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デート ②

評価、ブックマーク、誤字報告ありがとうございます(^ ^)


デート編これで終わりです。

兄様の手には、サンドイッチに串焼きの肉、私の手にはカムカムドリンク、噴水の側のベンチでランチです。皆さんも同じように過ごされてますね。そう言えば、どこをみても若い男女のペアですわね。


「マリー、これ美味しいよ。」


 なぜか、膝の上に横向きに座らされ、手ずからサンドイッチを口に運ばれています。


「こっちの、串も。」


 私が市場の食べ物を自分で食べられないと思ってらっしゃるのでしょうか?


 まわりも同じような感じの方がいらっしゃるので、今の市井の流行りなのでしょうか?


「あの、兄様、重くありませんか?私、もう小さな子供ではありませんわ。お膝の上に乗せて頂かなくても大丈夫ですわ。それに、食事くらい自分でできますわよ?」


 なんだか、ノア殿下の様な小さな子供になった気分です。


「あはは、子供扱いしているわけではないよ。ほら、あそこを見てご覧、同じだろ?市井の恋人はこれが普通なんだよ」


 市井の恋人同士、私にはハードルが高いです。


 え、今、恋人っていいませんでした?


 恋人…


 顔が熱くなってきました。


「兄様、い、い、今恋人って!言いませんでした!?」


 聞き間違いかもしれません。


「うん、言ったよ。仮とは言え婚約者だ、俺はそれが正式なものになれば良いと思っている。この前、伝えた通り、マリーのことを愛している。君が産まれた時からずっと。」


 膝の上にいるのにそんなことを言われたら、私どうしたら良いんでしょう。


 それも、花も恥じらうような笑顔で…


 顔近いし…美形の告白、それも膝の上…


誰か助けて下さい!


「ふふふ。顔が真っ赤だよ、可愛いね。そんな反応されるとオレのことが好きなんじゃないかって期待してしまうな。男として」


 耳元で、喋らないで下さい。それも、色っぽい声で!


 ここ、外ですから、外!まあ、家ならいいかと言うとそうではありませんが…。


 そう言えば、兄様にまだ返事していません。


 この前、ユリと話してわかったことを伝えなくては!


「あ、あの、に、兄様。じ、実は未だ自分の気持ちがよく分からないのです…。兄様のことは好きです。でもそれが、兄としてなのか、それとも、男性としてなのか…。」


「真剣に考えてくれたんだね、ありがとう。返事は急がないよ。ゆっくり考えてくれたらいい。まあ、16年も待ったんだ、もう少し待てるよ。」


 顔を覗き込まないで下さい。近い、近いですわ、兄様!


「に、に、兄様!今、待つって!」


「うん。待つとは言ったけど、誰も口説かないとは言ってないよ。」


「え」


 サラリとそんな重大なこと言わないで下さい。


「あはははは、そんなに驚かないで。何事もベストを尽くさなきゃね。覚悟してねマリー」


 ヒェッーーーー!


 覚悟って!私、男性への免疫全く無いんですのよ!


 しれっと、色気たっぷりでそんなことをおっしゃらないでーーー!


 内心ワタワタしている私をよそに、その原因である兄様は真っ赤になって固まっている私の頭を撫でながらご機嫌に可愛いねマリーは、なんて仰ってます。


「ずっとこうしていたいけど、そろそろ行こうか、マリー。」


 片付けて、その場を去ろうとしたとき、後ろから声がかかる。


「アレ、フリードリッヒじゃないか」


「白銀の髪、やっぱり、フリードリッヒだ。」


 フリードリッヒは一瞬、嫌そうに顔を歪め、スッと何事も無かったように無表情になった。


 あっ、笑顔が消えた。ティラー男爵令嬢に会ったときの顔だわ。


「おい、フリードリッヒ。」


 フリードリッヒは後ろの2人からマリアンヌを隠すように背後にやり2人に向き直る。


「なんだい?」


「ああ、さっきマルシェで見かけたって、コイツがいうから」


 もう片方が得意げな顔で声をかけてきた人物を見た。2人とも近衛騎士の制服を着ている。2人とも近衛兵団に所属しているだけあって美形だ。


「ほら、やっぱり、フリードリッヒだっただろ?銀髪なんて珍しいからな。」


「で、何のようだ?用がなければもう行くが。お前ら仕事中だろ。」


 相変わらずクールだな、お前に表情筋あるのかよなんていいながら、ほっといてくれというフリードリッヒの態度など気にする様子もなく2人の近衛騎士達は言葉を続ける。


「まあまあ、いいじゃないか堅い事言うなよ。いや、中々休暇を取らないお前が、2ヶ月の長期休暇だろ?その上に、宰相のお嬢様と婚約したって噂も聞くじゃないか?その真相を知りたくてな。」


「この前なんて、誕生日の夜会でエスコートしたって聞いたぜ」


「ああ、本当だ。」


「うわー、事実かよ。なぁ、宰相のお嬢様ってどんな方なんだ?中々社交界に出てこない深窓の令嬢。」


「確か、デビュタントのみだよな、舞踏会に出席されたのは。で、どっちの噂が正しいんだよ」


 テンションの低いフリードリッヒと違い、2人はハイテンションだ。


「どっちって、何だ?」


 お前知らないのか?有名な話だぜとでもいいたそうな2人だ。


「すっごい美少女で、宰相が囲い込んで社交界に出さない。もう一つは、残念な見た目のため、社交界に出てこられない。まあ、多少見目が悪くても筆頭侯爵になれるなら大歓迎だけどな」


 なる程、私、皆様にそのように思われていたんですね、でも、残念な見た目って…。


「何せ、公の場に顔を出さないから皆、興味津々なわけ、うん?後ろにいる娘は?」


「いいのかよ、相手は宰相のお嬢様だぜ、別の女と居て。お嬢さん、こいつ婚約者がいるんだぜ?」


 2人の目がマリアンヌに向くと、フリードリッヒはマリアンヌの腰に手を回し引き寄せ、さも嫌そうにふたりに答えた。


「こちらが、そのお前達が話してた宰相令嬢のマリアンヌだよ」


 お前たちに見せたくなかったのにとぶつぶつ言っている。


「わぁ、本物かよ」


「リマンド侯爵家の娘、マリアンヌでございます」


 マリアンヌは形式通りに2人にカーテシーをする。 


「さ、もういいだろ。行こう、マリー」


 フリードリッヒは強引に話を切り上げるとマリアンヌの手を引いて歩きだした。


「美少女の方が当たりかよ」


 後ろの近衛騎士の呟きはマリアンヌの耳には届かなかった。


「ごめんね、マリー。嫌な思いをさせてしまって。2人が言ってたことなんて気にしないでいいから。全く、好き勝手言って」


「大丈夫です。お気になさらないで下さい。」


「あっ、それとも2人と話したかった?なら、ごめん。可愛いマリーを他の男に見せたくなかったから強引に連れ出して」


「はぁー」


 フリードリッヒは盛大に溜息を吐き肩を落とした。


「どうなさいましたの?兄様」


「いや、情けないなぁと思って。マリーの事になると全く余裕がない。さっきも、マリーがあの2人に興味を持ったらどうしようって、そんなことばかり考えてしまって、カッコ悪いな。」


 ははははっと、力無く笑ってらっしゃいます。


 そんなこと考えてらっしゃったんですね、不安なのは私だけではなかったんですね。気持ちを貰っていない兄様の方が不安ですわよね。早目に答えを探しますね兄様。


 でも、そんなこと一切感じさせない兄様。


「そんなことありません。兄様はいつも素敵です」


 ありがとうマリーって、頭をなでて下さいました。

デート編、フリードリッヒ視点、需要ありますか?


感想聞かせて頂けると嬉しいです。

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