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✿ 桜の華 ― *艶やかに舞う* ―   作者: 設楽理沙


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42/108

41 ◇残念

41 


『はぁ~』溜息しか出てこない俊は、次の1時間後に期待をかけた。


 こうなったら桃の裸になってポーズを取っているという場面は無理かも

しれないが、一目桃の姿だけでも見納めて帰りたいと思った。


 ずっとこのまま突っ立ったままというのも芸がないのでふらりと構内に入り

缶入りのお茶を買った。


 そして、しばらく立ち飲みしたあと、再び教室の窓付近に戻った。



 暇なので聞き耳を立てたりもしてみたけれど……、閉まっていることもあり

何も物音ひとつ、音声はいわずもがなのこと聞こえてはこなかった。



 そんなふうにして待つこと小一時間。

 12時を針が指した後、女性と男性がそれぞれのカーテンを開け始めた。



 窓横の壁を背に、その様子を見ていた俊は、彼らが窓から離れるのを待ち

桃の姿を探した。



 カーテンを開けていた女性が、残っていた数人の生徒たちと一緒に

教室の入り口から出ていくのが見えた。


 あれが大学の先生? 教授? 講師?

 分からんがその男はまだ残って何かノートに書きこんでいるのが見える。



 桃は俺の見たことのない、ゆったりとしたワンピースを着ていて

授業が終わったばかりだからだろうか、髪は半分アップ気味になっている。



 これも今まで自分は見たことがないヘアスタイルだ。

 このように外から桃たちのことを見ている俊がその場にいたのだが……。



 そんなこととはつゆ知らず、いつになく桃は植木を挑発する(構う)のだった。



 ちょうど俊の立ち位置のほうのカーテンを触ったのが男性で雑な開け方をしたため、内側のレースのカーテンが少し開いており、俊にとってはラッキーだった。



 その隙間から中の様子がレース越しに見えるよりもはっきり見えたからだ。

 そこからは男性の姿が見えた。


 生憎桃の顔は見えず、頭と背中しか見えない。


 その桃かもしれない女性は、下を向いて何かを書いている男性に

ゆっくりと近づいていった。



 会話も聞こえず、ふたりの様子が遠目にしか見えないのが残念だなぁと

(俊は)思った。

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