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日常系ファンタジー  作者: 青井渦巻
運命の章
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君を守る

完・結!! です。

 ファンタジー世界であろうと、女性は買い物が好きだ。


 それも、自らの意中の男性とショッピングに興じることが出来るなら、幸福の絶頂と呼んで差し支えない。




「この杖とか、リザに似合わないか? ほらっ」


「……ん、そうかしら」




 魔導士の少女・リザは、所属パーティ『ネームフラワー』の男戦士・アーサーの武器の選定に付き合っていた。


 少女に似合う杖を選定するアーサーに、彼女は微笑んで返す。




「でもね、アーサー。杖は装飾品じゃないのよ?」




 彼女は穏やかな口調で、しかし諭すように言う。


 杖と魔導師には適性が存在し、人によって扱いやすい杖と扱いにくい杖がある。


 大まかに言えば材質や重さなどが重要であり、究極的には自分だけの最高の杖があるものだ。


 武器屋のものは汎用的ではあるものの、オーダーメイドには勝てない。そしてリザの持つ杖はオーダーメイドである。




「そっか……」




 と、少年は少し残念そうにする。


 その残念そうな瞳で、リザの杖へ視線を投げかける。


 先端にクマさんのマークが付いているから。




 彼の視線が向かう場所に気付くと、彼女は言い訳した。




「……こ、これは後から付けたの」




 照れる少女は、目線を逸らしながらモニョモニョ喋る。




「あはは、リザはクマが好きだもんな」




 そんな彼女を可愛く思いながら、アーサーは爽やかに笑うのだった。




 ――アーサーは大の武器・防具オタクであった。


 彼を並ぶ剣の幕から引き離すことは、どんな者であっても不可能であった。


 けれど、それは昔の話……今は剣の幕ではなく、杖の幕に執心している。




「ウサギも好きよ」




 リザが独り言のように呟くと、アーサーは彼女を見つめた。




「……」




 物欲しそうな顔で、じっと見つめた。


 言葉にしないのは、自分から言うのが格好つかないためである。




 彼に見つめられると、リザはちょっと戸惑う。


 とりあえず単純に見つめ返していたが、やがて彼がなにか期待していることに気付いた。




「あ……えっとー」


「……!」


「アーサーも好き、よ?」




 試しにそう言ってみると、戦士の少年は満面の笑みを浮かべた。


 大正解したリザは、思わぬご褒美に赤面不可避である。




 そんなこんなで堂々とイチャイチャする2人の前に、武器屋の主人がやって来た。


 主人はニヤニヤしつつ、両者を交互に見る。




「よぉリザ、お前んとこの戦士はガキみてぇなヤツだな」


「な、なんだよ急に! 俺のいるところで!」


「……ん」


「って、リザも肯定するなよ!」




 仲間を貶されはしたが、リザは哀しくなかった。


 どちらかというと、そういうアーサーの一面を好いているから、素直に同意したのである。




「しっかしお前ら、最近仲良いよなぁ。ま、なんとなく……分かるけどよぉ?」




 主人は楽し気な2人を見て、からかうような調子で笑う。


 前は2人で店に訪れても、こんな風に和気藹々と装備を選んだりしていなかった。アーサーの情熱がエスカレートして、同伴するリザは少しずつ蚊帳の外になるのが常だった。


 今ではリザとアーサーが一緒に武器を選んでいる。アーサーは自分の装備よりも彼女の装備を優先し、それを気にしている様子はまったくない。




「そんなの別にどうでも良いでしょ? それより、これ高過ぎでしょ」


「おいおい、無茶言うなよ。それ以下じゃ売れねぇっつーの」




 放っておけば勝手に装備を揃え、勝手に会計を済ませ、平気な顔で「帰ろうか!」と言う。


 アーサーはそんな男であったはずで、リザはそれを重々理解していたはずで。


 そんな面影は、完膚なきまでに消滅している。経過はともかく、互いの関係に大きな変化があったのは、もはや傍目にも容易に分かった。




「な、な、リザ! これなんか凄いと思わないか? ほら、この鎧の胸板んとこ! これ、クマに見えたり――」


「えっ?リ、リアルなのはちょっと」


「え? あ、そうだよなぁ……カッコいいかと思ってさ」


「あっ……う、ううん、冗談よ! 戦士らしくて強そうだし、それ付けて戦うアーサーが見たいなぁ~」


「そ、そう!? それじゃ買っちゃおう! よしっ」




 リザは武器屋に興味はなかった。装備にだって、装飾的な価値は特別に求めていない。


 ただ、武器や防具に関わる時の、アーサーの無邪気な顔が好きなのだ。


 そんな彼を見られるだけで、少女は幸せだった。




「この防具で、俺はリザを守ってみせるっ! キリッ」


「ふふっ! 頼りにしてるからね、アーサー」


「おう! 任せてくれよ!」




 ドンと胸を叩く少年は、少しだけ表情を強張らせている。


 彼にとって、もう装備はただの嗜好品などではない。好きな人を守るべき時に、勇気となってくれる物だ。


 いつまでもずっと、彼女が傍で笑っていてくれるように。


 彼の握る剣は、身に着ける鎧は、大切な人を守り抜くための意志である。




「これからずっと、俺は君を守り続けるから……」




 決意を呟いて、腹を据える。


 小さく首を傾げて微笑む少女を、彼は優しく見つめた。


 アーサーは、リザのことが――

どうもありがとうございました。完結したらどうしよう?なんて、以前から考えていました。でも、そんなに良いあとがきなぞ思いつかんし、もう普通に完結させてください。


読んでもらえてるのが嬉しくて、でも結構やぶれかぶれで書いてるから申し訳ないような……でもでも、なんだかんだ楽しかったし、まあでも……幸せならokです!みたいな感じで、ザ・エンドってねって感じで、完結できたのが夢のようです!ああ!


評価・ブクマ(僕は完結作品にブクマしないけど)・感想など、お待ちしておりますのでっ、あと、ブクマ外さないでくれると嬉しいでーすっ!


ではではgood bye. mata dokokade aimasyou.

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