夏蜜柑、お金で解決しようとする
頼もしい人達が周りにいて助かります。
とある居酒屋にて――
「小説家になろう覗いてみたよ〜。あんなに書いててすごいじゃん。止めるのもったいないよ」
「いや、止めた訳じゃないんです。今度は焦らず、しっかりと構想練って書き直したいんです」
「編集で直せないの? せっかく読者がいるんだし、あんなに書いたのにもったいないよ」
「書き方もキャラ設定も何もかもが気に食わないんで編集で直してたら埒が明かないんですよ……もはや一話目なんて原文が3分の1しかないですし」
「そうなの?」
「それに、消して書いての繰り返ししてるともともと何書いてたか分からなくなって。違うサイトにも掲載してるんで、そこ行って読み返したりコピペして貼り直したり、もーめんどくてめんどくて」
「パソコンで何個も画面開きながらやればいいじゃん」
「あ、私パソコン無いんで」
「え」
ネット関係に詳しく、パソコンも詳しい先輩が言葉を無くした。
「いや、正確にはあるんですけど、使いたくないっていうか使えないっていうか……」
そして前回記述したレアパソコンの話をして聞かせた。
「それ、ホワイトハッカーの人達に売れるから売りなよ! 紹介するから。希少なウイルス飼ってるかもよ」
――そうか。パソコンマニアの人達にはウイルスはペットみたいなもんなのか。飼うなんて単語、使われると思わなかったわ
「ウイルスを研究してる会社や機関があるんだよ。解析済で対応出来てるウイルスなら値は付かないかもだけど、新種ならすごい喜ばれるよ!」
「絶対、いやです」
――パソコンの中身や検索履歴の消し方も分からないのに、絶対に無理! もはや消したところで復元できちゃう集団じゃん
「まぁそんな訳で、22話まで書いたんですが大テコ入れしようと思うんです。挿絵も付けてみたかったし、なろう退会してアル○ァポ○スにでも行くかとも思ったんですけど」
「携帯で22話も書いてたのが驚きだわ……挿絵はどうするつもりだったの?」
「手で書いたのを写メ撮って載せようかと」
「それ、みんなザワつくよ!?」
そして先輩から説得される事一時間……ついにパソコンを買う事を決意する。ついでに安いペンタブを薦められたが、買うなら良いやつがいいとワコムを買う事も決意した。(試しになんだから三千円ぐらいので遊んでみたらいいと言われたが、私は形から入るタイプなのだ)
先輩から問診が始まり、求める機能は何かを聞かれた。そんなもの、一つしかない。
「ボタン押したらすぐ開くやつがいいです」
「うん。だいたいのパソコンは二十秒もかからないかな」
『そうなの?!』と驚いた私に驚く先輩。諦めたように良いやつを探しておくと約束してくれた。
後日、早々にワコムショップとパソコンショップを巡る事になった。『面倒くさがりの夏蜜柑は実物見て決めないと調べる事もしないでしょ』と先輩が連れ出してくれたのである。ワコムショップで店員さんと先輩の専門用語が飛び交う中、一人カタログを読む夏蜜柑。実物の大きさを見て、ワコムカウンティー?の16?みたいなやつに決めた。なかなかにいいお値段。
液タブを買えばすぐ使えると思っていた私。
「ソフトを買って入れていただかないと……」
赤っ恥である。
こんな奴が使えるのか? とか思われてなきゃいいな……と思いつつ、ショップを後にしたのであった。
次に案内された場所、そこはカスタムパソコンの専門店だった。
「夏蜜柑はゲームが好きだからオンラインゲームとかPCゲームが出来た方がいいかなと思って。正直、性能でみたら電気屋さんで同じ性能の買うとここの倍近くするのよ。ブランドに拘らなければゲーミングPCで良いと思うんだよね」
うむ。良く分からないのでここでも先輩に丸投げするとしよう。そして先輩が店員さんを呼び、ネットに掲載されているとあるパソコンの説明を求めた。
実物の前に案内され、買うのはこの子だと紹介され、きっと簡単なんだろうと思われる専門用語の応酬が始まった。何一つ分からなかったが、先輩に『あ、中身の説明はこの子にはいらないです』と言われたのはちょっぴり寂しかった。
何だかんだで買うパソコンも決まり、後日契約に来るためプラン等をまとめて出してくれることになった。
「こちらで設定等をカスタムしてお届けする事もできますが、どうしましょう? 別途五千円かかりますが」
「それやれば家に届いてすぐ使えます?」
「はい。接続を済ませたらそのまますぐ、ゲームでも何でも大丈夫です」
「じゃあお願いします。あ、ならモニターもさっきお勧めしてくれたやつでいいです。面倒くさいからキーボードもマウスもモニターとセットのやつでいいです」
「いやいや、それはネットや電気屋さんで自分の好きなやつ買いなよ。柄とかさ、使い心地とか」
「そうですね。うちはパソコン以外は少ないのでそれがいいと思います」
この人達は不思議な事を言うな、と私は思った。
「え、だってカスタムしてもらうのに、買わないと出来ないじゃないですか」
先輩と店員さんが二人同時に首を傾げた。
「いやいや、この四角い箱の機械だけ買っても見えなきゃ設定もなにもないじゃないですか」
「色々な設定はこのパソコンに行いますから、モニターはなくても大丈夫ですよ」
「いやだから……私は画面のアイコン設定もしてほしいんですよ。インターネットとか、ワードとか。モニターなくてどうやってその画面を作るんですか」
二人が『何言ってんだコイツ』といったような顔つきになる。こっちはこっちで何で伝わらないのだわ!
仕方なく携帯の画面を見せ、パソコンをつけたらこういう風によく使うアイコンが並んでて欲しいんだと伝えた。店員さんが何か閃いたような表情を見せる。
「もしかしてなんですけど……モニターがパソコンだと思ってます?」
隣で先輩が『えっ!?』と声を出して驚愕した。
だがしかし、バカにしないでもらいたい。モニターだけでいいなどと、そんな勘違いはしていない。(行く前まではモニターとキーパッドがあればいいと思っていたけど……箱みたいなやつを見て『そーいや学校でパソコン使った時、こんなのあったなぁ』と思い出したけど……ちなみに私が持っているのはノートパソコン)
「いやいや、この四角い箱の機械もないとダメな事ぐらい分かってますよ」
「その箱がパソコンだよ!!」
「えぇ?!」
先輩がとても恥ずかしそうにしている。当の本人は未だよく分かっていない。
「え、この箱とモニターがセットでパソコンですよね。ノートパソコンはモニターとキーパッドだけですけど、分かれてるやつはこの機械が別にいるんですよね??」
店員さんが苦笑いしながら教えてくれる。
「この箱に入った機械をパソコンと言って、この中に記憶されているデータを抽出して映し出すのがモニターです。ノートPCだとパソコン・モニター・キーボードがあの薄さで全部付いてるから、勘違いしちゃいますよね」
と、ここまで言われて初めて自分の勘違いを知ったのである。先輩は『そこからだったか……』と頭を抱えていたが、私のアナログさを舐めないで貰いたい。お陰でここでも赤っ恥である。
見積書を貰い、モニターやマウスは一度違う所で熟考する事となった。一度全て計算した上で予算と考えなさいと言い残し、先輩は疲れたように帰って行った。
ここで書いても面白くなさそうだったので省いたが、店内で他の客を巻き込み、ざわつかせたりもしちゃったので、恥を共有してくれた先輩には本当に感謝しかない。
後日、このお店にパソコン一式を注文しに行き、無事、全てを買うところまでは終了した。
パソコン、モニター、キーパッド、マウス、無線ラン、スピーカー……これにワコムとクリップスタジオを入れて……
うん、懐は寒くなったけど、私は満足です!!!! そういう事に、しておこう!!
――次回、『夏蜜柑、またもお金で解決しようとする』
お楽しみに!
携帯ゲームのアナデンにペルソナコラボ。久し振りにログインしてみる。
やめられない