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兄のバッドエンドルートは地獄です

ここからが新規エピソードとなります。

ぜひお楽しみください!

ガルード…いや、ガルードお兄様と出会ってから早一月。私はその間にソフィドリのお兄様関連のバッドエンドを思い出していた。


まず問題だったお兄様のチャラ男ルートは回避することができた。なんでチャラ男だとバッドエンドになるかって??お兄様にとって、チャラ男であるということは大半のバッドエンドに繋がってしまうのである。



そう、お兄様の有名バッドエンドでは、こんな展開がある――



ある日、魔法学園で数々の女性が凍死した状態で見つかるという事件が起こった。


事件を捜査するのは魔法学園生徒会執行部。その中にはソフィアはもちろん、お兄様やその他のキャラクターが揃っている。


捜査の結果、事件の犯人はお兄様だったということにソフィアだけが気づく。お兄様を説得しようと屋上で話している様子から、巷では屋上エンドとも呼ばれている――。




「ガルード様、あなたが事件の犯人ですよね?」



ソフィアはガルードの目をじっと見つめながら問う。


「ああ、そうだ。俺がやった」

「……なぜ…こんなことを?」


ソフィアは泣きそうな目でガルードに問う。

その様子に腹を立てたのか、ガルードは声を荒げる。


「お前には関係ないことのはずだ!なんでそんなに泣きそうな表情をするんだ!」

「それは、ガルード様は私の兄だから…」

「兄…?俺が…?あの日、お前は俺を突き放した!!そんなお前が今更俺のことを兄と呼ぶのか…?」


あの日――ソフィアとガルードが初めて出会った日は、ここまで運命を変える出来事となってしまったのだ。


当然、あの日のことを思い出したソフィアは黙ってしまう。


「ほら、図星だろう…?…そうだ、そうだ!お前さえいなければ、俺はこんなに苦しい思いも孤独も感じなかったんだ!!そう、全部お前が悪いんだよ!!」


そう言いながら狂ったようにガルードは笑いだす。月に後ろからされていて表情はわからないが、その声は不気味だった。


ガルードは手から氷を生成しつつ、ゆらゆらとソフィアに近づいていく…。


「……やめて…!」


ソフィアの小さな助けを求める声は誰にも聞こえるはずはなく、ソフィアはもう話すことなどできなくなった――。




……いや、とんでもないエンディング!!これを世に放つなんて公式頭おかしいんじゃないの!?!?


…そういえば二次創作でifエンドの生存ルートが流行ってたっけ…。全部オタクの妄想の悲しいやつ…。私も初めてこの話を見たときは、二次創作の世界に旅立った記憶がある。


流石に、私もお兄様に人を殺して欲しくはないし、凍死は勘弁してもらいたい。このままでは、お兄様はチャラ男になって痴情の絡れで数多の女性を殺めてしまうことになるのだ。



なら、私にできることはただ一つ。


お兄様と仲良くなって、バッドエンドを回避する!!


ゲームのソフィアは、好感度不足で殺されてしまったのだ。お兄様関連なら、好感度を上げることで他のバッドエンドも回避できるはず。


(これでプランは完璧…!)


そんなことを考えていると、庭先で魔法の練習をしているお兄様の姿が目に入った。練習しているのは、ゲームの私が殺された氷魔法。私の背筋が少し冷える。


(あんな魔法で攻撃されたらきっと苦しいんだろうな…)


ゲームで殺されてしまったキャラクターやソフィアに思いを馳せる。私が見たのはゲームの出来事だけど、ここは今の私にとっての現実。キャラクターたちにも命がある。


(キャラクターじゃなくて人間なんだな)


改めてそう認識してから、自室を出て庭へ向かった――。



庭に出ると、お兄様は黙々と氷魔法の練習続いていた。一カ月前は髪を下ろしていたが、今日は髪を肩の近くで縛っている。



……あ〜ビジュいい〜最高〜!



たかが髪を縛っただけで、とかそういう問題じゃない。


いつも髪を縛っていない人が髪を縛っている!!この事実がとても素晴らしい!!世界に感謝したい気分!!ありがとう世界!!



って、そんな場合じゃなくって!私はお兄様と仲良くなりに来たんだった!



一ヶ月前にお兄様と出会ってから、話す機会はそれなりにあった。でも、まだお兄様とは心の距離がある気がする。まるで、埋められないような溝が…。それでも、今日行動することで何か変わることがあるかもしれない。ハッピーエンドの為に。


「お兄様!」


「ソフィアか。どうしたんだ?」


お兄様の話し方が一ヶ月前と比べて柔らかくなっている気がした。それは、この家に馴染むことができた立派な証拠だろう。


「自室から、お兄様が魔法を練習している姿が見えたんです!お兄様の氷魔法とっても綺麗だなって」


「…そうか。俺は今までそんなこと言われたことなかったから嬉しい」


優しく微笑みかけてくれるお兄様は、突然スッと表情を変えた。


「ソフィアも、使用人から聞いたかもしれないが…。俺は下町の出身なんだ。そこでは、魔法を綺麗って言ってもらえるような環境じゃなかったんだ」


お兄様の過去はもちろん知っている。


でも、そのことについて話すお兄様の瞳はどこか苦しそうで、わたしには見ていられなかった。


「これから私、お兄様の魔法を褒め続けます!だからお兄様も魔法に自信を持ってください!」


私の意外な言葉に驚いたのか一瞬フリーズするお兄様。でも、すぐに笑い出した。バッドエンドのときとは違う、楽しそうな笑い声だった。


「ありがとう。ソフィアは優しいな」


「妹として、お兄様のことを慕っているので当然です!」


そう言って、ニカッとお兄様に笑いかける。お兄様も私と同じようにニカッと笑いかけてくれた。




そんなことをしていれば、ついさっきまであった溝が埋まっていくような気配を感じた―――――。

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