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日常系ファンタジー  作者: 青井渦巻
錯綜の章
98/171

兄貴 VS リザ

「なーなー、アーサー。兄貴とリザってどっちが頭いいのかな?」




 武器屋で武器を選定している途中、ジッド少年は唐突にそう言った。


 それにアーサーは応える。




「ごめん、今忙しい」


「おいっ」


「うひゃあ、このレイピア!こんな所に羽根が付いてるじゃん!?どういう構造?凄すぎる……」


「お前はレイピア使わないだろーっ!」




 アーサー少年は武器オタクなので、武器屋ではまったく話が通じない。


 呆れたジッドは、仕方がないので一人で考えてみる。




 ――まず、リザの使える魔法は以下の通りである。




 ・炎魔法


 ・風魔法


 ・水魔法




 魔導師は一般的に、一極型が多い。そのため、色々な属性が使える彼女は優秀だ。


 ちなみに、併用という高度な技術もある程度は習得している。


 魔法式を一気に暗算し、同時に展開した時の負荷を割り出すので、並の計算力ではない。彼女は間違いなく賢いといえるだろう。




 対するはクールなリーダー・ライであるが、彼も特殊技能を持っている。


 ある対象の30分前の状態を知っていれば、現在それがどの地点に存在しているかを割り出せるのだ。


 対象の傾向を“パターン化”しているため、対象が知り合いであればあるほど精度は高いらしい。どうやって計算しているのか分からないが。




「ようし、リザと兄貴を頭の中で戦わせるぞぉ」




 ジッドは意気込んで、思考実験に興じ始めた。




(まずは先攻と後攻だな。これはじゃんけんとかで決めるだろうから、どっちでもいいや。じゃあリザがパーで、兄貴がグーだ。で、リザの勝ちにして……最初の攻撃は、リザの得意な水魔法だ!水の弾丸が兄貴に襲い掛かるぞっ!)




 彼は黙って考えているつもりだが、その興奮は身体の動きに出ている。




「シュバババッ」




 効果音が声にも出ている。無意識。




(兄貴は頭いいから、きっとなんとかして避けるだろうな――いや、違うなぁ。兄貴だったら跳ね返すかもしれない……頭いいから。それじゃあ、もし跳ね返されたらリザは避けるかな。いーや、風魔法で吹き飛ばすかもしれない。風魔法、いけっ!ドーン!そしたらそれが兄貴に襲い掛かるぞっ!)




 段々と身体の動きは大袈裟になっていく。




「ブオオオオオッ!うわぁーっ!」




 そのついでに、兄貴のアフレコが追加された。




(でも、そこはやっぱり兄貴だ!最初からリザの攻撃を読んでて、完全に避けた後に、いつの間にかリザの後ろに!そしたらリザピンチ!でも、いっつも冷静なリザだから、その兄貴の不意打ちも喰らわないんだ……!頭いいからっ!で、なんかトルネードみたいな魔法を使ったら、今度はさすがの兄貴も読めなくて舞い上げられる……!!うわぁーっ、これじゃ兄貴が負けちゃうじゃんっ!?)




 じっどのかんがえたさいきょうのしょうぶは続いていく。


 実際、こうなるかは分からないが。




「そして、リザがトドメを刺そうと炎魔法を撃った時ッ!!兄貴が言う、『まだまだ甘いな……』リザ『なんですって……?』兄貴『僕はまだ、力の三分の一すら解放してないよ』リザ『奇遇だわね……私も実はそうなのよ』――凄いぞッ、どんどん面白くなっていく!なんだこのバトルッ!?」




 少年が勝手に盛り上がっていくのを、武器屋の主人は煩わし気に眺めていた。




「アイツ、帰ってくんねぇかな」

熱戦。

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