表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

ワイルドビート戦

     5

 そしていよいよ、地元の新聞社主催の早起き野球大会が始まった。

 青木の喫茶店からは、主力選手たちの本命チーム「プレアデス」と、それからおとぼけの7人、恵らの「すばる360」の2チームが出場することとなった。

 それで、我らがすばる360の一回戦での対戦相手は「ワイルドビート」だ。強打で知られるビートの効いたチームだ。

 一方、すばる360は、恵、青木、そしておとぼけの7人による前衛後衛の内野守備陣だ。もちろんこの7人はキャッチャー用のマスクと、お揃いの緑色のプロテクターを身にまとっていた。

挿絵(By みてみん)

 ところで、この光景を打者目線で見ると、まさに美女と野獣(たち)。いやいや、件のプロテクターが緑だし、さながら「美女と青虫たち」だ。

 で、いよいよ試合が始まると、ワイルドビートの各打者たちは得意のビートの効いた打棒(!)どころか、まずは「美女と青虫たち」を直視し、笑いをこらえることに精一杯だった。

「イヤッハッハッハッハッハァアアぁ~~~~~~」

 彼らはバッターボックスで笑い転げ、仰向けに倒れ込み、足をバタバタ…

 で、審判も、

「いや、君君、ちゃんと打撃の構えを…オホホッ…ぶぁっハッハッハぁあああ」

 そんなこんなで、それでも笑いをこらえ、必死こいて打撃の構えはしたものの、まともにバットも振れず、そういう訳で、恵は快調にど真ん中を投げ続けて打者一巡。

 3回を終わってワイルドビート打線は全くビートが効かず、無得点。

 一方、すばる360はハンディキャップの7点に加え、打席で「イヤッハッハッハッハッハァアアぁ~~~~~~」と笑った余韻に浸るワイルドビート守備陣の緩慢なプレーもあり、クリーンナップ3番青木、4番恵の連続二塁打で1点獲得し、8対0でリード!

 だけど4回からは、ワイルドビートの面々は、「なんだなんだ!外野はがら空きじゃねぇか!」と、何を今さらながらに気づき、それで外野へ打とうとして大振りを始めた。

 だけど大振りだと、恵のシンカーとか高めの真っすぐが威力を発する。そういう訳で空振り・ボテボテ・パカーンと内野フライ…

 そういう訳で試合も終盤になり、ワイルドビート打線も思い切り学習し、コンパクトにセンター方向を狙い始めた。

 すなわち、先頭バッターはバットを短く持ち、パチーンとピッチャー返しを狙って来たのだ。

 結構鋭い打球は恵のグラブを弾き、コロコロころころ。それでバケツリレーもままならず、ランナーは一塁!

 ところが後衛の怒山がつかつかと一塁ランナーの元へ歩き、大声でこう言った。

「やいやいやいやい!嫁入り前の娘になんてぇことしやがるんだ!恵の顔に傷でも付けたら、てめぇ、どうやって責任取るつもりだ!」

 怒山のドスの効いた声がグラウンドに響いた。

「いいか!今度そんな薄汚ねぇバッティングしたら、ただじゃおかねぇからな!」

(ピッチャー返しのどこが薄汚い)

 しかし怒山の迫力により、ピッチャー返し=薄汚い=やっちゃダメよ…、なる異様な雰囲気がしれ~~っと醸造され、そういう訳で以後、ピッチャー返しを狙う打者はいなくなった。

 つまりそれ以前のダメ打撃に戻らざるを得なかったのである。で、再び内野ゴロの…

 それともうひとつ。

 彼らにはもうひとつの武器があったのである。

 くしゃみだ。

 くしゃみは前衛を守っていたのだが、恵がボールを投げ、打者がバットを振ろうとしたその瞬間、大音響のくしゃみをするのである。もちろんいつもしていると慣れられてしまうので、選りすぐりの「肝心なとき」にするのである。

 それで打者は打ち損じてしまう。肝心なときに…

 こうして彼らの「青虫バケツリレー作戦」は大成功を納め、試合は8対5、つまり彼らはハンディキャップの7点+1点の合計8点を守り切ったのである。


     「準決勝」へ続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ