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第98話:一度きりの我儘

 昔、今のアリア、詰まる所転生前の男だった頃、一家の次男として生を受けた。長男がいて、初の女の子の長女が生まれた環境に次男としていた男は、洋服はほとんど全て長男からのお下がりであった。そこまで裕福とは言い難い家庭だったので、洋服代は長男、特に初の女の子であった長女に使われる状況であった。別にそれに対して不満は一切なく、自分自身も妹が綺麗な服を着て喜んでいる姿に嬉しくあった。

 そんな中一度だけ我儘を言って、当時の記憶があやふやなので印象でした覚えていなかったのだが、小学校のクラス内で流行っていた服を自分も欲しいと母親におねだりをした。しかし、母親が買ってきてくれた服はその当時の自分の欲しかった色とは違い、これじゃないと激しく駄々を捏ねて結局着ないで箪笥の肥やしとなってしまった。その中で、今この瞬間に一番強く想起されたのが、嬉しそうに買ってきてくれた母親がその言葉を聞いて悲しそうに笑っていた事であった。初めてのおねだりで一生懸命に買ってきてくれたのであろうことが、今ならはっきりと分かる。

 だから、アリアはそんな光景はもう見ないように、一生懸命に服を楽しみ、喜びを露わにするのであった。


 (ありがとう、シオン。・・・ありがとう、母さん)


 心の中で昔言えなかった感謝を述べ、くねくね踊りをするシオンを見て微かな切なさに蓋をするのであった。




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