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色無き王~十二の色~  作者: Riviy
第二部
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第二十八色 魔女巫女と賢者コンビ



空中に身を投げ出したグリフレットはサグラモールの片手を掴むと自身の方へ引き寄せ、腕に入れると横抱きにする。同時に着地し、援護しようと云うことだろう。まさかの気遣いにサグラモールは軽く頬を染めるが次の瞬間、その照れと言うか恥ずかしさが一気に四散する。空中でグリフレットが魔物に向かって蹴りを放ったのだ。突然の強烈な蹴りに魔物は大きく後方に仰け反り、自分の背後に隠れていたもう一体の魔物を露にする。そちらはアーサーとルシィに任せてグリフレットは一度着地するがすぐさま足首を捻り、跳躍すると仰け反った魔物に続けて蹴りを放った。一気に回転して吹っ飛ぶ魔物を空中を滑るようにして追いかけ、手前でサグラモールを下ろすと二人して土煙を上げて身動きを取ろうとする魔物の動向を伺う。上からでも見えたように巨大な体格は不気味なまでに白い色をし、その背には剣の形をした翼が無数にも生えている。体は二足歩行の狼だが見る限り爪は鋭くない。そう思っていると後方のなにかを蹴って魔物が翼もはためかせて速度を上げながら二人に向かって接近する。が、グリフレットは片足を大きく振り上げ、一気に迫った魔物に踵落としをタイミング良く食らわせる。ドゴン!と敵が地面に衝撃に食い込む。かと思いきや素早い動きでその一撃を間一髪でかわすと先にサグラモールを殺ろうと云う魂胆か、彼女の背後に回り込もうとする。だが、回り込んできた敵にサグラモールは瞬時に気づくと片手を前に突き出した。


「〈炎よ燃え上がれ(ファイアー)〉!」


サグラモールの手からまるで乱射されるかのように幾つもの炎が放たれ、魔物を襲う。魔物は鋭く尖らせた爪でその炎を切断していくがサグラモールの放った魔物は特性なのか、切った炎の破片が魔物の腕に張り付き、ジリジリと内部から燃やしていく。火傷付きの攻撃に魔物が慌てたようにステップを踏むとサグラモールはしてやったりとニヤニヤと笑う。そうしてクルリと回り、一旦撤退を考える魔物に向かって追撃を放つ。


「〈大地の怒り(アース・ダイ)〉!」


突き上げた手を勢いよく振り下ろせば、そこから地面が地響きを伴ってひび割れを起こし、魔物の足を奈落の底へ突き落とす。サグラモールが片手で腰から式を一枚引き抜くと口元に寄せて口づけするように触れる。とそれを先程とはうって変わって簡単に優しく手を離せば、式は亀裂を伝って滑るように魔物に接近し、下から変化した剣を突き上げる。が、一瞬速かったのは魔物だったらしくその一撃は爪によってバラバラに切断されてしまった。どうだと言わんばかりに魔物がドロリとした瞳をサグラモールに向ける。ムッとしつつサグラモールが片手をバッと突き上げれば、魔物の足元からサグラモールの動作を真似たように大きな尖った岩の塊が魔物に向かって突き上げられる。顎を抉るような攻撃は魔物が少し左にずれたことで背後の剣の翼に当たって儚く砕け散る。途端、魔物が地面を蹴り上げ大きく跳躍し、サグラモールに一気に迫った。足に風属性の〈速度上昇(スピード・アップ)〉をかけて逃げようとするが相手の方が速すぎて逃げきれない!近距離ではサグラモールに為すすべはない。どうする?とそこでサグラモールは魔物の剣の翼越しにグリフレットが接近していることに気がついた。だが、サグラモールが見る限り、グリフレットは補助系の魔法などはかけていない。どうするつもりだ?一応で右手に次なる魔法を、左手に式を構える。その時、


「〈武器装備セット〉」


呟いたグリフレットの片手に先程サグラモールが放った岩の塊が包み込み、そこからなにかを形作っていく。それはサグラモールには見慣れた薙刀だった。グリフレットはその薙刀を手に低く構えると魔物の腰辺りを狙って振り回す。だがその攻撃は剣の翼によって無情にも防がれてしまう。そしてグリフレットの存在を教えることになってしまった。サグラモールから視線をグリフレットにグルンッと向けた魔物はその場で半回転すると剣の翼をサグラモールに突き刺すように、グリフレットに二つの爪を横に切り裂くようにして振り回す。一歩、対応が遅れてしまい、サグラモールの胸元辺りに浅い二線が刻まれる。しかし、その勢いも利用してサグラモールは後方にステップを踏む。一方、爪攻撃を受けたグリフレットは薙刀で辛うじて防いだが次々にやってくる攻撃に防御しか出来やしない。だが魔物の攻撃の隙をつき、横にしていた薙刀を回し、敵を弾く。と薙刀を突き刺す。肩に突き刺さった切っ先を気にせず、魔物が爪を振り下ろそうとする。


「〈水の舞は(ウォーター・)全てを魅了する(ヴィールア)〉!」


薙刀に水の舞いを付与せさ、攻撃力を上げると薙刀を容赦なく抜き放ち、振り下ろされかけていた爪に振り回す。美しくも幻想的な水の舞いは螺旋を描きながら魔物の腕を包み込む。チクチクとした持続する地味な痛みと共にサグラモールが付与した火傷にも水が付着し、ジュウと嫌な音と痛みを魔物に与える。焦げ臭い匂いが周囲を支配する。地響きのような悲鳴を上げる魔物にグリフレットは容赦なく薙刀を振り切り、片腕を切り飛ばす。悲鳴が耳元で響き、グリフレットは思わず身を捩った。と次の瞬間、グリフレットは片腕に走った痛みに顔を歪めた。何事かと薙刀を振り切って一旦撤退すれば、片腕には一線刻まれており、残った片腕の爪で攻撃したと云うことが分かった。グリフレットは小さく苦笑しながら薙刀に纏う水を片手をかざして消すと再び構える。


「補助系は良いけど、ちょっといらなかったかな。ま、でも良いか。〈雪よ降れ白き夢を(スノー・)叶えておくれ(ホワイト)〉」


スッと顔を上げたグリフレットの視界に剣の翼を広げる魔物が接近する。その翼に向かって薙刀の切っ先を向ければ、白くも儚い雪がグリフレットの背後に何処からともなく降り積もり人の形を作り出す。グリフレットが大きく跳躍すれば魔法の白くも美しい巨大な人も動き出すと魔物の前に立ちはだかる。巨大な拳を振り上げ、魔物に向かって振り下ろすが、魔物の鋭い一太刀で魔法が人型を作って攻撃する間もなく破壊されてしまう。まだ固まっていなかったのかそれとも敵が強かったのか。魔物は砕けた雪を翼の風で巻き上げると逆にグリフレットが作り上げたかった巨大な攻撃手段を作り出す。こりゃヤバい。グリフレットは薙刀を構え直し、雪の巨人の胴体を一刀両断するがサラサラと云った感触に手応えを感じない。と魔物が白い土煙内から爪を切り裂くようにして攻撃してくる。間一髪でその一撃を薙刀で防ぐが、突然のことに上手く対応できず、動きが鈍ってしまった。その時、グリフレットの視界に白い剣が見えた。


「(っ、やば)」

「〈火の精霊(サラマンダー)〉!」


しかしその前に炎を纏った男性が現れたかと思うと仁王立ちのみで白い剣を打ち消した。どうやら雪だったらしい。悔しそうにする魔物を大きく弾き、回し蹴りをバランスの悪い片方に放てばたまったもんじゃないと云うように魔物は撤退を余儀なくされる。そのあとを執拗に追いかけようとするが、やめた。その理由としては撤退した魔物が背後の剣のような翼をはためかせていたからだ。バッと剣山のように広がる翼に誰が危険ではないと思えようか。逆に取り込まれてしまった雪の魔法は消えたので良しとする。があの剣山のような翼の攻撃は何が来ても武器で防ぎる自信はない。攻撃体勢に入る魔物に〈火の精霊(サラマンダー)〉が炎の燃え盛る拳を振り下ろしているが剣の翼が全てを受け流し防いでしまっている。〈火の大精霊(サラマンダー)〉が拳を振り回すが翼がまるで腕のように旋回し、切り落とされてしまう。それでも〈火の精霊(サラマンダー)〉はそれでも翼を切り落とそうとしているが相性が悪いのか、こちらが傷つく一方だ。


「〈火の精霊(サラマンダー)〉もう良い!下がって休むんじゃ!」


圧倒的不利にサグラモールが叫べば、〈火の精霊(サラマンダー)〉は申し訳なさそうに彼女に頭を下げ、魔物に切断されて消えた。サグラモールはクッと悲しげで悔しげに顔を歪めるとグリフレットと合流する。火傷や火傷を抉るような水は胴体には効くのに翼には効かない。つまり、胴体と翼で属性が異なっている。嗚呼、ならば。そう考えた二人に魔物が翼の剣を広げ、腕を振れば幾数もの剣が勢いよく二人を狙って放たれる。


「〈光よ我らを守れ(ライト・ウォール)〉!」

「〈闇よ我らを隠せ(ダーク・ウォール)〉!」


誰と云うわけもなく二人が同時に叫び、サグラモールは片手を、グリフレットは薙刀を振り回す。と二色の粒子が壁となって剣のつぶてを防ぐ。パキパキとバリア状の二色の、混ざり合い互いを打ち消すことなく調和した粒子を打ち砕こうと剣が勢いをつけて何度も攻撃してくる。魔物は翼である剣を展開中は動けないのか、仁王立ちしている。と、粒子が突然、二人の目の前に迫った。どうやら剣の勢いに押されてしまったらしく、僅かな隙間から剣が風のように侵入し、グリフレットの頭を狙って切りつける。紙一重でかわそうとするが足を挫いてしまい、髪の毛と血が弾け飛ぶ。手首の上で薙刀を弄び、剣を弾けば、二色の粒子を伴って他の剣の波に逆らって吹き飛ばして行く。魔物がそれに一瞬慌てたように見えたがすぐさま攻撃体勢に入る。魔物に視線と警戒を向けながらサグラモールはグリフレットに駆け寄る。


「師匠!大丈夫かのぅ?!」

「なんとか……っ!」


サグラモールはグリフレットの手から溢れそうになる血に一瞬血の気が引いた。侵入者はこめかみをかすったらしく、こめかみを押さえるグリフレットの片手は軽く血に濡れていた。それに改めて戦場だとグリフレットもサグラモールも実感した。嗚呼、だから。


「サグラモール。魔物あいつの翼」

「嗚呼、分かっておる」

「「もぐ」」


パチン、と音がしたのは、その目を開けたのはどちらだっただろうか。バッと立ち上がり、攻撃体勢を取る魔物に向かってグリフレットが跳躍する。魔物も大きく片腕を振り回しながら両者は勢いよく衝撃波ももろともせずに相手に攻撃する。蹴りを放ち、魔物が一旦撤退するその隙をグリフレットは逃す気はなかった。片眼鏡モノクル越しに魔物の翼が再び開くのが見えた。嗚呼、だから、乗ってあげようじゃないか。ニィと口角を上げて笑えば、グリフレットは懐に一気に迫る。バサッと魔物がグリフレットを受け止めるかのように剣の翼を広げ、その切っ先を向けながら薙刀の切っ先を爪で掴む。グリフレットの首筋に添えられた無数の剣先が彼の首を


「さて、妾の番じゃ」


取るはずはなかった。スッと突然しゃがんだグリフレットの後方から現れたのは片手を掲げたサグラモール。掲げた指先にまるで小鳥のように止まった黒い粒子。その粒子は魔物が大きく濁った目を見開いた瞬間、大きく弾け飛んだ。


「〈暗闇より出でし刃は(ダークサイ)死をもたらす物なりて(ド・デス)〉!」


弾け飛んだ粒子は見えない刃となり殺気だけを伴って魔物を優しく、そう恐ろしいほど優しく背後から包み込む。魔物が感じるはずもない恐怖が魔物を包み込み、その異様なまでの白さを持った首筋に手を添える。と次の瞬間、魔物の背後に展開されていた剣の翼がバラバラと甲高い音を立てながら破壊され、翼としての機能を失っていく。魔物の背後を包むようにあったのは暗闇が生み出した透明な刃。いや、刃と云う名の風刃が大きく両腕を広げ、魔物の翼を引き裂いたのだ。魔物がバッと爪を振るがもう遅い。すでにグリフレットは魔物の一番近い懐の中だ。


「まだまだぁ!〈闇属性攻撃力上昇パワーアップ・ダークタイプ〉!」


後方でサグラモールが叫ぶ。彼女の手から放たれた黒い粒子が黒い靄となりグリフレットの薙刀を包み込む。それはまるで鋭い刃物のように尖り、二重の殺傷力を持って魔物に襲いかかる。懐に潜り込んだグリフレットは薙刀を振り回し、振り上げかけた敵の残りの腕を切り下ろす。とそれでも突進してこようとする魔物の胸元に足をかけ、空中で一回転しながら薙刀を振り回し、顔も胴体も真っ二つに切断する。逆さになった状態でグリフレットがニヤリと笑う。


「〈大爆破バクラーン〉」


バゴンッッ!!そんな破裂音を響かせて魔物は四散した。着地し、グリフレットは粉々になった魔物の残骸を一瞥するといつの間にか隣にいたサグラモールを振り返った。


「やはり、グリフレット(師匠)は師匠じゃのぅ。さすがじゃ」

「サグラモールこそ、お見事」


そうして互いの戦闘を称え合い、次なる獲物に向けて駆け出した。

今日は二個やりますねーコンビ戦ですので!

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