86 ◇桃の病気
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◇桃の病気
娘を幼稚園まで送り届けたその足で、近所にある整形外科クリニックへ
連れていってもらった。
衣類の上からレントゲンを撮り、痛み止めと湿布薬を渡されて帰ってきた。
初めての整形外科での受診だったため、あれが良い医師の処置であったのか、
言葉かけだったのか、頭を捻るしかなかったのだが……。
ほとんど説明らしい説明もなく、いきなり『手術するかー』の一言だった。
リハビリルームも院内にあったけれど、リハビリの[リ]の字も出なかった。
その代わりというか、いくつかのストレッチの図の書かれた用紙を手渡された。
私の疑問は『手術、どこのなんだ? 大腿骨あたりなのか?』
思ったが訊かなかった。
痛み止めが嘘のようにどっさり。
毎日律儀に飲んでたら薬の影響で死ねそうなレベルだった。
痛み止めの服用に関しては、死にそうなレベルまでは我慢して
ストレッチをして凌ぐことに決めた。
しばらくの間、家事ができない状態が続いたが、母や俊、そして奈々子にも
お手伝いしてもらい、私は日々を過ごした。
土、日になると、動いてこなす家事は夫がほとんどやってくれて
感謝しかない。
そしてそのうちに嘘みたいだが、全く動けないという状態からは
脱却できたのだった。
それほど熱心にストレッチもやってはいなかったのだが。
病気の進行状況というか、症状の出方は一進一退だった。