3.雨の夜の神社と家出 (1)
二人の出逢い編!
気付けば私は、見知らぬ所に立っていた。
見覚えのない風景に首を傾げる。虫の声一つ聴こえないこの空間は、まるで時が止まっているかのように感じられた。
辺りを見回すと、背後には鳥居があった。どうやらここは、神社の境内らしい。
お化け屋敷など怖いものが苦手な私にとって、生き物の気配が感じられない、真っ暗なこの場所は恐怖の対象になりかねないのだが、何故だか平気だった。寧ろ、心が落ち着いていくのが感じられる。
所々苔生した拝殿は、月明かりに照らされて、不気味と言うよりも神々《こうごう》しさを感じさせた。
何者にも汚せないような静謐な空気が漂うこの空間は、命を感じさせない冷たさを持っているにも拘らず、優しい温かみを帯びているようにも思えた。
この神社の古びた拝殿を見上げていた私の頬を、何か温かいものが伝っていくのを感じた。こうやって涙を流したのは、いつ振りだろうか。確か小学校に入る前に、泣き声が煩いと怖い人に連れて行かれるって蹴られたから、泣かないようになったんだっけ。今ならわかるけど、怖い人って絶対警察か児童相談所の人だろうな。
もうとっくに忘れていた筈の泣き方を思い出した所為だろうか。私はひたすら涙を流し続けていた。
泣いて泣いて泣き疲れて、少し冷静になった私の耳は、ある音を捉えた。砂利が擦れる様なその音は紛れもなく足音で、人が来ると思っていなかった私は、驚きつつ振り向いた。
そこにいたのは、同じ学校の生徒だった。彼は私が泣いていたことに驚いたのか、目を瞠ると、私に駆け寄ってきた。
「な、なんで・・・・・みえて・・・・・・・」
私の顔の前で手を振りながら、彼は何かを呟いたが、雨で良く聞こえなかった。
「なんですか??」
「いや、何でもない。ねぇ、何かあったの?」
そう言って彼は自分の目の下を指さした。私の顔、酷いことになっていたりするのかな。ちょっと恥ずかしいなぁ。
「あ―――。まぁ、家でちょっと色々ありまして・・・・。それで、家出したっていうか・・・・。」
逃げて来たっていうか。
「うーん。大変だったんだね。それで、どうしてこんな所にいるの?」
あー、うん。それは私が知りたい。
「あの、兎に角全力で走っていたんですが、気付いた時にはここに居たって言いますか、何と言うか・・・・。」
「つまり、迷ったの?」
「あ、そうです。私にも、どうしてここに居るのか分かっていなくて。ここ、どこなんですか?」
「いい質問だね。残念ながら、オレにも良く分かってない。ただね、あれ見てよ。」
そう言って彼は沢山の木が生えている右を指さした。
「あれ、何だと思う?」
『唐突にインタビュー!!!』
と、言う訳で!シリーズ第一回目の今回は、三崎 梓さんをお呼びしておりまーす!よろしくお願いします!
「あ、よろしくお願いします・・・。インタビューって、何ですか?」
では早速、本題に入りたいと思います!
今回のテーマはズバリ、「相手の第一印象」です!
梓さんの、健太郎くんに対する第一印象を教えて下さい!
「第一印象、ですか。・・・・・そうですねぇ。優しい人、でしょうか。」
理由をお伺いしても?
「健太郎と逢った日、私人生初の家出をしたんです。その日は丁度大雨で、私はその雨の中泣いていたんですが、そこに健太郎が現れて。」
ほうほう。それで?
「それで、夜だったし雨も凄かったので、私が泣いているのなんて分かる筈ないんです。なのに、健太郎はそれに気付いて、大丈夫?って声を掛けてくれたんです。」
え?すごい!
「ですよね。それに、どこにも居場所が無かった私に、健太郎は居場所をくれた。健太郎は、本当に優しい人です!」
成程。良く分かりました!健太郎くんは優しい人なんですねぇ。
今日は、ありがとうございました!
「はっ、はい。ありがとうございました!」
では、次回は健太郎くんをお呼びしたいと思いまーす!テーマは勿論「相手の第一印象」です!
それでは、また次回、お会いしましょう!
『唐突にインタビュー』でしたー。