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乙女ゲー 序章 ②

 明日は、魔法学園の入学式。今日は魔法学園での必要な物を買いに街へ来ている。城の侍女さんと護衛付き。


 ゲームでは、義兄にあたるハンソンさんって協力者と買い物をする設定だったんだよね。確か、ハンソンさん、魔法学園の卒業生で優秀だったから道具や本を買うときに手伝ってくれて、自分が使ってたノートを持たせてくれるんだったっけ?


 まあ、養女にならなかったから、もちろん義兄はいないわけで…。と言う事は、自分で揃えないといけないのよね。お財布と言う名前の侍女さんはいるけど、なんのアドバイスもしてくれないし。護衛の人は、買った物を馬車に乗せてくれるだけ…。そんなことより、一緒に探してほしいんだけど…。店は、侍女さんが調べてきてくれたからそれだけでも助かるけどさ。


 ゲームのジュリェッタは義兄とすっごく楽しそうに買い物してた。現実は全く楽しくないんだけど、侍女さんは早くして下さいとしか言わないし。そりゃあ、私が最初、侍女さんにとった行動は良くなかったけど、冷たすぎない?


 本屋に差し掛かった時、マリアンヌとフリードリッヒを見つけた。


 やった、魔法学園で使う物を買いに来たんだ。一緒に買い物すれば探し回らなくても済む!


「フリードリッヒ様、マリアンヌ様!」


 ジュリェッタは急いで二人の元へ向かう。


「マリアンヌ様も魔法学園で必要な、本とノートを買いに来られたんですか?」


 さりげなく聞こう。


「いえ、私は今回魔法学園へ入学いたしませんの。」


 えっ、入学しないって、なぜ?悪役令嬢不在ってあり?


「え、うそ。入学しない?じゃぁ、断罪イベントは?」


 そのほかのイベントも起こらない可能性がでてきたどうしょう。


「ジュリェッタ嬢、お父様を助けて下さいましてありがとうございました。」


 えっ、マリアンヌのお父さん、怪我して死にそうになってないの?あっ、そういえば、フリードリッヒの気をひこうとマリアンヌのお父さんが死ぬ話したんだっけ?それで回避した?


「オレからも礼を言う、ありがとう。」


 うわー、悪役令嬢とフリードリッヒ、全く頭を下げそうにない二人に頭下げてお礼を言われてしまったよ。


「そっ、そう。良かったわね。私も、お父さんが死んだら嫌だもん。」


 ん?てことは、マリアンヌが自分の父親を助けようとして罪を犯すことはない?


 えっと、なら、リフリードと結ばれても侯爵夫人にはなれない?


「ジュリェッタ様、待ってください。」


 ジュリェッタより遅れて城の侍女と近衛騎士がやって来た。


「ジュリェッタ様、急に走り出さないで下さい。淑女は道を走ったり致しません。」


「ごめんなさい。」


 侍女と話している間に二人は去って行った。はあ、2人を引き留める気にもならなかった。


 どうしよう、話がだいぶ変わってしまってる。


 その日は、呆然としながら買い物を済ませて、多分、夕食も食べずに寝たとおもう。あまりにもショックで記憶がない。


 今日は入学式、確か、マリアンヌのスピーチがあるんだっけ、努力しない人はだめだみたいなジョゼフ殿下やリフリードへの当て付けのようなスピーチで一部の人に反感をかうんだよね。でも、そのマリアンヌは入学しない。じゃぁ、スピーチをするのは?


 学園長の話が終わり、壇上に上がったのはジョゼフ殿下だった。ジョゼフ殿下のスピーチは、なんかやる気を削ぐ内容のもの。魔法は生まれつきだから、努力してもそんなに変わらない、だから楽しくやろうみたいな内容。彼方此方で、ヒソヒソ聞こえる。


 わぁ、ジョゼフ殿下やらかしたよ。まあ、ジョゼフ殿下はそんな感じの学園スタートだったけど、ぼやかしてもその雰囲気だだ漏れだし。


 クラス表を見にホールの後ろに行く。本来ならEクラスにあるはずの名前がジョゼフ殿下やリフリード様と同じAクラスにあった。


 あれ?ジョゼフ殿下がAクラスはストーリー通り。でも、私とリフリード様がAクラス?あっ、そっか、ミハイロビッチの所で学習したから。


 Aクラスに入った。教室の中はたったの十人、それも、皆自分の従者を連れている。あっ、そうだった。Aクラスは特別に従者の同伴が認められていた。ジョゼフ殿下の従者はフリードリッヒ。これで悪役令嬢に邪魔されずに攻略できる。


 居心地の悪さを感じながら自分の席へ着く。女子はジュリェッタを除いて三人いたが皆、悪役令嬢の取り巻き。その悪役令嬢はいないけど…。ジュリェッタをよく思っていないだろう三人。皆伯爵家の令嬢。確か、同じ伯爵家令嬢でも、養女のジュリェッタを馬鹿にしてたんだっけ、今回は、伯爵家どころか、名誉男爵だよ。はあ、虐められるのかな?でも、これならイベント発生するよね。


 ジョゼフ殿下が教室へ入って来た。


 えっ、従者がフリードリッヒじゃない。


 ジョゼフ殿下の後ろに付き添っているのは、ミハイル。竜討伐で死ぬはずだった人物。


 従者の変更は卒業まで認められていない。


 うそ。フリードリッヒルート完璧に消滅?どうしよう。誰にしよう攻略相手。今日帰ってから考えなきゃ。隣国の王子様ちゃんと入学したかな?それも確認しなきゃ。あー、さっきの掲示板でちゃんと名前あるか確認しとけば良かった。


 担任が入ってくる。厳しそうな先生、これはゲームと同じ。説明も同じ。


 授業と鍛錬でレベル上げをする。


 月一度のテストで、クラス替えを行う。


 実技、ペーパー両方を加味して順位がきまる。


 上位十名がこのクラスに在籍。


 従者が同席していいのはこのクラスのみ。


 従者の変更は卒業まで認められない。


 不正、校則違反は、退学、修道院送り。その罪によって決まる。


 鍛錬は基本的にふたり組で行うこと。事故防止の為、一人での鍛錬は認められない。


 鍛錬は所定の場所で行うこと。


「このクラスは女子が四名ですね。一人あまることはないでしょう。貴族の婦女子が婚約者でもない男性とペアを組むのは慎むように。今日はこれまでです。」


 そう言って、担任は教室から出て行った。


 まずい、忘れてた。鍛錬するのは他のプレイヤーとだから、女子限定で同じクラスの人。ゲームでは、その時にログインしていた同じクラスの人とランダムに鍛錬するシステムになっていた。❤︎がなくなったら鍛錬お終い。時間がたつと回復するシステム。ジョゼフ殿下やリフリード様との鍛錬はミハイロビッチの所でのみだったよ。

 

 ジュリェッタが最終的にこのクラスに入れるのは、ゲームの終盤。最後のテストの後。このクラスで、練習相手を探すのは困難だな。


 貴族には、面倒な作法があって一番爵位の低い私から話しかけてはいけない。一度自己紹介をさせて頂いたら大丈夫ってやつ。だから、私からあの三人に話しかけられない。あの三人から話しかけられないと私から鍛錬に誘えない。ここで、リフリードに話しかけると、間違いなく私はぼっち確定。


 三人の令嬢は昔からの知り合いらしく、ジュリェッタのことなど全く気にする様子もなく雑談に花を咲かせている。


 できれば、ジョゼフ殿下が私も一緒に仲間にいれてくれと言ってくれるのが、ベストなんだけど…。


 ジョゼフ殿下はミハイルを従えてさっさと帰ってしまった。リフリード様は話しかけたそうにしているけど、従者が一生懸命止めてるから、今日は話せないかな…。


 もう帰ろ、って言っても寮なんだよね。荷物が城から届いてるはずだからさっさと片付けよ。


 寮に着くと、山積みの荷物が部屋に置いてある。ゲームではここで従者がでてきて、全て片付けておきました。って言って、部屋の使い方とか、ゲームの進め方とか、イベントのときの必要なアイテムとかナビしてくれるんだよね。


 ナビなしか、結構しんどいかも…

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