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美人侍女の憂鬱 ③

 2週間の謹慎が解け、いつも通りの業務に戻る。


 本日は、リマンド侯爵夫人とその娘であるマリアンヌ様がいらっしゃるのよね。薔薇の間に通せば良いと。その後、陛下にいらっしゃったことを伝えに行って、後は教会の祭司様がいらっしゃるから、侍女長様のお部屋へご案内するのよね。


 そういえば、最近、マリアンヌ様の婚約者が代わったという噂をあっちこっちで聞く。本当かしら?噂では、新しいお相手はフリードリッヒ様。


 馬車が停まる正面玄関で近衛騎士と待つ。


 そうだ、近衛騎士ならフリードリッヒ様の同僚よね、他の部隊の方々より人数が少ないから知ってるかも。


「ねぇ、今日いらっしゃるリマンド侯爵令嬢のマリアンヌお嬢様、フリードリッヒ様と婚約なさるって本当?」


「さぁ、どうだろう?フリードリッヒ、弟が婚約破棄された大変だって言って長期休暇を取って領地に帰ったしなぁ」


「マリアンヌお嬢様の婚約者って、フリードリッヒ様の弟のリフリード様よね」


「そうそう。なんか、リフリード様がやらかしたみたいで、婚約破棄されたみたいな?」


「やらかしたみたいな?って。それより、フリードリッヒ様との婚約は本当なの?」


「さぁ、ただ弟の不始末の為に呼ばれただけだったりして」

 

 そう言われるとそうよね。フリードリッヒ様、確か側室の子供だったのよね、まさか、宰相のお嬢様と結婚なんかしないわよね。


 安心した。


 侯爵家の馬車が着く。近衛騎士が近づいて来てドアを開ける横でアナスタシアはいつも通り側で控える。


 近衛騎士のエスコートで侯爵夫人が馬車から降りてくる。ボルドーのマーメイドラインのドレスを纏い、綺麗な金の髪を結い上げている。透明度の高い大粒のベニトアイトの宝石を使ったイヤリングに、同じくベニトアイトとダイヤをあしらったネックレス。指にも同じベニトアイトが輝いている。ボルドーにプラチナをあしらった濃い青が映える。


 そう言えば、宰相の瞳も濃い青だったわね。しかし、凄く豪華だ。


 さすが、元王族。凄いオーラだわ、お美しいし気品がある。私の母くらいの年齢らしいけど、お若い。年齢が不詳だわ。


 続いて、マリアンヌお嬢様が降りてきた。モスグリーンの控え目なドレスを身に纏ってらっしゃる。同じ金の髪に年齢より大人びた人間離れした美しい顔。髪は編み込まれ横に流している。その首に目が行った。


 黒のヌメ革でピンクの薔薇のモチーフが付いたチョーカー。フール商会のものとわかる金のマーク。


 どうして?フリードリッヒ様が購入されたチョーカーがマリアンヌお嬢様の首に?


 お二人は婚約された訳ではないんでしょ?


「リマンド侯爵夫人、マリアンヌお嬢様、上皇陛下が薔薇の間でお待ちです、ご案内致します。」


 イライラしながら、でも表情に出さないように気をつけながら案内する。マリアンヌお嬢様の首元のチョーカーに目が行く。


 まさか、フリードリッヒ様の想い人が、マリアンヌお嬢様?嘘でしょ?


 本当に私に興味がなかったの?


 でも、マリアンヌお嬢様は美しいけど可愛げが無いって、よくジョゼフ殿下が仰ってたわ。


 上皇陛下がよくマリアンヌとの結婚を薦めるけど。俺はマリアンヌよりお前と結婚したいって!


 マリアンヌお嬢様、性格が悪いのかしら?


 薔薇の間に到着する。いつも通りドアをノックし、返事があったので、ドアを開けて部屋へお二人を御通しする。


 席に着かれる為の椅子を引き、お茶の手伝いをする。


 ドアの前で頭を下げ出ようとしたら、上皇陛下の言葉が耳に入った。


「マリー、フリードリッヒと新たに婚約することになったと聞いたよ。おめでとう」


 慌てて、部屋を出る。


 本当にマリアンヌお嬢様と、フリードリッヒ様は婚約するの?


 私がフリードリッヒ様と結ばれることはないの?

 私は、セルゲイと結婚するしかないの?

 誰か、嘘だと言って!

 


アナスタシア視点、終わりです。

アナスタシア、痛い子です。

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