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⑹『茫洋足る、風景模写』
⑹『茫洋足る、風景模写』
㈠
俺は、この、茫洋足る、風景模写、というタイトルを思い付いた時から、或る程度の連作になるだろうとは、思ったことだった。或る程度までは、書ける、少なくとも、⑽まで、伸びれば、⒇まで、と言った感じだろうか。
㈡
それは、実際、というか、事実、俺の風景は、私小説的に言っても、或る程度茫洋としているのであるから、書き易い、という点が、最もな利点だと思ったからである。であればこそ、書くことも、疲労が少なくて済むということなのだ。
㈢
この茫洋足る様は何だ、変革しても変革しても、茫洋として切りがない。これは、ボックスではない、寧ろ、ロビーのようなものだ。このロビーは、家を主体としているが、庭を抜け、街を抜け、もっと先の、自然地帯まで伸びる、茫洋としたロビーである。