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Devil's guys  作者: ぽん
第1章
4/7

第4話 救世主

 ふんわりと花の香りをさせた春風が、少女の、靡かせるには少し短い銀髪を微かに揺らす。

 その風に打ちつけられた花びらは、軽やかに浮かび上がると、やがて揺蕩いながら落ちてゆく。

 羽衣を纏ったかのような彼女の姿は、まるでいつか夢見た女神のようだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おーい、起きて」


 少女の呼びかけに、ふと夢から覚めた。

 それと共に、目の前に光が宿る。


「…あ」


「おはよう」


 最初に目に飛び込んできたのは、先程の薄暗い路地裏であった。

 そして、次に視界に映ったのは、羽を広げた銀髪の少女だった。

 そのコントラストに、思わず目眩がする。


「起きたばっかで申し訳ないんだけど、もうさっきの連中がそこまで来てるから」


 まだ意識が朦朧としている。

 とりあえず脳を覚醒させるため、頭を動かす。


 まず、先程の路地裏にいるという事実から、俺は生きているはずだ。

 とはいえ、あの状況で死を回避できる訳はなかった。

 あそこから連中の気が変わることなど、到底想像できたものではない。

 となれば。俺は恐らく、この少女に助けられたのだろう。

 羽を生やしていることからも恐らく…この少女は天使だ。彼女の持つ異能力が、俺を救ってくれたのだろう。


「あの…聞いてる?」


 とりあえず感謝を伝えなければならない。


「ああ、本当にありがとう、助かった」


 そう感謝を伝えると、その女はこちらに向かって思いきりビンタをしてきた。


「っ…!?なんで…?」


「あなた、意識がどっか行ってたみたいだから。頭は冷えた?もう一度言うけど、さっきの連中、もうそこまで来てるの」


 その一言で、遠のいていた意識がふと現実に戻る。


「なんだって?」


 助かったのだとそう信じたいがために、無意識下でもう自分は安全であると認識していた。


 横になっていた体を起こしながらバッグを脱ぎ捨て、体勢を整えて改めて彼女の方を向く。


「んで、見たらわかると思うけど私は天使。さっきは私があなたを助けた」


「あ、ああ。本当に助かった、ありがとう」


「うん。私が助けた。」


 何やら恩着せがましさを感じる。が、命の恩人にそのような感想を抱くのは流石に失礼かと思い、頭の中で訂正する。


「本題に入るね。まず、私はあなたを助ける義理はない。だから、このままだとあなたは連中に殺される。」


 唐突にそう突き放され、言葉に詰まる。

 だが、既に状況が理解できるようになった頭は、それにうなずいている。


「…だな。それで?俺はどうすればいいんだ」


「…それは生きたいってこと?」


「あ、ああ。」


 あまりに当然すぎる問いに、かえって言葉が詰まる。


「そう。なら、私と契約して」

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