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⒅『茫洋足る、風景模写』
⒅『茫洋足る、風景模写』
㈠
茫洋足るものだ、それは実に、茫洋足るもの、それ以外の回答が、俺にとっては、最期の回答となる、つまり、結句、茫洋足るものなのである。これは、詩の様に書くことで、小説を発展させる、或る種の試みでもある。
㈡
この、小説というものに、詩を持ち込む方法論は、昔から有ると思われるが、俺は、こう言った方法論を通常使用しないのである。しかし、どうしても、詩でしか言えない様に、茫洋足るものは、茫洋足るものでしかないのである、俺の世界において。
㈢
良いだろう、と神は言うだろう。神が言うところの、茫洋と、俺が言うところの茫洋は、また異なるだろうが、神と異なることを、俺は別段気にしてはいない。ただ、芸術至上主義に則って、茫洋足るものを、描くことを、書くしかないのである。




