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99 ◇淡井恵子の所業

99 淡井恵子の番外編9   


◇淡井恵子の所業


まぁ、こんなふうにいろいろと素ちゃんのことを考察することのできた

お式の最後のセレモニーを終え、仲の良い琴ちゃんと私はお手洗いへと

向かった。


ちょうどそこにはホテルのスタッフらしき人たちがいて、淡井恵子たちの

殺傷事件のことを話しているところだった。


私と素ちゃんは目配せしてすぐにトイレに入った。



「ね、今日すごい事件っていうか、刃傷沙汰があったらしいんだけど

何か知ってる?」



「すごかったよねー。

所謂三角関係のもつれ? 

あれっ、夫婦間のことでもそう言ってよかったのかな? 

ちらっと聞いた話では刺されたのが旦那さんで、刺したのが

奥さんだったらしいって。

だから最後に詰め寄られてたのが浮気相手なんでしょうね。

明日の新聞に載るかも」



「どうして浮気相手の女じゃなくてご主人を刺しちゃったんだろう? 

普段からモラハラなんかもしてたどうしようもない人間だったのかしら」




「うん、そこ、同じく。


まぁ私だったら、自分以外の女と夫の身体を共有するだなんてとんでもなく

気持ち悪くて一緒に暮らすのも嫌になると思うけど……それでも裏切り者の

ために捕まるなんていうのはよけい嫌だから、刺すっていう選択肢はないけど、 

どちらを刺すのかっていう究極の二択を訊かれれば女のほうかな、やっぱり。


ドロボー猫のほうをやっつけたいわ」




このスタッフたちの会話からますます淡井恵子の泥棒猫説が重厚になったため、

益々(ますます)私は淡井さんがどんな酷いことを仕出かしたのか、もっと

詳しく知りたいと 思うようになった。


従姉の素ちゃんも一癖ある人間だが、淡井さんに対しても前々から癖のある

好きになれないでいた人間のうちの一人だったからだ。



ほんの少しの好奇心がなかったと言えば嘘になるが、これからも同じ職場で

働かなければならない相手ということもあり、美晴は大枚を(はた)いて

恵子のこれまでの所業を調査会社に依頼して調べてもらうことにした。



そして……調査会社の調べで分かったこと。



あの事件は親しい友人、水野桃の夫、俊との浮気で、しかももう会わないと

言う俊を脅して強引に会っていたという事実が明るみになっており、

妻の桃にも俊と会うことをわざわざ知らせて嫉妬させるように仕向けていた

ことなど、淡井恵子のしたことは悪質極まりなかった。



他にも余罪がないかと友人関係をあたったところ、過去にやらかしたことも

2件ほど出てきた。


いずれも友人の恋人や旦那を誑かし関係を持っていて、友人たちからは

絶縁されている。


流石に仕事を失うリスクは取れなかったのか? はたまたターゲットにできる相手が

社内にいなかっただけの話なのか、今のところ、職場でそのような揉め事は起こして

いないようだ。




……と、淡井恵子の調査結果が手元にきた頃はそんなふうに見ていた

美晴だったが、あれから2年の時が過ぎた現在、恵子は新井や市川に

同時に手を出そうとしていた。


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