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フリップ第一夫人

リフリードのお母さん視点です。スルーしてもらっても大丈夫です。

 学園に入学してから、何通も手紙を書いているのにリフリードからの返事が無い。


 マリアンヌ嬢との関係はどうなったのかしら?マリアンヌ嬢も魔法学園に入学しているのですから、この機会を利用してなんとしても、仲直りをして婚約者に戻って貰わなければならないのに。


 叔母様にリフリードとマリアンヌ嬢の婚約を再度取り持って欲しいと、父と一緒に頼んだが色良い返事はいただけなかった。叔母様は、宰相閣下の義母になるから、多少の無理は利くはずですのに、にべもなく断られてしまった。


 昔、私をリマンド侯爵の第二夫人にと頼んで欲しいとお願いしたときも、『私にそんな力はありませんわ。』の一言で片付けてしまわれた。なんのために、故リマンド侯爵の後妻として、お爺様とお父様が叔母様を送り込んだのかわかってらっしゃらない。ほんと、ご自分の役割を全うなさらない役立たずな方。


 何が、『私にそんな力はありませんわ。』よ、宰相閣下は実母のように丁寧に扱ってらっしゃるじゃない。だから、あの高飛車な皇女様でさえ、おりをみては、お茶に、芝居にとお誘いになっているとか。叔母様が少し強く言えば、私がリマンド侯爵の第二夫人になることだって可能だったはずですわ。


 リフリードに、マリアンヌ嬢との婚約者を再度お願いするように言ったら、夫であるフリップ伯爵には激怒され、王都の別邸で一人過ごす羽目になりますし…。


 一番腹立たしいのは、フリードリッヒがマリアンヌ嬢の婚約者ポジションに立っていること。第二夫人の子供のくせになんと生意気なことか…。


 あの子の髪は貴族には珍しい庶民の色、対するフリードリッヒは、夫であるフリップ伯爵にそっくりの美貌と色を受け継いでいる上、母であるポリーナが入り凛々しく育った。


 第二夫人であるポリーナはフリップ伯爵とは幼少期より婚約者だったと聞いている。だが、リマンド侯爵の第二夫人は無理だが、見目麗しいフリップ伯爵との婚姻ならと叔母様が取り計らってくれたらしい。そんなこと望んでませんでしたのに。


 お祖父様とお父様がフリップ伯爵第一夫人ならばと大喜びして、フリップ家に嫁ぐことが決まってしまった。私が結婚したかったのは皆が羨む美貌の貴公子フリップ伯爵ではなく、リマンド侯爵でしたのに…。誰も私の気持ちをわかってくれません。


 どこにでもいそうなリマンド侯爵じゃなくなって良かったわね、見目麗しいフリップ伯爵と婚姻できるなんて、羨ましいわと言われる始末。


 誰にも私がリマンド侯爵に恋しているなんて信じても貰えない。


 我が子で一番、リマンド侯爵に似ているリフリードに愛情を注ぎ、せめて、我が子がリマンド侯爵の義息子になれるように夫にも頼み込んだ。夫もリフリードの髪の色を気にして了承してくれた。

 

 はあ、なんて可哀想な子なんでしょ、リフリード。せめて、赤毛で産んであげられれば良かったんですけれど…。髪の色のせいで私が浮気した子と囁かれるなんて。


 生意気なマリアンヌ嬢、彼女がちゃんとリフリードを支えていたらこんな事態にはならなかったのに!なんて忌々しい。


「ねぇ、お父様からの手紙の返事は頂いて来た?」


 もう、頼れるのはお父様のみですわ。


「はい、こちらに。読んだらすぐに燃やすようにとのことです。」


 コーディネルは、ルイから手紙を受け取ると封を切って中身を取り出した。


 魔法学園へマリアンヌ嬢は入学してない。フリードリッヒと正式に婚約したと書いてあった。だが、テイラー伯爵が異議を唱えているからどうにかなる可能性がある、ならなくてもどうにかすると。リフリードにマリアンヌ嬢の心を得るようによくよく言い聞かせろと書いてある。また、リフリードには失望したとも書いてあった。我が妹は、我が家の再興の為に死にかけに何も言わず嫁いだのに、見目麗しいマリアンヌを娶るのに不服を唱えるとは教育がなっていないと叱咤され締め括ってある。


 コーディネルは深い溜息を一つ吐くと、手紙を暖炉の火の中に焚べた。


 父の手腕は疑っていない、竜によって領地を破壊され潰れかけた伯爵家を再興したのだから。ただ、リフリードの説得、更にはマリアンヌ嬢を口説き落とさせること、このことがコーディネルに重くのし掛かった。


 コーディネルはルイを呼び寄せると、その膝にそっと頭を乗せて目を瞑った。


 クリスマスにリフリードが帰ってきたら、しっかりと話をしなければならないわね。

 

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