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第17話

 期末試験を終えた日の、週末。

 駅前のロータリーで、早乙女と待ち合わせていた。


 待ち合わせ時間を少し過ぎた頃、ロータリーに一台の車が止まった。

 そして中から銀髪の少女が現れる。


「ごめんなさい。少し遅れたわ」


 そう言って現れた早乙女は、白いシースルーのトップスに黒いミニスカートを履いていた。

 トップスの下には黒いキャミソールを着ており、肩と二の腕の綺麗な白い肌が強調されていた。

 ミニスカートから伸びる素足には、ベージュのヒールサンダルを合わせている。


 夏らしく、お洒落な……。

 しかし露出の多い格好だ。


 自分の肌に自信がなければ着れないだろう。


「……いや、俺も今、来たところだ」


 俺は目を逸らしながら答えた。

 ちょっと刺激が強すぎて直視し辛い。


「何か、言うことはないかしら?」

「似合ってるよ。普段よりも美人に見える」

「ふーん、月並みね」



 俺の素直な感想に、早乙女は小さく鼻を鳴らした。

 しかし言葉とは裏腹に、口元は僅かに綻んでおり、気恥ずかしそうに髪を弄っている。


 照れているらしい。


「ところで、氷室君」

「何だ?」

「今日は……何だと思う?」


 早乙女は自分のミニスカートを少しだけ摘みながら、俺にそう問いかけた。


 最近、早乙女は俺にスカートの中身を報告しなくなった。

 代わりに「何でしょうか?」とクイズをしてくるようになった。


 答えを教えてくれるかどうかは、その日の気分次第だ。

 ……正直、教えて貰えないとその日一日、気になって仕方がないのでやめて欲しい。


「……黒じゃないか?」


 まず、前提として履いていないということはないと思う。

 なぜなら、今日の早乙女のスカートはそこそこ短いからだ。


 早乙女は履かない時は、必ずスカートを長くする。

 僅かな違いだが、少しだけ長くして、ガードを固くするのだ。


 だから今日は履いているはず。

 色については断言できないが、今日の早乙女は黒いキャミソールを着ている。


 必ずしもキャミソールとブラジャーやショーツの色を合わせているわけではないが、合わせている時の方が多い。


 何より、早乙女は黒が好きだ。

 今日は一応、デートなので、黒を選んでいてもおかしくない。


 あとは、まあ……俺の好みだ。


「半分、正解ね」

「……半分?」

「こっちは、確かに黒」


 早乙女はそう言って自分のトップス――の下に来ているキャミソールを指さした。

 自然と俺の視線がキャミソールと、僅かに覗く白い谷間に向く。


 慌てて俺は目を逸らした。


 シースルーのトップスを着ている以上、キャミソールが黒いのは見ればわかる。 

 だから早乙女が指しているのは、キャミソールではなく、その下のブラジャーだろう。


 ……そうか、そっちは黒か

じゃあ、下は?


合わせないなんてことがあるのか?

上下セットなのが普通じゃないのか?

いや、俺は色の組み合わせとか考えたことないけど。


「こっちは、さっきまで、黒だったわ」


 どうやら俺の予想は外れたらしい。


「……一度、私服でしてみたかったの」


 早乙女は足を若干、モジっとさせながらそう言った。


「学校に行くときは、近くまで送り迎えしてもらえるし。学校の中は安全だし」

「は、はぁ……?」


 学校は安全なのだろうか?

 いや、少なくとも不審者や痴漢はいないから安全か。


「守ってね……?」


 早乙女はそう言って軽くウィンクをした。

 

「そこは任せてくれ」

 

 俺はそう言うと、早乙女に手を差し出した。

 早乙女は驚いた様子で目を見開き、それからはにかんだ。


「……じゃあ、エスコート、よろしく」

「あぁ、もちろん」


 柔らかい手を握りながら、俺は頷いた。

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