第1話 パーティーメンバー
・・・デルエマ王国 下級の冒険者が集う町 ディワンセル・・・
町唯一の酒場にて
銀髪の青年
「ロン、国士無双!!!!」
同じ卓にいたおじさん
「はーーーーーー!!、ふざけんな!どんなトリックを使いやがった、反則だ!白状しろ、レイ!!」
レイ
「おいおい!忘れたのか?バレなければどんな事でもしていいルールだろ。」
「トリックがわかったら負けを認めてやるよ!ま、ユーゴには無理だろけどな!はっはっはっはっは!!」
近くに座っているフードをかぶっている冒険者?
「・・・・・・・・・・・」
ユーゴ
「くそ~、わからねー。ってかお前それでも勇者かよ!卑怯な手ばっかつかいやがって、イールも何か言ってやれ」
フードをかぶっている冒険者?
「!!」(あれが!?)
イール
「確かに、3人麻雀で4連続“国士無双”はおかしいよね。でも、トリックありって言ったのはユーゴ、君だよ。」
レイ
「そうそう、それに俺は勇者でも“クズ勇者”ですよ~!」
3人が言い争っていると、近くに座っていたフードの冒険者?が近づいてきた。
フードの冒険者?
「すみません、あなた勇者なんですか?」
レイ
「ん?そうだけど、誰だおまえ!」
フードの冒険者?
「私の名前はウリス!色んな所を転々としている冒険者です。単刀直入申し訳ないですが、あなたのパーティーに入れさせて下さい!」
レイ
「は?、、、嫌だけど」
ウリス
「っな、なんでですか?あなた達勇者パーティーですよねー!?なら人手が必要なはずです。雑用でも何でもしますから!お願いします!!」
3人は顔を合わせ苦笑した。
ユーゴ
「なんでそんなにパーティーに入りたいか知らねーが、お嬢さん勘違いしてるぜ。まず、俺とイールはこいつのパーティーメンバーじゃない。てか、こいつにパーティーメンバーはいないよ。」
ウリス
「え?」
イール
「確かにレイは勇者だけど、今いる6人の勇者の中では最弱って言われているんだ。だからパーティーメンバーは集まらないし、大きなクエストにも参加できないんだ。」
声をかけた時と違い少女の顔は楽しみにしていたおやつを食べられたような顔をしていた。一方、話しかけられた勇者は事実を言われ不機嫌そうな顔をしていた。
レイ
「まー、俺が最弱勇者ってことは置いといて!」
不機嫌そうな顔でユーゴとイールを睨む。2人は知らん顔をして目を逸らす。
「なんで勇者パーティーに入りたいんだ?金目的か?」
(そう、基本的に勇者パーティーはパーティーメンバーってだけで金がもらえる。国からの補助金だ。現に俺もその補助金と冒険者ギルドのクエスト報酬で暮らしている。)
ウリス
「え?お金貰えるんですか?ならなお更入れてください!もう野宿なんて嫌なんです!!」
レイ
「は?野宿ってお前,,,金ねぇのか?」
ウリスが頷く。
ユーゴ
「いいじゃねーか、入れてやれよ。最近金欠なんだろ? 2人なら行けるクエストの幅が広がって効率がよくなるぜ。」
イール
「そうだよ、それに中央都市のギルドマスターからも“速く魔王討伐に行け”って言われてるんだろ?」
ウリス
「お願いします!」
自分よりも明らかに年下の少女に頭を下げられ、いつもつるんでいる仲間にも後押しされ、店中から注目されている状況。さすがの“クズ勇者”も間が悪そうだった。
レイ
「あーもう!、わかったよ」
「入れればいいんだろう、入れれば!」
ウリスが嬉しそうな顔をする。
ユーゴ
「よかったな!、お嬢さん」
イール
「頑張ってね~」
ウリス
「ありがとうございます!」
レイ
「ほら、そうと決まればさっさと行くぞ!」
ウリス
「?、どこに?」
レイ
「決まってるだろ!冒険者ギルドだよ。」
・・・・・ディワンセル 冒険者ギルド・・・・・
レイ
「ほら、着いたぞ。ここがこの町唯一の冒険者ギルドだ。」
ウリス
「お~~~、すご~い!」
レイ
「とりあえず、お前の冒険者カード発行してもらいにいくか。どうせもってないんだろ?」
ウリス
「な、なんでそれを?あ、嫌だな~勇者さんは、さっきも言ったように私は冒険者ですよ。冒険者カード?は持ってるに決まってじゃないですか。」
焦りながらバレバレの噓を言うウリスに対して冷たい視線を送る。
レイ
「あのなー、普通パーティーメンバーに入ろうとする時は、まず自分の冒険者カードを見せるもんだ。お前みたいにいきなり頭を下げておねがいするもんじゃないんだよ。それこそ自分が何も知らない田舎者って言ってるのと一緒だぜ。」
ウリス
「え///、じゃーお店にいた人達全員、私が冒険者じゃないって気づいていたの?////」
レイ
「あー、田舎から出てきて何も知らないんだろうって顔してたぞ。だから俺も断ろうにも断りずらかったんだよ。」
ウリス
「////」 「すみません///」
レイ
「今さら恥ずかしがるなよ。こっちまで恥ずかしくなる。....ほら、速く入るぞ!」
ウリス
「はい///」
受付のお姉さん
「あら、いらっしゃい レイさん。また、クエストでお小遣い稼ぎですか?」
「?、お連れさんですか?珍しいですね。」
レイ
「まーな、一様パーティーメンバーだ。」「今日はこいつの冒険者カードを作りに来たんだ。」
ウリス
「よろしくお願いします。」
受付のお姉さん
「え、 レイさんにパーティーメンバー!?」
ウリス
「そんなに驚くことなんですか?勇者さんにパーティーメンバーができることって?」
レイ
「おい、その“勇者さん”ってのやめろ! 俺の名前はレイだ。」
ウリス
「あ、すみません じゃー“レイ”ってよびますね。」
レイ
「いきなり呼び捨てかよ」
受付のお姉さん
「まーまー落ち着いて。えーっとお名前は?」
ウリス
「ウリスって言います」
受付のお姉さん
「ウリスちゃん、実はね、レイさんのところには勇者発表から何度もパーティーメンバーになりたいって人が来てるの。でも全部断ってるから今さらどうしたんだろう?って思って。」
ウリスがレイの方を見る
ウリス
「そんなに私がかわいそうに見えたんですか」
レイ
「それもあるが他にも理由はある......ってか俺の話はいいんだよ。速くこいつの冒険者カードを作ってくれ。」
受付のお姉さん
「あ、すみません。すぐ用意しますね。」
「えっと、ウリスさんは“固有魔法”や“固有スキル”はありますか?」
ウリス
「固有スキル?ってなんですか?」
レイ
「はー、お前そんなことも知らなかったのか。田舎育ちだからって無知すぎないか?親に教えてもらわなかったのか。」
さすがの受付のお姉さんも苦笑していた。
ウリス
「仕方ないじゃん、パパが外は危ないって言って出してくれなかったんだもん。」
レイ
「お嬢様か!!!!!!!」
受付のお姉さん
「では、ざっくりと説明しますね。」
「まず、“固有魔法”は“5大元素魔法”と違い産れながらに持っている才能みたいなもので、“固有スキル”は受け継いでいくにつれ成長する努力みたいなものかな。あと、2つとも本人が“開示”しないと他人にはわからないの。」
ウリス
「?」
受付のお姉さん
「ごめんね、わかりにくかったね。もっとわかりやすく言うと、“固有魔法”は持ってる人が限られるもので、“固有スキル”は誰かにもらうか、成人の儀で獲得するもの。わかったかな?」
ウリス
「はい!たぶん。」
レイ
「たぶんかい!! ってかこの説明でわからなかったらバカだよ。」
受付のお姉さん
「この様子は“固有魔法”も“固有スキル”も持ってないわね。それじゃー、冒険者カードを作ってくるから、少しお時間いただけるかしら。」
レイ
「あー、大丈夫だ。それとD級かC級の手ごろなクエスト持ってきてくれ。」
ウリス
「もしかして、私たちの初クエスト!?」
レイ
「それもあるが、お前の実力をみるテストも兼ねてる。」
ウリス
「え?、もしそのテストが不合格だったら?」
レイ
「パーティー解散でお前は野宿決定だろうな!」
ウリス
「嫌だああああああああああああああああああああああああああ」
***豆知識***
ウリスはディワンセルに着くまでに一週間かかってるよ。その間、野宿!