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6/8

準決勝

     6

 その後、この試合のうわさは瞬く間に各チームに広がっていった。

 美人のエースと、ど素人のむさくるしい中年のおっさんたち。それは美女と野獣…いやいや、美女と青虫たちだ。そしてそんな彼らが「青虫バケツリレー作戦」を…

 そういう訳で、すばる360は、たちまち注目の的となっていった。

 すなわち彼らはその後、打たせて捕ってバケツリレーという、結構強いチームとして、二回戦、三回戦と勝ち進んでいったのである。

 そして準決勝だ。

 相手はワイルドセブンとかいうチームだった。さすがに準決勝となると、ワイルドなチームと当たった訳だ。すなわちこのチームは、青木の喫茶店の主力チーム「プレアデス」を破ったのだから、つまりそうすると、すばる360はプレアデスよりも「上位互換」となったのだから世の中分からない。

 そういう訳で、三回までは例によって

「イヤッハッハッハッハッハァアアあ~~~~~~」とバッターボックスで笑い転げ、仰向けに倒れ込み、足をバタバタ…

 で、審判も、

「いや、君君、ちゃんと打撃の構えを…オホホッ…ぶぁっハッハッハぁあああ」ってな感じで進んでいき、そんなこんなで打者一巡。で、その後、内野ゴロの山…

 それから彼らはバットを短く持ち、ピッチャー返しを始めるや、起山の、

「やいやいやいやい。嫁入り前の娘になんてぇことしやがるんだ!恵の顔に傷でも付けたら、てめぇ、どうやって責任取るつもりだ!」ってなわけで、怒山のドスの効いた声がグラウンドに響いたりして、又しても内野ゴロの山。

 だけどそうはいっても、「普通の外野フライ」みたいな打球も4本ほど打たれ、それはすべてホームランとなり、試合は7対4ですばる360リードという展開だった。

 そして4回の表、ワイルドセブンの攻撃。

 前にも言ったように、彼らはピッチャー返しは出来ない。

 怒山が怒るからだ。

 そこで一番バッターは、叩きつけるバッティングを試みた。

 なるほどこれは、恵と青虫の盲点を突いた巧みな試みだった。

 すなわち、軟球ならではの大きくバウンドした打球は前衛の怒山の頭を超え、肉離れの後ろ足もすっかり良くなった、この日は後衛のライトを守るみぃ太郎のところへ、ぽよょ~~~んと飛んで行ったのだ。

 それでみぃ太郎はこれを捕るようなそぶりからジャッグル。それからもたもた拾い、で、よせばいいのに恵に渡すことなく(つまりバケツリレーを経ることなく)、かっこつけて得意のサイドスローから一塁へ送球。これが引っ掛かって暴投…、っていうか悪送球。

「こら!みぃ太郎のばかたれが。なんばしよるとか!おっと、お前の言い方がうつったじゃねぇか!このバカヤロウ!」

 起山は豪快に怒っていた。

 で、ノーアウト二塁(^^♪

 で、次の打者は恵の真っすぐを打ち上げた。完全なポップフライ。常識的には平凡なセカンドフライである。ところが、ピッチャーの恵と二塁ベースの間付近にいた、後衛のセンター、鈍足のボタは、

「おーらい・おーらい・おーらいぃぃぃ(^^♪」とか言いながら、いかにも捕れそうな追いかけ方をしつつ、結局「ばんざい!」して落としてしまった。

「ごらぁ!ボタ!なんばしよるとか!このばかたれが!」

 ここでみぃ太郎が、自分のことを棚に上げ、鬼の首を取ったかのようにボタを罵った。

 で、その頃セカンドベースやや後方に落ちたボールはころころとセンター方向へ。それでボタはのそのそと鈍足でこれを追いかけ始めた。

 これを見たセカンドランナーはあわてて走り出し、ボタの鈍足加減を見た三塁ベースコーチも腕をぐるぐる。で、ランナーは一挙ホームへ向かう!!

 だが、転がる打球は極度に遅く、ボタよりも遅く、だからボタは意外と早くボールに追いつく。そして中継に入ろうとした恵は、さささっとボタに追い付き、それからボールに追いついたボタはこれを拾うと振り向きざま…、いやいやすでにボタの背後には恵が迫っていた関係上、ボタは振り向きざま「は~~い♪」と、恵にボールを手渡した。

 それで恵はこれまた振り向きざま、「びゅん!」と腕を振り、ボールは「びゅぅぅぅうん!」と、青木がミットを構えるホームへ!

 そういう訳で、ホームベース上では豪快なクロスプレイ!

 砂煙が上がり、何も見えなくなり、その砂煙が西風で飛ばされると、ホームベース手前でランナーと青木が激突していて、で、青木はしっかりボールを持っていて…

「ア…、アウト!」

 審判の前足…、じゃない、右手が挙がった。

 で、アウトはよかったけれど、だけど不幸にして、この激突で青木は名誉の負傷。

 腰と肩を打撲していて、キャッチャーはとてもやれそうにない。

 さぁ大変だ。

 そういう訳で、ファーストにいた不手際が青木の代わりにマスクを被ることに…いやいや、不手際は青虫だから試合開始早々からマスクとプロテクターをしていたし。

 で、ともあれ不手際はキャッチャーになった。

 ちなみに青木はファーストへ。


     「意外な助っ人登場」へ続く

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