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第80話『ファインプレーに見せないファインプレー』

週末の朝、港の見える高層マンションに集まった三人の少女たち。

中間テストを前にした勉強会のはずが、ある人物の登場で少しだけ空気が変わります。

父と子の会話。

過去の記憶。

それぞれの胸に芽生える“何か”。

静かな午後の時間が、思いもよらない余韻を残していくお話です。

週末の午前。

天王巣アイルの港湾エリアにそびえる高層タワーマンション。

その三十階を超える一室の呼び鈴を押すと、すぐに扉が開いた。


「いらっしゃい」


迎えに出てきたのは楓だった。

制服姿ではなくラフな私服に、ほどよく結んだ髪。

学校で会うときよりも大人びて見える。


「今日はうちで勉強会ってことで」


気さくにそう言ってくれるが、その表情にはどこか誇らしさもあった。


奥からは、すらりとした女性がすっと姿を見せる。

長い髪を後ろでまとめ、落ち着いた気品を漂わせた美人。

楓の母であることは一目でわかる。


「こんにちは。今日は勉強会なんですってね。ゆっくりしていってね」


柔らかな声でそう告げ、にこやかに会釈すると、すぐにキッチンへと戻っていった。


その自然な立ち居振る舞いに、いのりは


(やっぱり美人……)


と内心で感心し、あずさは少し背筋を伸ばして


「お邪魔します」


と小さく頭を下げる。

親友の家に足を踏み入れる緊張感が、妙に胸の奥をくすぐっていた。


ダイニングテーブルには、すでにノートや参考書がきちんと並べられていた。

窓の外には、きらめく海と高層ビル群。

非日常の景色に囲まれながらも、今日の彼女たちの目的は中間テストに向けた勉強会だった。

バッグを下ろして席についたところで、リビングに革靴の音が響く。


「おう、いのりか。今日は来てくれてありがとうな。楓のこと頼む」


姿を見せたのはスーツ姿の慎太だった。

元プロの体格にジャケットを羽織り、ネクタイを指先で軽く締め直している。

仕事に向かう直前のその姿は、テレビ中継で見る解説者そのものだった。


「俺は午後から解説の仕事や。昼過ぎから試合前取材が入っとる。もうすぐ出なあかんけどな」


淡々とした声には、現役時代を思わせる独特の張りがある。

父であると同時に、今も“野球人”として生きているのだと、あずさもいのりも感じ取っていた。

靴べらを手にした慎太がふと立ち止まり、ダイニングを振り返る。

その眼差しが、真っ直ぐにあずさを射抜いた。


「それから……あずさ。壮真のこと、頼むわ」


一瞬、空気が止まった。

ノートに置いた鉛筆を、いのりも楓も自然と握り直す。

あずさはぱちくりと瞬きをして、きょとんとした顔で固まった。


(えっ……私? どういう意味?)


呼ばれた自分の名前と、壮真という単語だけが耳に残る。

けれど意味がつながらない。


「ちょ、ちょっとお父さん!なに言ってんの!」


真っ赤になった楓が慌てて声を張り上げる。

父の真剣な顔を知っているからこそ、余計に焦る。

以前、父が本気の表情で


『あずさが壮真の嫁に来るなら大歓迎や』


と口にしたときも、楓は同じように戸惑ったのだ。

そのとき


「冗談でしょ」


と返したが、父は真顔で


「俺は本気やで」


と言ってのけた。

だからこそ、今日の言葉もただの気まぐれではないと、楓には分かっていた。

けれど当のあずさは、まだその事情を知らない。

ただ


「頼むわ」


と言われた意味が分からず、きょとんとした顔で視線を泳がせるばかり。

自分が今どういう立場で呼ばれたのか、まるで測りかねていた。

慎太は笑わず、短く頷くだけだった。


「あいつは野球ばかりやからな」


それだけ言って、玄関へと向かう。


「じゃあ、お勉強頑張りや」


重たい扉が閉まる音が、リビングに残された三人の鼓動をかき消した。

静寂。

あずさは未だに


「何のこと?」


という表情で小さく息を吐く。

楓は顔を両手で覆い、


(ほんとお父さんは……!)


と赤面している。

そして、いのり。

グラスを手に取りながら、ふっと視線を伏せた。


(え? え?? これって……もしかして……)


妙な引っかかりが胸に残る。

慎太の言葉がただの冗談ではないことを、敏感に察してしまう。

いのりは自分でもうまく言葉にできない感覚が、じんわり広がっていった。

窓の外の光景はいつも通りの静けさ。

けれどリビングの空気は、もうさっきまでとは違っていた。



---


慎太が出て行ったあと、リビングはようやく静けさを取り戻した。

窓の外に広がる港の青さと高層ビル群のきらめきが、机に広がる教科書とノートの上に柔らかい光を落とす。

三人は気持ちを切り替えて席に腰を下ろした。


「まずは中間テストの範囲から確認しようか」


楓がタイマーをセットして、落ち着いた声で言う。

彼女の手元には、分厚い数ⅡBの問題集と一冊の方眼ノート。

ページを開くと、青いボールペンでびっしりと整然と書き込まれた数式やグラフが並んでいた。

右端には縦に引いた一本線。

その余白には「符号ミス注意」「別解アリ」「ケアレスミス減らす」といった短いメモが小さな字で整然と並ぶ。


「視覚的に黒より青のほうが頭に入りやすいんだって。だから青ペンで統一してるんだ。間違えたときは消えるタイプを使えば消しゴムみたいに直せるし、ノートもきれいに残るんだよ」


楓はさらりと説明した。


「へぇ〜!そんな方法あるんだ……」


いのりが感心して身を乗り出す。

その手に握られているのは、青いシャープペンシル。

誕生日に楓とあずさから贈られた、大切な一本だった。

普段から自然に使っている姿を見て、楓とあずさは目を合わせて小さく微笑む。


(ちゃんと使ってくれてる……)


それだけで胸が温かくなる。


「……私も青ペンにしてみようかな」


いのりがぽつりとつぶやいた。


すると楓が首を振る。


「いのりは、そのシャーペンのままのほうが似合うと思うな」


「あ、私もそう思う。いのりらしい感じがするよ」


あずさもすぐに頷いた。


「え、そうかな……」


いのりが少し照れくさそうに笑うと、二人は声を揃えて


「うん」


「そうだよ」


と返した。

机の上に温かい空気が広がる。

そのとき楓は、自分のノートを軽く回して二人に見せた。


「それと、この方眼ノートも工夫なんだ。マス目がしっかりしてるから、グラフも書きやすいし、線もまっすぐ引ける。文字も自然と整うんだよ」


「方眼って……小学校の算数で使うイメージだったけど、高校生でも全然アリなんだね」


いのりが素直に驚く。


「そうだね。結局は“自分があとで見やすいかどうか”が大事だから。私はこういう形に落ち着いたかな」


楓は笑って答える。

三人はそれぞれのノートを覗き込んだ。

いのりの字は丸くて柔らかい。女の子らしく、見返すと安心するような雰囲気がある。

楓の字は理系らしい直線的な整い方で、青ペンと方眼のマス目が相まって美しい規則性を作り出している。


そしてあずさのノートは――。


「やっぱり私の字、雑だなぁ……」


あずさは苦笑しながら自分のページをめくった。

勢いにまかせたような大きな字。ときどき伸びやかに跳ねる線。

訂正の赤ペンが目立つが、全体としては個性的な“達筆”に近い。


「でも……なんか、勢いがある字って逆に覚えやすそう」


いのりが笑顔でフォローする。


「うん。ちゃんと書こうとしてる形が見えるし、印象に残るよ」


楓も柔らかく頷いた。


「そ、そうかな……?」


耳を赤くしながら、あずさは髪をかきあげて照れ笑いを浮かべた。

机に並ぶノートは三者三様。

けれど違いがあるからこそ、三人が並んで勉強している姿は、まるで一枚の大きなページのようにまとまって見えた。

窓の外の港の風景は非日常なのに、机の上には温かい日常の空気が広がっていた。


---


夕方。

港の街並みをオレンジに染める光が大きな窓から差し込み、机に積まれたノートに柔らかく影を落とす。

勉強会を終えて背伸びをしたところへ、玄関のドアが開く音がした。


「ただいまー」


スパイクを肩にかけ、汗を滲ませた壮真が帰ってきた。

泥のついたユニフォーム姿で、少し息を弾ませながらバッグを床に下ろす。


「おかえり。練習試合、どうだった?」


キッチンから母が顔を出す。


「勝てたよ。今日もホームラン一本打ったし、守備でもミスしなかった」


タオルを受け取って首を拭きながら答えると、すぐに声が飛んできた。


「え、またホームラン?すごいじゃん!」


楓がぱっと笑顔を見せる。


「凄い!凄い!攻守に大活躍!」


いのりも目を輝かせる。

だが壮真は、照れくさそうに頬をかき、首を振った。


「いや……実際は変な回転がかかって送球がそれたり、ショーバンになったりしたんだ。ファーストがしっかり捕ってくれたから助かっただけ。ほんとはもっと捕りやすいところに投げなきゃなって反省してる」


その真剣な表情に、部屋の空気が少し張りつめる。

いのりと楓が黙り込んだとき、あずさが口を開いた。


「そういうふうに反省できるのがすごいと思う。守備を大事にしてるからこそ、ちゃんと気づけるんだよね。……壮真くん、やっぱりカッコいいよ」


――ドクン。


胸の奥で音が弾ける。

本来なら姉の親友としてしか見られない存在が、自分の一番大切にしている部分をまっすぐ褒めてくれる。

壮真はタオルをぎゅっと握りしめた。





-回想-




壮真の脳裏に、以前連れて行ってもらった九紅スタジアムの光景が浮かんだ。

ナイターの灯りがまだ残るスタジアム。

帰りの車内でラジオの試合結果を聞きながら慎太が言っていた。


「あんなもん初動が遅れただけや。」


壮真が首をかしげる。


「……え?」


慎太は軽く笑って、ラジオのボリュームを下げた。


『あれが試合を決めたすごいファインプレーやって?俺にはあれの何がすごいんかわからんで。ただポジショニングミスしただけや。無意味に前進して抜かれそうになって慌てて飛びついただけやろ。守備ってのは、何も起こらんことが一番ええ。

ファインプレーに見せんファインプレーこそ至高や。』


そう言って慎太はハンドルを握ったまま、遠くの空を見上げる。


「最初から打者のデータや傾向を頭に入れながら準備すればええんや。ポジショニングが良けりゃ飛びつく必要なんてない。ファインプレーってのは派手に見えるけど、裏を返せばミスの補い。守備ってのは“何も起きないこと”が一番やで。」


壮真は無言で耳を傾ける。


「無意味に前進して抜かれそうになって飛びつくくらいなら、最初の一歩を正しく動け。それがほんまの守備や。」


その声が、今も耳の奥に残っている。


「派手に飛びつく守備ばっかりがファインプレーやと思うな。飛びついても、慌てて投げれば送球がそれたり、ピンチを広げることだってある。疲労も溜まるし、リズムもフォームも崩れる。下手したらケガしてプレーできなくなることもあるんや」


「父さん……」


「ほんまにすごいファインプレーってのは、ベストな初動とポジショニング準備から。そこまでやった結果、ギリギリのところで処理してアウトを取るプレーや。そういうプレーと“準備不足で無理に飛びついてミスになりかけたやつ”を一緒にしたらアカン。」


慎太は次の交差点が赤信号になるのを確認してからゆっくりと停車し、ハンドル越しに壮真を見る。


『ええか?内野守備の基本はな、ファーストが補りやすいところに、補りやすい送球を堅実に投げて終わり。それが一番なんや。』



---


「父さんにも言われてるんだ。反応が遅れて飛びついた派手に見えるファインプレーより、最初の一歩を大事にして、難なく確実にアウトを取るほうが大事だって。プロのショートだった父さんにそう言われて、俺もずっと意識してる。守備でしっかり捕ることを考えてきたから……ホームランは、その延長みたいなもん」


言葉を重ねるうちに、自然と胸を張っていた。

父の教えを守り、自分の中で積み上げてきたこと。

それをわかってもらえた誇らしさに、心臓が高鳴る。


すると、いのりが呟いた。


「なんか、野球って自治会にも通じる気がする……」


楓とあずさが顔を上げる。


「え?」


「トラブルが起きてから慌てて動くより、トラブルが起きる前に準備して一歩目を早く動くほうが大事なんだよね。慎太さんの言ってた“ファインプレーに見せないファインプレー”って、たぶんそういうことなんだと思う。目立たなくても、最初の一歩で全部変わるんだよ」


いのりの言葉に、楓が


「……確かに」


と微笑んで頷く。

あずさも


「それ、いのりらしい考え方だね」


と笑う。

その瞬間、勉強会の静かな空気に、どこか野球場の土の匂いが混ざった気がした。



「ただ……その延長がホームランでも十分すごいよ。私、壮真くんの守備を大事にしてるところも含めて、やっぱり一番カッコいいと思う」


あずさが重ねて笑う。


「……っ」


壮真の耳まで真っ赤になり、視線を逸らす。


「ありがとう……」


声は小さく震え、タオルで顔を隠した。


あずさはさらに一歩踏み込んで、少し恥ずかしそうに言葉を結んだ。


「今度はちゃんと応援に行くからね。そのときはもっと胸を張って見せてよ」


「……!」


心臓が爆発しそうで、うまく返事ができない。

壮真はそそくさとシャワー室へ消えていった。

いのりと楓は、そんな二人の様子をじっと見つめ合った。


「ねえ……これってもしかして」


「まんざらでもない、かも?」


キャッキャと囁き合う声がリビングに弾み、夕焼け色の空気を柔らかく染めていった。



---


「さあ、ちょっと休憩にしましょうか」


楓の母がリビングに現れ、トレイに載せたティーポットとカップを置いた。

ふんわりと広がる紅茶の香りに、勉強疲れの身体がほっと緩む。

横にはバターの香りが漂うフィナンシェやマドレーヌが並んでいた。


「わぁ、ありがとうございます!」


いのりとあずさが声を揃えて頭を下げる。


「はい、どうぞ」


楓が慣れた手つきでカップを配り、ちょっと誇らしげに笑う。


「こういうときくらいは、お姉さんっぽいでしょ?」


「いやいや、いつもお姉さんだよ」


いのりが即座に返して、みんなで笑った。


シャワーから戻った壮真は、タオルを首にかけたまま、濡れた髪を無造作にかき上げた。

頬の泥はすっかり落ち、少し光を反射する肌が眩しい。

壮真もカップを受け取り、まだどこかぎこちなく口をつける。

その姿を見たあずさの心が揺れた。

初めて壮真を見た練習試合、帽子をかぶって泥にまみれた姿を見たときも「思ったよりカッコいいじゃん」と感じたけれど、今の彼は、それとはまるで違って見えた。

まだ少し幼さが残る日焼けした横顔。

けれど、整った目元や鼻筋とバランスの取れた輪郭。

楓と同様に母親譲りの穏やかな気品がある。


(あれ?……けっこう可愛い顔してるじゃん)


一瞬、胸の奥がじんわり熱くなった。

でも、壮真は親友の弟。

自分で認めるのがなんだか恥ずかしくて、すぐに「いやいや」と心の中で打ち消す。

紅茶の香りが広がり、胸のざわめきをそっと包み込んでいった。


一方、壮真の胸の中では、あずさの


『一番カッコいいと思う』


の一言が何度もこだましていた。

そんな彼の様子に気づいたのか、いのりと楓はまた目を合わせて小声で囁く。


「やっぱり……」


「まんざらでもないよね」


くすくすと笑う二人に、壮真は


「な、なんだよ」


と顔を赤らめた。


「あははっ、なんでもなーい」


楓がからかうように肩をすくめる。


「……もう」


あずさは少し頬を赤らめつつも、紅茶を口に運んだ。


(でも……応援するって言ったんだから、ちゃんと頑張ってね)


心の中でそっとつぶやく。

やがて窓の外は群青に変わり、港の夜景がきらめき始めた。

勉強も野球も、それぞれの頑張りを胸に抱きながら、今日の勉強会は、温かな笑い声と紅茶の香りに包まれてお開きとなった。




「ファインプレーに見せないファインプレー」。

この言葉には、ただの野球理論以上の思いが込められています。

それは慎太が現役時代に培ってきた“哲学”であり、

壮真にとっては“父の教え”であり、

そしていのりたちにとっては“生き方の指針”でもあります。

何も起きないように準備をしておくこと。

問題が起きてから慌てるのではなく、最初の一歩で流れを変えること。

それは自治でも、人間関係でも、きっと人生そのものでも同じことなのだと思います。

派手な瞬間よりも、その裏にある静かな積み重ねを大切にできる人こそ、本当に強いのだと感じました。


今回の物語では、“準備の大切さ”を野球という形で描きました。

慎太が語った「ファインプレーに見せないファインプレー」という言葉には、

派手さや偶然ではなく、日々の積み重ねによって築かれる確かな力という意味が込められています。


また、この考え方について、私は以前に耳にした桜井和寿さん(Mr.Children)の言葉を思い出しました。

彼が何かのインタビューでこう語っていた記憶があります。

「チャンスをつかむための準備を、常にしていた」と。

そしてライブのMCでも、「この日のために、さまざまな想定をして入念にリハーサルを繰り返してきた」と話していました。


私はその言葉を聞いて、成功している人ほど“準備”の重要さを理解しているのだと感じました。

桜井さんは、時代、運、出会い、才能に恵まれたことを謙虚に語りながらも、最終的には「そのチャンスを掴める準備を常にしていたこと」が一番の理由だと伝えていたのです。

そして、まさにそれがこの第80話のテーマと重なります。

慎太が語った堅実な守備理論も、壮真の努力も、そしていのりたちの自治への姿勢も、すべては“チャンスをつかむための準備”という一点につながっています。

見えない場所で、地道に積み重ねること。

それを続けた人だけが、訪れた瞬間を逃さずつかめる。

桜井和寿さんの言葉と、慎太の教えは、時代も分野も違いながら、同じ真理を語っているように思いました。

作者もミスチルの音楽に育てられた世代のひとりとして、桜井さんの言葉や楽曲が「じちまか」の血となり肉となっている部分があるかもしれません。

桜井和寿さんが、かつて自分の若かった頃を「調子に乗っていた」と認めながらも、今では「若いアーティストはすごい、僕よりずっと上手い」と笑って語る姿を見て、私はいつも胸を打たれます。

トップを走り続けてきた人が、そこまで謙虚になれるのかと。

そして、昔はメディアにも反発していた彼が、いまではすべてを受け入れて笑顔で音楽を楽しんでいる。

それはまるで、人生を長く走ってきた人の“穏やかな守備位置”のように見えるのです。

尖っていた頃も、今のニコニコしている優しさも、どちらも桜井さんの中にある“本当の強さ”。

その変化を見ていると、成功とは結果ではなく、時間をかけて「受け入れられる人間になること」なのかもしれないと思います。

彼がそうやって年齢を重ねていく姿に、私はずっと憧れています。


この物語が、読んでくださった皆さんにとっても、自分の中の“最初の一歩”を考えるきっかけになれば嬉しいです。


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