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⑻『茫洋足る、風景模写』
⑻『茫洋足る、風景模写』
㈠
茫洋足るもの、それは、果てしないものだ。そういう訳であるから、俺は俺で、しっかりと、俺の風景画が茫洋足るものであることを、認めなければならない様だ。寧ろ、そこを基軸にして、小説も書かれるべきなのであろう。
㈡
そう思えば思う程に、俺はその茫洋足るものを、真に受け止めなければならない様であって、それもまた、然りなのであるから、殊更に、今更、発展などという模写の塗りつぶしを、更に白色に塗りつぶすことは、避けねばなるまい。
㈢
であるからして、俺は、その模写というものが、どういう段階で完成したと言えるのかを、判然としない侭で、今日まで過ごしているのだが、それはそれで、今の俺にとっては、充分な、対策措置なのである、ということを、一先ず明言して置く。