率直に感想を述べる。これまで中級クラスのダンジョンに何度も入ってきた二人だったが、この場所に流れるマナの気配はこれまでのどれとも異なるものを感じさせた。

「油断するなよ。先頭はオレ、続いてクロル、アルティナ、殿におっさんの順で進む。特に、クロルは無茶するなよ」

「分かってるよ」

 今回が三回目の探索となるクロルの経験不足は大きな問題であるが、それはいずれ時間が解決する事である。何の世界でも未熟だからといって後進の育成を敬遠すれば、結局のところ己の首を絞める事になるものだ。未熟な者を導き引き上げることこそ上級者の務め……かつてダントンによって自身が引き上げられたように、今度はザックス達にその役割が回ってきただけの事である。

「あっ、ちょっと待って……」

 気を引き締めて先に進もうとしたザックスをクロルが呼びとめる。ふりかえるとクロルは《鉄機人》の胸甲板を引き上げて外に出ると、ごそごそと《バッグ》を探っている。

「何してるんだ?」

 ザックスの問いに暫し無言のクロルだったが、やがてとあるアイテムを取り出し、彼の眼前に差し出した。手のひらより少し大きなそれは、カエルの形を模したもののようだ。

「何だ、それは?」

 差し出されたアイテムに面食らうザックスに向かって、ふふんと胸をはったクロルは、その名を高らかに告げた。

「これこそボクの発明品! その名もトラップサーチャー『《見つケロ君》5号』だ!」

 小柄な体になぜか大きな態度のホビットの少年の言葉に、ザックスを始めとした3人の仲間達は唖然としている。

「い、一体、何をする物なの?」

 アルティナの問いにさらに大きく胸をはってクロルは答えた。

「ふふん、よくぞ聞いてくれた。ダンジョンには幾つもの危険なトラップが仕掛けられているのは周知の事実。これはそのトラップを事前に察知し、パーティの安全を確保するためのいわば索敵アイテム! そもそもボクがこれを思いついたのは……」

 発明を思いついた経緯、その制作に至る様々な苦労、偶然による意外な発展性などなど、聞く者は呆れ、語る者は涙するクロルの物語が始まる。有無を言わさぬ語り口調に暫し唖然とする3人だったが、ザックスがようやく遮った。

「あのなあ、オレ達、遊びに行くんじゃないんだぞ……こんなもの、役に立つ訳ないだろう」

「全くだわ……。大体カエルの玩具なんて、趣味が悪すぎるわ」

「小さいの……」

 長いライアットの冒険者のキャリアの中でもこんな事態は初めてのことなのだろう。言葉を失った彼の内心は、今頃このパーティに参加した事を後悔しているに違いない。彼が契約解除を訴え、同行を拒否すれば、一大事である。

 だが、そんな仲間達の姿にクロルは全くめげていない。

「ふん、凡人には何時だって天才の斬新な発想は理解できないものさ」

 構わず《見つケロ君》を起動する。ぴょっこんぴょっこんと間抜けな音を立てながら飛び跳ねるその姿に、ザックスは小さないら立ちを覚えた。

「こんな物が役に立つんだったら、オレはダンジョンを逆立ちして踏破してやるよ!」

《魔将》の手の中で先行きの全く読めぬダンジョンに挑もうとするこの大切な時に、遊び気分でいられてはたまったものではない。だが、当のクロルは動じない。

「初めてこいつを目にした人間はみんなそう言って、こいつの本当の実力には気付かないのさ。そして後になって、後悔と共に己の知る世界の矮小さと愚劣さを思い知る事になるんだ」

 飛び跳ね続ける奇妙なアイテムをクロルがしまう気がない事を理解したザックスは、仕方なくそれを無視して前に進もうとする。

 不意に、ザックスの後頭部に《見つケロ君》が突撃し、その勢いでザックスはつんのめった。

「テメエ、何しやがる!」

 後頭部を押さえながら振り返って抗議するザックスの鼻先を大きく飛び越えた《見つケロ君》は、暗い通路の先へとぴょっこんぴょっこん飛び跳ねていく。と、次の瞬間、通路の先に激しい輝きが生まれ、続いて大きな爆発が連鎖的に起こる。

 慌てて通路に伏せたザックス達の頭上を、爆発の余波で生まれた熱風が勢いよく駆け抜け、後には呆然とした表情を浮かべた彼らの姿が残された。

「どうやら、トラップが仕掛けられてたみたいだね……、即死級の……」

 ぽつりと呟くクロルに3人は言葉もない。恐る恐る近づいて行ったその場所には、つい先ほどまで元気にその場を跳ねまわっていた《見つケロ君》が変わり果てた姿で転がっていた。

 まだじんわりと暖かい残骸を、アルティナが震える手で拾い上げる。もしも《見つケロ君》がいなければ、この場に無残な躯をさらしていたのはおそらく先頭を歩くザックスだったはず。《見つケロ君》は己の身を呈して彼らの命を守ったのだった。

 アルティナからその残骸を受け取ったザックスは、それを手にしたままがっくりと両ひざをついた。

「どうやらオレはこいつに命を助けられたようだな……」

「まあ、それがこいつの役割だからね」

 製作者の割り切った態度が、無責任な周囲の激しい批判バッシングにもめげず、黙って己の使命を全うした《見つケロ君》の偉大な功績を引き立てる。

「オレはお前の犠牲を決して無駄にしない、オレ達は決してお前の事を忘れないだろう」

 手の中の残骸に向かって語りかけるザックスの傍らで、アルティナが言う。

「そうね……、何事も見かけが全てではないのね。趣味が悪いなんて馬鹿にして御免なさい」

 ライアットに至っては追悼の祈りを捧げている。

 逝ってしまった小さな勇者の為に沈黙が訪れた。そしてクロルは再び語りはじめる。

「こうして己の役割を存分に果たした《見つケロ君》は華々しく逝ってしまった。同時に製作者であるボクにいくつもの課題を提示して……」

 神妙な顔でクロルの言葉をしみじみと聞きいる3人の冒険者達。と、やおら声のトーンを上げると、クロルは堂々とした態度で天に向かって拳を突き上げた。

「それでも、ボクは諦めなかった。《見つケロ君》の悲劇を乗り越え、ボクの熱く燃えたぎった創作者魂は今ここに、新たな希望の光を生み出した!」

バッグ》の中に勢いよく手を突っ込み、再び怪しげな品を取り出し、天高く掲げる。

「者ども、刮目せよ! これぞボク達の新たな希望、その名も『トラップサーチャー《見つケロ君》5.1号 あどばんすと!』」

 突きあげられたクロルの手の中には、先ほど爆散したものと同じ形状のアイテムが握られている。それを手にしたまま、クロルは誇らしく語る。

「解除の為にいちいちトラップに飛び込むのは効率が悪すぎる。これは先の5号の悲劇で実証済み。そこでこの改良型には簡易的なトラップ解除機能が組みこんである。これならおそらく、5号の悲劇が繰り返される事はないはずだ!」

 取り出された新たなアイテムを代わる代わる手にとっては、「おおっ!」と三人の冒険者達が歓声を上げる。技術は進化し続けるものさ、とクロルは3人の仲間達の反応を満足気に眺める。

 つい先ほどまでザックスの手の中にあった命の恩人の残骸は、とっくに道の傍らに放り捨てられていた。

「よし、じゃあ、先頭は任せたぞ、5.1号!」

「頼んだわよ、あどばんすと!」

「うむ、しっかりな」

 周囲の期待を一身に受けて、新たな《見つケロ君》はぴょっこんぴょっこんと元気よく飛び跳ねて行く。直ぐその後に従った4人の冒険者達の姿もやがて、暗い通路の奥へと消えていった。

 そして……、冒険者達の足音も消え去って静寂を取り戻したその場所には、より優秀な性能の後継機種の登場によってあっという間に忘れ去られてしまった5号の残骸が、ただ虚しく転がっていた。



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



 様々な不安要素を十分以上に抱えたザックス達一行の探索行は、予想に反して当初は順調そのものだった。

 だが、彼らの眼前に不気味に広がるダンジョンの地下空間は、第3層にきて意外な姿を彼らの前に現した。

 見覚えのある微細な光沢を放つ壁面が延々と続くその光景は、かつてバンガス達と共に踏破した《再会の迷宮》の下層部に広がる光景その物だった。

「ケル石かよ……」

「何かまずいの?」

 淡く輝く壁面を物珍し気に観察しながら手触りを楽しむアルティナの質問に、事実上、一時離脱が不可能となる事を、うんざりとした表情で告げる。《影族シャドー》の襲撃を警戒しながら満足な休憩なしに歩き続けたあの悪夢は、思い出すだけでも鳥肌が立つ。尤も《再会の迷宮》とは違って、大気中のマナの密度は通常のダンジョンとほぼ変わらない。出現するモンスターもC~Eクラスの至って平凡な物がちらほらと出てくる程度である。


 様々な論議を巻き起こしながらも実績を示して信頼を勝ち取り、パーティの期待を一身に受けて先頭を進んでいた《見つケロ君》だったが、今彼らの前にその姿は、すでに見当たらない。

 無理な機能の付け加えが稼働時間を短くさせ、さらに大きく開けた場所で、行動パターンに想定外の齟齬が生じ始めたのである。索敵という役割を完全に失念してぴょこぴょこ明後日の方向に飛び跳ね始めるに至って、製作者である少年はその使用を断念せざるを得なかった。

 いくつもの不具合を生じさせた未だ試作段階のこの品の製作コストは高いらしく、量産化に不向きな点は致命的である。

「創作とは失敗と工夫の繰り返しなのさ!」

 そんな言葉と共に機能停止したアイテムを《バッグ》に納めて、平然と《鉄機人》の中に戻っていくクロルの姿は、偉大な冒険者の先達に向けるそれとはまったく異なる畏敬の念を、何故かザックスに抱かせた。




 四人はさらに先へとすすむ。だが、殿を黙って務めるライアットの表情はどこか厳しい。無愛想が売りである頑強な男の表情は読みとりにくいものの、それなりの付き合いになるせいか、彼が何事かを考えているのは理解できる。

「何か気になる事でもあるのかよ、おっさん」

 足をとめてふりかえるザックスに、ライアットは簡潔に答えた。

「モンスターが弱すぎる……」

 その言葉に思わず、ずっこける。

 最強のパーティであったウルガ達とともにあちらこちらの上級ダンジョンを踏破し、難敵を撃破してきたライアットにしてみれば、この程度の敵、物の数でないのは当然である。

「あのなあ、百戦錬磨のおっさんにとっては全然、物足りないんだろうけど、オレ達のパーティにとっては、初めてのミッションなんだよ。まだまだ上階層だってのに早々に無茶な敵と遭遇してたら、たまんねえだろ!」

「何を勘違いしておるか、若いの……」

 ザックスの言葉にライアットは間髪を入れずに答えた。

「もっと、この迷宮の事情を深く考えてみろ」

「どういう意味だよ……」

 相変わらず厳しい表情を変えずに、ライアットは続けた。

「この未踏破迷宮は最低でも500年以上の間、頑丈な扉によって封印され続けてきたはずだ。当然、迷宮内に存在するマナの濃度はさらに濃くなり、消滅しては再出現し続けるモンスターの強度は時間と共により増していくはずだ」

「吸収されたんじゃないか? 辺り一面ずっと《ケル石》ばかりなんだぜ。それにオレ達が入ってきた入口から漏れ出てたって考えてもおかしくないんじゃ……」

「いかに辺り一面そうであるとはいえ、《ケル石》が吸収できるマナなど、このあたりの物程度ではたかが知れておる。神殿で扱う物の純度に比べれば、それは微々たるもの。あの入口も、壁石の崩れ方から見てそう古い物ではないはずだ。それに……」

 再び何かを言いかけたところでライアットは考え込む。いかに気難しく取り扱いに注意を要するとはいえ、彼はザックス達などよりも遥かに経験に勝る。冒険者としての彼の勘が何かを警告する以上、その言葉には耳を傾けるべきであろう。

「気になる事があるなら今のうちに言っといてくれよ。おっさん」

「うむ、こちらはさほど重要な事ではないのだが、時折遭遇するアンデッド共についてだな」

 道中、確かに十体以上のアンデッドに出くわしたものの、パーティの援護に恵まれたザックス達にとってはまったく問題ではない。ルドル山の攻防戦を経験した今のザックスにしてみれば、脅威と呼ぶべきものですらない。

「アンデッド? ここはダンジョンなんだし、別に出てきたって、おかしくないだろ?」

 クロルのその言葉に、ザックスはふと気付いた。

「この場所が長い間封印され続けてきた以上、人間が入り込む余地なんて無い訳だから、アンデッドが発生するのはたしかにおかしいよな……」

 アンデッドとは本来、ダンジョン内で死亡した《冒険者》達のなれの果てである。モンスターとの戦闘中に死亡した《冒険者》の遺体は即座に仲間達に回収されるのが一般的ではあるが、パーティ全滅時にはダンジョン内にその全てが放置されることとなる。協会からの依頼を受けて遺体回収を専門とする裏酒場の《冒険者》達に回収されぬ限り、多くの場合その肉体や魂にマナが取りつき、ダンジョン内を徘徊することとなる。個体数が死んだ冒険者の数に影響される以上、当然、ダンジョン内での遭遇率というのはさほど高いものではない。

「そういえば、なんだかみんな似たような格好をしてたよな、まるでどこかの領主お抱えの兵隊のような……」

 ザックスの説明を聞いたクロルの何気ない感想に同意する。ライアットの言葉通り、先行きに大きな影響を与えるとは思えぬものの、理屈に合わぬ事態はどことなく不安を掻きたてられる。

「アルティナはどう思う?」

 それまで、議論にまったく加わっていなかったエルフ娘に話題をふる。当の彼女は、3人から少し離れた場所で、手の中の紙片に何やら熱心に書き込んでいる。

「さっきから一体、何やってんだよ?」

 第3層あたりからそのような振る舞いを見せていた彼女の影響で、パーティ全体の進行状況は当初の予定より若干、遅れ気味だった。自身の作業に没頭するあまりザックスの言葉が聞こえぬらしい彼女に近づき、紙片を覗き込む。達筆の文字と子供の落書きのような絵が随所に書き込まれたそれはどこか見覚えがあるものの、今一つ要領を得ない内容である。

「何だよ、これ……」

「見ての通りよ」

「いや、見ても全然、分からないんだが……」

「失礼ね! ダンジョン内のマップよ」

 彼女は所謂、マッピング作業中であるらしい。これまで他のパーティの依頼を受けてのゲスト参加が多かった事もあって、彼女がそんな振る舞いを見せた事は一度もなかった。何かと周囲の影響を受けやすい彼女の事であるから、又どこからかそんな知識を仕入れて実践しているのであろう。

 だが、残念ながら、アルティナのそれはマップとしての機能を果たせるとは到底思えない代物である。彼女直筆の美しい文字はともかく、全く絵心に欠けたそれを使ったパーティには混乱がもたらされるだけであろう。とはいえ、事実を率直に述べれば臍を大きく曲げかねない。慣れぬ作業に没頭する彼女の傍らで、どうしたものかと考えあぐねるザックスだったが、意外な伏兵が手をさしのべた。

「どれ、ちょっと見せてくれるか、元気なの……」

 ザックスの反対側に立ったライアットが彼女の手元を覗き込む。

「ふむ、もう少し簡潔にしたほうがよいな……」

 アルティナから紙片を受けとると、さらさらと手を加えて行くライアットの姿に、彼女の尊敬の視線が注がれる。

「このような定型の記号を使うと、より簡潔になって別の者が見ても分かりやすい。メモ書きは極力、重要ポイントのみに絞っておけば、パーティ全体の進行速度を落とす事もなくなるはずだ」

「そっ、そうか! あれにはそんな意味があったんだ。あの、こちらの場合はどうすればいいんでしょうか?」

 別の紙片を取り出して熱心に尋ねるアルティナにライアットは快く応じる。突如として始まったライアットのマッピング講座にいつの間にかクロルまでが参加して、覗き込んでいた。

「うーん、《見つケロ君》にこんな機能、盛り込めないかな」

「そうね、あると便利かもね……」

「便利な物に頼り過ぎるのはどうかな、小さいの。不測の事態に陥れば、やはり頼れるのは我が身と己の技術だけだと思うがな……」

「やっぱり、そうなのかしら」

「たとえ不測の事態に陥ろうとも、それを知恵と工夫で乗り越えるのが創作者魂。技術屋に乗り越えられぬ壁など存在しないよ!」

 ライアットの言葉に二人の弟子はそれぞれの意見を述べる。アルティナとクロルをそれぞれ『元気なの』『小さいの』と呼んで彼らの質問に応じるライアットの姿はさながら訓練校の講師のようである。さらに盛り上がっていく3人のやり取りの傍らで、ザックスは一人ぽつんと取り残されていた。

「キミも一緒にどうだい?」

「そうね、リーダーとしてこのくらいの知識は必要だと思うわ。貴方もこちらにいらっしゃいよ」

 根が無精者で細かい作業の苦手なザックスである。さらには教えを乞う相手が日頃から苦手意識のあるライアットという事もあって、出来れば御免被りたいというのが本音だった。

「オレは別にいいよ」

「そんなこと言って……。何かの拍子にダンジョン内で迷ったりはぐれたりしたら、どうするつもりよ」

「そういう時には自分の《直感》を信じて、道を切り開くだけさ!」

《冒険者》としての自身にスキル《直感》が備わっている事を思い出し、開き直る。だが、虚勢をはるザックスにクロルとアルティナの視線は冷たい。

「そんな調子で私達をどこに連れていくつもり? 貴方、本当は面倒臭いだけなんでしょう?」

「己を過信して身を滅ぼす奴の典型のような発想だね。巻き込まれる方はたまったものじゃない」

 すでにそれなりの付き合いになるアルティナに本音をあっさりと見抜かれ、新入りのクロルに強烈なダメ出しを受けたザックスの肩身は狭い。嫌がるザックスを誘う事を諦めた二人は、再びライアットと共にマッピング談義に花を咲かせる。後にはぽつりと一人、ザックスの姿だけが取り残された。

「チクショー、俺はリーダーだぞ!」

 出発前に一度落とした株をさらに暴落させ、すっかり名前だけのリーダーになってしまったザックスの悲痛な叫びは、広大な地下空間に虚しく響き渡った。




2012/10/31 初稿




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