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⑽『茫洋足る、風景模写』

⑽『茫洋足る、風景模写』



どうにかこうにかして、⑽まで書けた、この小説も、先がない訳ではない。非常につらつらと、茫洋について述べることは、俺にとっては、実に述べ易いことなのである。書こうと思えば、書ける、続きを、という感じである。



風景模写は、ところで、絵画を実際に描いて居る訳ではないことは、言って置くべきだろう。云わば、俺の視覚を通して、瞬きの間に、その本質的見え方を、変容させる、ということが、模写の上描きと言って居ることだ。



例えば、風景を見る角度を変えてみる、であるとか、場所を移動して、見える範囲を変えてみる、であるとか、そういった具合である。意外と、それは難しいことなのである。そして、俺にとっては、それは、茫洋とした風景なのである。

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