第100話『金柑&プルーンよりマシじゃね?』
いつも読んでくださり、ありがとうございます。
ついに第100話を迎えました。
このタイミングで、作品を書き始めた当初から登場していた名前たちが、ついに“姿”を現します。
舞台は海風と競馬場の街・敗島。
音楽を通して交わる“日常”と“非日常”、そしてそれを結ぶひとつの歌。
誰かに見つけられることの喜びと、見つけられることで生まれる不安。
そんな、光と影が同時に生まれる瞬間を描きました。
これまでの積み重ねを感じながら、どうぞ読んでください。
遡ること、ゴールデンウイーク最終日。
敗島の空は澄み渡るように青く、海から吹く風が潮の香りを運んでいた。
雛川区の新名所、シアター九。
湾岸に乱立する大型倉庫のような佇まいで、ベージュ色の壁に囲まれた立方体のコンサートホールが太陽を反射する。
開業から一年しか経っていないそのホールは、まるで未来都市のゲートのように輝いていた。
入口には手作りの看板。
「雛川区アマチュア音楽フェス2025」
地元の有志や学生、職員などが出演する春の恒例行事だ。
バンド、吹奏楽、民族楽器、ダンス、アカペラとジャンルも様々。
スタッフや観客も地元色が強く、アットホームな空気が漂っていた。
その人混みの中、帽子を深くかぶり、サングラスをかけた二人の青年が列に並んでいた。
「……本当に一般入場するの?」
「当たり前でしょ。無料で誰でも入場できるんだし、現場の空気は自分で見なきゃ」
苦笑いを交わしながら入場を待つのは、全国的に人気を誇る若手男性アイドルユニット、キンプルこと『金柑&プルーン』の二人だった。
ダンスパフォーマンスで魅せるワイルドな高津カイトと、甘い高音ボイスの貴公子・水瀬レン。
そんなトップアイドルの二人が、誰にも気づかれないようにこっそり敗島へ来ていた。
目的は、次のファンクラブイベントの会場探し。
事務所から提案された候補の中に、『観客との距離が近い最新ホール』としてこのシアター九があったのだ。
「今日イベントやってるんだってさ。地元のアマチュア団体ばっかりらしいけど」
「アマチュアこそ熱いんだよ、カイト。気持ちでぶつかってくる音は、プロより響く時がある」
「お前のそういうとこ好きだわ」
「知ってる」
軽口を交わしながら、プライベートでも仲良しの二人は入場列に紛れた。
会場は最初こそ空席も目立ったが、昼を過ぎる頃には少しずつ埋まり始め、
“地元の音楽好きたち”の熱がステージへと集まっていった。
照明が落ちる。
軽快なMCがマイクを握る。
「さぁラストは、いのり楽坊のみなさんで〜す!」
会場がざわめいた。
「誰?」
「プログラムにない名前だな」
客席のあちこちで小声が飛び交う。
だが同時に、期待のような空気も漂っていた。
そして、MCがもう一度ステージに登場した。
「失礼しました。えーっとですね、プログラムにはないんですが……ここで急きょ登場していただきます! 特別ゲスト、“いのり楽坊”のみなさんです!」
ステージに現れたのは、地元の介護施設で働くおじさんたち。
白髪交じりで長身細身のベースマンに、ちょんまげツーブロックの顔芸で登場から笑わせるドラマー。
そしてキーボードに加えギターを3人も揃えた大所帯バンドだった
彼らの音が鳴った瞬間、会場の空気が変わった。
ギターのリフは滑らかで、ベースはリズムを支え、ドラムは芯を打つ。
まるで熟練のプロミュージシャン。
「うまっ……」
レンが思わず息を呑む。
「これ、アマチュアのレベルじゃねぇな」
カイトも腕を組んで前のめりになる。
イントロと同時にステージが暗転し、ライトが落ちる。
やがて再び明かりが戻ると、そこには黄色いポロシャツ姿の少女が立っていた。
同時に映し出された映像がステージ上のスクリーンに表示され、さらに盛り上がる。
胸元には「KUSHIO」、背中には「九潮自治会連絡会」と刺繍されたロゴ。
それがまるで制服のように見える。
スタンドマイクを握る風張いのり。
その隣でスタンドから引き抜いたマイクを手に握るのは親友のあずさ。
二人の背後には、プロ顔負けのおじさん演奏隊が控えていた。
「え……あの子たち、自治会役員?」
「うん、かなり若いぞ。学生じゃないか!?」
観客がざわつく。
キンプルの二人も顔を見合わせた。
「自治会……バンド?」
「マジかよ、おもしれぇな」
照明がさらに明るくなり、分厚いイントロが流れた。
おじさんバンドの演奏が骨太なリズムを刻む。
そして、いのりがマイクに口を近づけた瞬間、澄みきった声がホール全体を震わせた。
透き通るような高音。
心の奥をまっすぐ突き刺す、無垢な響き。
レンの瞳が揺れた。
「……すごい」
カイトも無言で頷いた。
彼らの目の前で、いのりは全身で歌っていた。
それを補うように、あずさのコーラスやハモリが重なってボーカルに厚みが生まれる。
黄色いポロシャツがステージの光を反射して眩しく輝いている。
その姿は“肩書き”でも“立場”でもなく、ただの一人の歌い手としての姿だった。
盛り上がりを聞きつけた観客が流れ込み、余裕のあった座席が一気に埋まっていく。
通路に立ち見の人も増え、ホールが熱を帯びる。
地元のアマチュア音楽祭とは思えないほどの盛り上がりだった。
キンプルの二人はただ、その光景を見つめていた。
プロでも演出でもない。
誰のためでもない。
純粋に「歌いたい」という気持ちが、音になって溢れていた。
---
ステージで最後の音が静かに消えた。
ほんの一秒、ホール全体が息を止めたような沈黙に包まれる。
次の瞬間、拍手が雪崩のように巻き起こった。
「すごい迫力……!」
「あの子たち学生でしょ!?」
「演奏隊もおじさんたちもめっちゃ上手かった!」
あちこちで歓声が飛び交い、観客が立ち上がって拍手を送る。
黄色いポロシャツのいのりが少しだけ照れたように頭を下げ、隣のあずさと視線を交わした。
二人の背後では、ブッスーとミッツーが穏やかな笑みを浮かべていた。
おじさんバンドのメンバーたちが、いのりたちの背中を静かに支えていた。
「自治会のポロシャツで歌うって、いいな」
レンがぽつりと呟いた。
「日常の延長にステージがある感じ。俺たちが忘れかけてたもんだ」
「……ほんと、そうだな」
カイトも同意するように、軽く手を叩いた。
照明が少しずつ落ち、イベントの終演アナウンスが流れる。
だが、観客はすぐには帰ろうとしなかった。
出口の近くでは、
「さっきの女の子たち何者?」
「名前なんだっけ?」
「いのり楽坊って言ったよね。プログラムにはなかった」
と話題が飛び交い、
撮った写真を見返す女子高生や、動画を撮っていた人々のスマホが一斉に光っていた。
「“いのり楽坊”か……」
レンがその名前を口の中で転がすように呟いた。
「変な名前だけど、耳に残るな」
「いや、金柑&プルーンよりマシじゃね?」
「それ言わないの」
二人の笑い声が混じり合い、空気が和らぐ。
その後、二人はステージの正面席に降りた。
ちょうど撤収のための機材搬出が始まり、スタッフが慌ただしく動いている。
音響ブースの前を通りかかると、PAスタッフが機材を片づけながら言った。
「この会場、すごいっすね。反響がきれいに返ってくるから、声の伸びが全然違う。特にあの“女子高生自治会長”の声、綺麗に抜けてましたよ」
レンの耳がぴくりと動く。
「やっぱり、会場の作りも関係あるんだな」
「はい。ステージが浅くて、客席との距離が近いんです。ああいう子が歌うと、このサイズが一番映える」
PAスタッフの言葉に、カイトが頷いた。
「……いいな。ファンと距離の近さを感じられるステージ。俺たちが探してたの、こういう場所だ」
「だよね。照明も音も最高。客席も700そこそこだから、ファンクラブ限定にちょうどいい」
レンの声が弾んだ。
二人はしばらく無言で客席を見渡した。
ステージにはまだ、片づけ途中の機材と、いのりたちが使っていたマイクスタンドが残っていた。
カイトがポケットからスマホを取り出し、カメラを起動する。
「なにしてんの?」
「記念に撮っとく。今日のこの感じ、忘れたくない」
照明の残り火がまだステージに淡く残っていた。
カイトとレンはキャップを被り直し、観客席の中央でピースサイン。
カイトが笑いながら、器用に自撮りカメラを向けてシャッターを押した。
二人が外に出ると、夜風が気持ちよかった。
犬井競馬場駅前の街灯がオレンジ色に滲み、潮の匂いが鼻をかすめる。
「なぁレン、次のイベント……ここでやらね?」
「うん。もちろん即決」
二人は迷いなく頷いた。
この場所で歌いたい。
その気持ちが、もう止められなかった。
———
数日後の午後。
全国のキンプルファンが一気にざわついた。
キンプル公式サイトからSNSに投稿されたお知らせには
【金柑&プルーン公式ファンクラブイベント開催決定!】
会場は、雛川区・敗島の「シアター九」!
実はGWにこっそり観客として、二人で現地に行ってました。
僕らの楽曲も披露してくれた地元のアマチュアバンド“いのり楽坊”の演奏に心を打たれ、 この場所でファンのみんなともう一度音楽を感じたいと思いました。
#キンプル #シアター九 #いのり楽坊
とあり、二人が会場で自撮りした画像付き。
同時に、いのり楽坊の演奏している画像が掲載された地元の広報記事も引用URLで記載されていた。
投稿からわずか数分で、いいねとリポストが爆発的に伸びる。
ピースサインで写る二人の写真は、どこか柔らかく、飾らない笑顔。
その、背景には確かに真新しいシアター九の客席。
イベントスタッフの制服姿、観客席の配置、そして後方には、黄色いポロシャツの少女が小さく写っていた。
地元雛川区のファンたちは即座に反応した。
「え!?あの時キンプル来てたの!?」
「うそ!?現地いたんだけど、全然気づかなかった!」
「もしかしたら、レン君が隣に座ってたりして!」
「“いのり楽坊”って最後に登場した自治会バンドでしょ!? めっちゃ歌上手かった!」
「あの声、キンプルも惚れるわけだ……」
同時に、ハッシュタグ【#いのり楽坊】が全国トレンド入りした。
地方の小さな音楽フェスが、突如として全国の話題の中心になる。
---
その頃、雛川シーサイド学院の昼休み。
食堂でニュースサイトの速報テロップを見て、あずさが箸を止めた。
「ねぇ、いのり……これ、見て!」
隣のいのりがスマホを覗き込む。
ニュースサイトの画面には、キンプル公式アカウントの投稿が掲載されていた。
「キンプルの二人?っていうか、後ろに写ってる黄色いシャツの子って……私!?」
いのりの目がまん丸になる。
「やっぱいのりだよね。うちらが終了後に関係者へ挨拶回りしてた時だよ(笑)」
周りの生徒たちも次々と気づき、あっという間にざわめきが広がった。
「キンプルが“お忍びで来てた”って!」
「やばっ!キンプル、敗島来てたの!?」
「シアター九って、競馬場のとこじゃん!」
「しかも“いのり楽坊”って書いてある!!!」
食堂で、誰かがスマホを掲げて叫んだ。
「風張さん写ってるよー!!!」
いのりの頬が一気に赤くなる。
「ちょ、ちょっと待って、それ小さいし……たぶん偶然だから!」
「偶然ってレベルじゃないよ!これもう奇跡でしょ!」
楓も驚きのあまり、口を押さえていた。
「……キンプルが、いのりたちを見てたんだね」
「あれ、楓もキンプル好きだったっけ?」
「うん。いのりとあずさがカラオケで歌ってるから私も好きになった……かっこいいよね、キンプル。特にレンくんの声」
「楓、顔真っ赤だよ」
「う、うるさい!」
笑いと悲鳴が入り混じる昼休み。
だが、いのりの胸の中だけは、別の色が渦を巻いていた。
あの日の歌が、誰かの心を動かした。
それは間違いなく嬉しいことのはず。
けれど、全国の人が自分の顔を見ている現実に、どこか不思議な感情を覚えていた。
キンプル公式が投稿したメッセージのコメント欄には、見知らぬ人たちからの声が溢れている。
「いのり楽坊の歌、GOTUBEで見て感動しました!」
「シアター九で見てたけど最高でした!」
「キンプルに認められたJKボーカル!」
「このボーカルの女の子、ベニスタの始球式で話題になった女子高生自治会長だよ!」
「風張いのりちゃんって子。メザメルト・シャークスの公式GOTUBEで始球式動画出てる。」
「マジ!?この女の子も有名人なの?」
「調べたらほんとだった!めっちゃ可愛い!」
いのりは画面を見つめたまま、そっと息を吸った。
嬉しいのに、どこか怖い。
名前の知らない誰かが、自分を見ている。
これが“注目される”ってことなんだ。
彼女の指先が、ゆっくりと震えた。
———
夕方。
雛川シーサイド学院・旧棟にある言論部の部室。
窓ガラス越しに夕陽が差し込み、机の上には福地顧問が買ってきた“うなぎクッキー”。
詩帆が淹れた緑茶の湯気がほのかに立ちのぼっている。
言論部部室の古いブラウン管テレビでは、ちょうど夕方の報道番組『17時のトピックス』が流れていた。
『人気ユニット・キンプル、新曲「The wind is blowing」リリースと同時にファンクラブイベントを発表!』
キャスターの声が弾む。
『会場は、雛川区・敗島にある「シアター九」!開業からおよそ1年。地域密着の文化ホールとして誕生した真新しい会場が、今回、初めて大物アーティストの単独ステージに選ばれました。』
テロップには“新曲発表×ファンクラブイベント開催”の文字が並び、スタジオにはキンプルの二人が並んで座っている。
背後には敗島の海を映した青い背景。
レンが穏やかに話し出す。
「実は、ゴールデンウィークにプライベートで観客として会場に行ったんです。そのとき、“いのり楽坊”っていう地元バンドのステージが忘れられなくて。演奏がプロ並みに上手くて、ボーカルの歌声もまっすぐで、観客との距離がすごく近かった。そのまま僕らも“ここで歌いたい”って、自然に思えたんです。」
カイトが頷きながら言葉を重ねる。
「音響もすごく良かったし、何より温かい空気がある。雛川区のあの雰囲気が好きになりました。」
ナレーションが入る。
『イベントはファンクラブ会員を対象にした無料招待制。応募はすでに殺到しており、数百倍を超える高倍率になる見込みです。会場となるシアター九は、ステージとの距離が非常に近く、全席から肉眼でアーティストの表情が見える構造。まるで大型アリーナの“最前列”で見ているような臨場感が味わえると話題です。』
画面が切り替わる。
SNS投稿で話題となった、帽子とサングラス姿のキンプルの写真。
その背景には、満席に近い客席と、黄色いポロシャツでマイクを握る少女の姿。
テロップには《地元バンド“いのり楽坊”のライブ画像》の文字。
新曲タイトルの“風が吹いている”という意味に、どこか“風張いのり”という少女の名を思わせる偶然も重なっていた。
「……いのりん、うつってるよん」
福地顧問が、うなぎパイを片手にニヤリと笑う。
「え!?ちょっ、やめてください福地先生!」
いのりは慌ててテレビの音量を下げようとする。
「全国デビューおめでとうございます」
詩帆が笑いながら言うと、いのりの顔はさらに真っ赤になった。
「ち、ちがうってば!あれは偶然で……!」
「偶然でも、映るってすごいことよ、いのりん」
福地が笑いながら残りのうなぎクッキーをかじる。
テレビには、キンプルの二人が微笑む姿。
画面下のテロップには「#シアター九」「#いのり楽坊」の文字が並ぶ。
部室の空気は笑いで満ちていたが、いのりの胸の中には小さな不安が残っていた。
光を浴びれば、影も伸びる。
それを、このときのいのりはまだ知らない。
———
夜、都内の高層ビル群を見下ろすレコーディングスタジオ。
キンプルの二人は、次のアルバムに向けた新曲の仮録りを終えたばかりだった。
ミキサー卓の前に並べられた缶コーヒーが、少しぬるくなっている。
「……なぁレン」
「ん?」
「この間の“シアター九”、ほんとに良かったな」
「うん。空気がやさしかった。あの地元の人たちの雰囲気、忘れられない」
レンは軽く笑って、窓の外の夜景を見つめた。
「それに“いのり楽坊”の女の子、可愛かったよね」
カイトが振り返り、苦笑する。
「お前、やっぱ言うと思った。」
「だってさ、あの黄色い自治会ポロシャツ。 あんなステージ衣装、普通選ばないでしょ?」
「 でも、あれが似合ってた。 まっすぐで、透明で、無理してない感じが良かった」
「わかる。あの子の声、妙に残るんだよな。技術とかじゃなくて、心が真っすぐ届く感じ」
しばしの沈黙。
モニターに映る音波形の光が、二人の横顔を照らしていた。
「次のイベント、シアター九に決めてよかったな」
「うん。あの子の歌を聴いた場所で、俺たちの音も鳴らしたい」
レンはふっと笑いながら、スマホを取り出した。
ホーム画面には、あの日の客席で撮ったツーショット写真。
『お忍びで観てました』と、添えられた文字。
すでに数十万の拡散再投稿を超えている投稿だ。
「これ、いい写真だよね」
「うん。……でも一番輝いてたのは、俺たちキンプルじゃなくて“あの子”だったけどな」
二人は顔を見合わせて、小さく笑った。
夜の東亰に、録音機材のライトがまた一つ、瞬いた。
第100話までお付き合いいただき、本当にありがとうございます。
この回は、作者が物語初期から構想していた“キンプル”の正式登場回です。
カイトとレンの関係性は、華やかさよりも信頼と温もりに満ちています。
その二人が、ようやく物語の世界に足を踏み入れる。
それは“スターが降りてくる”瞬間であり、同時に“日常の輝きが見つけられる”瞬間でもありました。
今回、レンが口にした「可愛い」という一言には、特別な意味があります。
彼は、可愛い女の子なんていくらでも寄ってくる存在です。
美しさに慣れきった芸能人が“可愛い”と感じる時、それは外見ではなく「在り方」に心を打たれた証拠。
レンがいのりを可愛いと感じたのは、飾らず、まっすぐで、無理をしない彼女の生き方そのものでした。
自治会のポロシャツという日常の象徴をまといながら、堂々とステージに立つ姿。
それを“似合っていた”と評したレンの言葉は、「純粋に生きることこそが最も美しい」という、彼自身の信念を映しているのだと思います。
そして、その隣で頷くカイトもまた、同じ音を聴いていました。
その彼らがいのりの歌に惹かれたのは、音楽の技術ではなく、“心”でした。
プロとアマチュアの境界を越えて共鳴したあの瞬間に、私はこの作品の原点である「日常の中にこそ奇跡はある」と、気持ちを込めています。
そして、100話という節目を迎えたこのタイミングで、お知らせがあります。
実は『この団地、女子高生に自治会長を任せるって正気なの!?』は、まもなく完結を迎えます。
あと11話ほどで、いのりたちの物語は一区切りを迎える予定です。
これまで支えてくださったすべての読者の皆さまに心から感謝申し上げます。
最後まで、もう少しだけお付き合いください。




