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「大学の授業って平日だろ、奈々子がいるのにどうやって行けるんだ」
「お母さんに見てもらって、週に一度だけ通ってるの」
「通ってるのってことは今も?」
「うん」
「なんでなんだよ。信じられない」
「信じなくていいんじゃない? 別に驚くことでもないしぃ~」
「何言ってるんだ! すぐに止めろよ」
「私のほうこそ、あなたにその言葉返したいわ。
私になんて、私の身体になんて興味もない人が何を今更夫ずらしてるのかしら?
自分の友だちと浮気するような破廉恥で人でなしに、裏切った妻のことを
詰る権利なんてあるのかしら」
折角刺々しさが取れてきたところだったというのに、今原が持ち込んできたネタで
俺たち夫婦間の隙間に、またまた余所余所しさが滑り込んできた。
お手上げだ。
それにしても……だ。
夫が浮気したら裸のモデルになるとは、これ如何に?
俺には100年掛っても解けない難問題だ。
ハタと気付いた。
俺への当てつけ?
意趣返し?
嫌がらせ ?
だけどたまたま今原が俺のいる職場に来たから俺が知るところとなったわけで、
こんなことは確率的にものすごく低いことだろ?
俺にバレない可能性のほうが高かったわけだから、それを鑑みてみると
どうなんだろうなぁ。
言えるのはもう俺の手には負えないということ。
そして桃は一生俺を許しはしないだろうということ。
その夜、悲しいかなそれだけは理解できた。