2.君がくれた鮮やかな世界。
はい!と言うことで健太郎登場!!!!
オレは所謂幽霊ってやつなんだと思う。
もうずっと昔のこと、オレは病気で死んだ。
病名なんて覚えてないけど、病気がちだったオレは人生の大半を病院のベッドの上で過ごした。
毎日真っ白な病室の中で目を覚まし、食事をとり、悲痛な顔をして見舞いに来る両親に笑顔を振り撒いて、人気のなくなった病室の中で眠る。
することもない、楽しみもない、そんな人生だった。
だからこそ、学校は楽しかった。
元気な友人たちと教室で馬鹿騒ぎするのも、下らないことで喧嘩するのも、公園でサッカーするのも、全部全部、楽しくて堪らなかった。
学校だけがオレの支えだった。
その為に不味い薬だって我慢して飲んだし、点滴だってした。手術だって受けた。
受験だって頑張って、高校に通うことができた。
みんなと一緒に卒業したかった。
なのに、二年の夏。
オレは病気に負けた。
まだ文化祭の準備中で、文化祭絶対成功させようって張り切っていたのに。
最後の一週間、オレが居たのはまた病室だった。
悔しかった。
授業だってもっと受けたかったし、文化祭だってやりたかった。
それに、ちゃんと卒業したかった。
そう思いながら死んだオレは、未練が強過ぎたのだろうか。
気付いた時には学校のグラウンドに立っていて、オレは幽霊になっていた。
幽霊になって分かったことだが、オレの行動範囲は限られていた。
オレが行き来できるのは学校の敷地内と、隣接する神社らしきものの境内だけだった。
謎なのはこの神社だ。学校の真横にあったのにも拘らず、オレはこんな場所知らなかった。多分地図にも載っていない筈だ。
この、得体のしれない神社には、誰も来ない。寂びれた神社は、オレの家のような存在になった。全く知らないのに懐かしさを覚えるこの場所は、確かにオレの心を癒していたのだろう。
何年も何年も変わらない風景。
同じ学校。同じ校舎。同じ制服。同じ予鈴の音。
なのに、人だけは変わり続ける。
かつての友人たちはもう、この世に居ないのだろう。
オレより遥かに小さかった筈の子供たちも、今では立派な大人になった。
みんなオレを置いて行く。親しかった者たちも皆、逝ってしまった。
オレはただ、みんなと一緒に卒業したかっただけ。
こんな事、望んじゃいなかった。
病気から解放されても尚、病室の中で感じていた孤独がオレに付き纏う。
―――――嗚呼誰か、オレを見つけて。
そんなオレの願いは、ある日突然叶えられた。
君はこの神社に迷い込んだ、ただ一人の人。オレの姿が見えるのも、声が聴こえているのも、君だけなんだよ。
色褪せていたオレの世界に色を与えたのは、君なんだ。
オレはあの大雨の日、拝殿の前で静かに涙を流す君に、一目惚れした。
やっと物語が動き出しそう・・・。
ここまで長かったなー。
作者 「ねぇ、この神社って何なの?」
神 「お?気になる??」
作者 「うん。まぁ。・・・・で?」
神 「特別に教えてあげようじゃあないか。この神社は、私から健太郎へのプレゼントさ!」
作者 「と言いますと?」
神 「何モノにも認識されない空間なんだ!人間は勿論だけど、動物とか虫もその対象なんだよ!流石に学校に住むのは嫌だろうなって思ったから、健太郎の為に創った家だよ。」
作者 「へぇー。じゃあ何であの子は入ってこれたの?」
神 「彼らの寂しいという想い、かな。あとは、私のミs・・・・・・あっ、いっけなーい!仕事仕事!!」
作者 「・・・・・逃げやがった。」