第五話 植物魔法
というわけで、まずは植物魔法から試してみます!
植物魔法って、何ができるんだろう。
とりあえず……木? 木を生やしてみよう。
生えろ!
心の中でそう唱える。
口がないから、声に出したつもりでも、全部脳内詠唱だ。
すると、目の前の地面から――
ちょこん、と小さな芽が生えてきた。
……思ったより、だいぶ小さい。
ピロリン♪
【《植物魔法Lv.1》がレベルアップしたよ。
君、バナナだから、植物魔法は上がりやすいよ!良かったね。】
え?
これで?
この、ちっさい芽を生やしただけで?
……バナナだってこと、
初めて「ありがたい」って思ったよ。
◈◈◈◈◈◈◈
……すみません。
完全に、調子に乗りました。
魔法のレベルがあまりにも簡単に上がるから、つい、やりすぎた。
結果――植物魔法、レベル30突破。
早くない?
まだ一日も経ってないんだけど?
魔力切れを何度も起こして、
そのたびに魔物に食べられて、
リスポーンして、また魔法使って……の無限ループ。
それでね。
「もしかして、植物魔法なら倒せるんじゃ?」
って、思っちゃったんですよ。
結果?
もちろん、惨敗。
まあまあ削れた気はする。
気は、するんだけど……すぐ距離を詰められて、普通に食べられました。
はい、いつもの。
でも!
ここで、ちょっといいニュース。
植物魔法を使っていたら、
魔法のレベルじゃなくて、プレイヤーのレベルが上がった!
バナナだからかな?植物魔法で、育つ…のかな?
まあ、でも、やったー!
現在、レベル6です!
……バナナだけどね。
ピロリン♪
【レベルアップしたよ。よかったね。爆笑しながら見てるよ。】
……噂をすれば、だ。
もう運営へのツッコミは、あきらめました。
はいはい、笑えばいいと思うよ。
あ、今のステータス、見せるね。
――
プレイヤー名:なのは
種族:バナナ
レベル:6
経験値:0 / 600
所持金:0
HP:150 / 150
MP:2050 / 2050
攻撃力:55
防御力:55
敏捷性:55
ステータスポイント:5
スキル:
《風魔法 Lv.5》
《植物魔法 Lv.31》
《MP自然回復・中》
《HP自然回復・中》
《片手剣 Lv.1》
《瞑想》
《気配遮断 Lv.3》
《魔力操作 Lv.5》
種族スキル:
なし
称号:
《チュートリアル未満》
《デスループの住人》
《魔物断ち》
――
レベルが一つ上がるごとに、
ステータスはステータスポイントと同じ量だけ自動で上昇する。
ステータスポイントはスキルにも振れるけど……
今の私にちょうどいいスキル、ないんだよね!
経験値は、レベルが上がるたびに、次に必要な量が100ずつ増える仕様。
……まあ、見ての通り。
魔力だけ、ぶっちぎってる。
ここまで増えた“背景”を思い出すと、
正直、苦笑いしか出ないんだけど。
まあ、いいや。
今日はもうログアウトしよっと。
◈◈◈◈◈◈◈
「お姉ちゃん!どう? 今どんな感じ?」
夕飯を食べにリビングへ行くと、やよいが聞いてきた。
「レベル、やっと上がったよ!」
「おお!おめでとう。
ところで、どんな役割を想定して、ステータス割り振ったの?」
役割かあ……。
魔法使いメインで、近接もできるソロ向け、って感じかな。
……今は、だいぶ理想から離れてるけど。
「魔法使いメインで、近接もできるようにしたつもり」
「そっかあ。私は純魔法使いだよ。
ステータスポイント、ほぼ全部魔力に振ってるから、そこだけは自信ある!」
やよい、魔法使いに憧れてたもんね。
……でも、どのくらい多いんだろう?
「あら、ゲームの話? お母さんも混ぜて!」
話していると、お母さんもやってきた。
「私は弓使いね。一応、短剣も使えるけど」
「なるほど。
で、やよい、魔力ってどのくらいなの?」
お母さんが剣士じゃないのは、まあ、想像通り。
「聞いて驚くなよ!なんと!!800!」
……え。
800?
私より、めっちゃ少ないじゃん。
「普通の人って、どのくらいなの?」
「だいたい200~400くらいだよ。
私はほぼ全部魔力に振ってるからね。1000に届いたら、他にも振る予定!」
――まじか。
私、完全にバグ側の人間じゃん……。
ちょ、ばれないようにしないと……。
「ん?どうした? お姉ちゃん、なんか目、そらしてない?」
「な、なんでもないよ! うん!」
「ほんとかなあ? まあいいや」
……あぶなっ。
ちょっと怪しまれたけど、さすが私! ごまかせた!
――冷や汗やばいけど。
「あ、お姉ちゃん。それ、ケチャップだよ? サラダにはドレッシングでしょ?」
「……え?」
見れば、サラダが真っ赤だった。
あれ?
焦りすぎた? いつも通り、いつも通り……!
「あと! 麦茶こぼれてるよ?」
「えっ!?」
なんで!?
何もなかった顔をしなきゃいけないのに、なぜか全部裏目に出る!
「やっぱ今日、変だよお姉ちゃん」
「まあ、どうせ真昼は、自分がゲーム内でバグっていることに気づいて、ばれないようにして空回りしているんでしょうね」
……は?
なんで!
なんでお母さんわかるの!?
「ふふん。伊達に十数年も母親やってないわよ」
「私、一言も言ってないのに!」
観察力バケモノか!
というわけで、
――全部吐かされました。(泣)
◈◈◈◈◈◈◈
「で?レベルいくつなの?」
「6……」
「魔力は?」
「2050……」
「……バナナ強くない?」
やめて。
その言い方やめて。
まあ、一波乱ありましたが!
ログインしました!!
今日は――
レベル10まで上げる!
レッツゴー!!




