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色無き王~十二の色~  作者: Riviy
第二部
18/130

第十七色 銀の魔法


アーサーと相手数人が跳躍し、攻撃を加えては防ぐ戦闘が始まる。アーサーは十二人中の半分を引き連れたようで、こちらにゆっくりとやってくるのは残りの六人だ。明らかに魔法使用者が多い気がしてルシィはジリッと足を動かした。その音が相手に聞こえたらしく、相手の一人が巨大な、何処から出したかも分からない武器を容赦なく壁を抉るように振り回す。それを視界に納めたルシィは慌てて低い姿勢で飛び退いた。途端に先程まで頭があった場所で弾け飛ぶ壁だった破片。その破片から逃れつつ、立ち上がれば、ようやっとルシィの姿を認識した相手六人がニヤニヤと笑って立っていた。武器を持っていないからすぐに片がつくとでも思っているのだろうか。哀れ、それと侮辱された微かな怒り。ルシィはニッコリと彼らに笑い返す。それに彼らは降参とも取らず、別の武器を持った相手が駆け出す。それと同時にルシィは壁を指先で軽くなぞり、呟く。


「〈雷よ落ちろ(サンダー)〉」


魔法使用者が慌ててももう遅い。ルシィの指先から放たれた雷は壁を伝って攻撃しようとしていた相手へとまるで波を表すように接近し、壁と接触している武器から相手を感電させる。訓練所での戦闘とは違い、威力は下げていない。気絶が目的だし。バチンッ!と相手の体から火花が散ると痙攣し、倒れてしまった。小さく黒い煙を上げる仲間に残り五人は一瞬驚愕で顔をしかめたがすぐに濁り淀んだ瞳でルシィを見る。


「やっぱり一人じゃなかったか!」

「はい、もう一人は私です。彼女に用がありますので洗脳状態の貴方達にはご退場願います」

「戯れ言を!」


ブンッと大きく振り回されたのは先程壁をも粉砕した相手の武器。どうやらモーニングスターのようでルシィの頭のみを狙って振り回される。ルシィは片足で壁を蹴り、反対側に跳躍すれば魔法が飛んで来る。咄嗟に壁に手をつき、かわすと目の前に立つ魔法を放った相手の脇を通り抜け背後に素早く回ると低い姿勢のまま片足を振り上げ、回し蹴りをその無防備にも似た背中に放つ。背中に衝撃を食らった相手は前のめりになり、床にあわや顔から突っ込みそうになるが容赦なく追撃として足を刈り、倒れ込ませる。


「〈幻の羊の子守唄(スリーパー・シープ)〉」


倒れ込ませた相手に想属性の魔法を放ち、眠りに誘う。まるで眠るように心地よい夢へと旅立った相手はドサッと倒れ、豪快な寝息を立てながら眠り始める。これであと四人。「あんの馬鹿っ!」と叫ぶのは杖を持った一人。同じ魔法を使うようだ。が、ルシィは背後に感じた気配にその相手から視線を外し、高くも低くもない全然見えない天井に向かって跳躍する。その瞬間、床にガガガッと亀裂が走る。なんだと目を丸くしながら着地すれば、目の前の光景にまた目を丸くする。モーニングスター攻撃である。持っている空いての腕力が凄いのか武器が凄いのか、もうわけわからん。目が思わず遠くなるルシィを横目にモーニングスターはルシィを狙って右へ左へと振り回される。それら一つ一つを丁寧にかわしていくが相手に近づけやしない。残りの三人はモーニングスターの猛攻撃に巻き込まれたくないのか、攻撃に参加しては来ない。まぁ、魔法は来るが。ルシィは一瞬、相手の動きを見るとモーニングスターを大きく振りかぶった瞬間を捉え、相手の懐に迫り込む。威力は低いと分かっていつつも腹に拳を叩き込む。微かに体を折り曲げただけで相手は倒れさえしなかったが、モーニングスターを引き寄せるよりも早く、ルシィにお返しだと言わんばかりに拳を振った。片手で辛うじて防ぐが痺れるような痛みにルシィの動きが止まる。しかしその痛みを我慢してルシィは相手の脇を通り抜け呆然と立ち尽くしていた相手に攻撃する。バッと蹴りを放つが慣れていない蹴りは簡単にかわされてしまい、逆に足を捕らえられてしまい、ダンッと床に叩きつけられてしまう。


「いっ……!?」


床に叩きつけられた衝撃で頭を打ってしまったらしい、軽くクラクラする。それと共に先程盾にした片腕に響く痛み。横目で確認すると相手はルシィを押し倒し、その片腕を捻り上げているようだ。しかも結構な力であり、共にいる三人は身動きを失ったルシィに攻撃しようと杖を振り上げている。鈍い痛みを訴える片腕から意識を外し、ルシィは背中を仰け反ると足を回し押さえつけている相手を弾く。数歩後退した相手含め三人に向けて体勢を立て直しつつ唱える。しかし、相手も馬鹿じゃない。ルシィが魔法を唱えるよりも速くナイフを持った相手がルシィの懐に潜り込み、目を狙ってナイフを振り回す。首を傾げる要領でかわすが頬に一線刻まれてしまう。が、ルシィもそれで終わるわけではない。


「〈地爆風アース・エクスプローション〉!」

「うがっ!?」


懐に潜り込んで来た相手の目の前で地、泥のようなものが爆風を巻き上げ、顔に付着する。突然見えなくなった視界に恐怖で喚く相手の首筋に手刀を叩き込み、気絶させる。残り三人。倒れた仲間を盾に別の相手がルシィに棒状の物を振るう。ガッと壁に棒状の切っ先が突き刺さり、そのまま横に振り回す。しゃがんでかわすがその片足に魔法が突き刺さる。振り下ろされる武器を片手で間一髪で掴み、突っ張り返す。壁を杖代わりにして突っ返した棒状の武器を足で蹴り上げる。そうして痛みから逃れるように片足から魔法で作られたナイフを抜き放ち、一気に魔法を放った相手にナイフを床に刻み付けながら接近する。怪我をしているのに素早い動きに相手は驚いたように片足を一歩後方に引きかけた。がルシィは敢えて痛む体を引きずるようにして踏み込む。踏み込みながら片足に軽く回復魔法をかけ痛みを軽減させると膝蹴りをお見舞いする。前のめりになった相手の背中に肘を落とし、後方からやってくる棒状の武器を持った相手の攻撃に気付き、床を蹴って跳躍し、目の前の相手の背中を足場に一回転。突然消えたルシィに驚く相手だったがルシィに向けた攻撃したためにすぐに方向転換出来ずに、味方に最期の一撃を加えて気絶させてしまう。あと二人。「やばっ」と叫んでももう遅い。軽く息を吐きつつ着地したルシィは蹴りを放とうとしたが、瞬時に相手に気づかれてしまい、武器のみを振り回されてしまう。辛うじてかわすが、脇腹に突きつけられたようで痛みが走る。慌てて撤退すれば、相手は振り返りルシィを追ってくる。またルシィの背後からはモーニングスター持ちの相手が迫る。挟まれた、万事休す。どうする?廊下になった此処では逃げ道はあまりない。部屋に入れば他六人と戦っているアーサーの邪魔になる可能性がある。嗚呼、ならばやることは一つ!


「では、行きますか」

「……は?」


唖然とする目の前の相手がスローモーションに見える。モーニングスター持ちの相手を一瞥すれば、驚愕したように表情を歪めていた。けれど、遅い。


「〈速度上昇(スピード・アップ)〉」


足に魔法をかけ、一踏みで目の前の相手に踏み込むと胸元に手を当て、スローモーションに見える反撃を見つつ、ルシィは呟くように言う。


「〈水よ沸き上がれ(ウォーター)〉」


ルシィが手を当てた胸元から水が噴水のように溢れ出し、相手の目を覆い尽くしていく。片手に纏わせた水を相手の顎目掛けて突き上げ、水を使って意識を奪う。ズルズルと壁に寄りかかりながら倒れ行く相手の顔に纏わせた水を手のひらをかざして回収すれば、ルシィの頭を抉るようにして新たな攻撃が飛んで来る。回し蹴りを壁に放ち、その威力を利用して距離を取れば、いたのはモーニングスター持ちの相手。残りはこの人物だけだ。ルシィは足元に転がっていた先程の相手が持っていた棒状の武器を足で蹴って上げると空中で奪うようにキャッチする。あの相手には魔法はあまり通じないと見て間違いない。なら、物理には物理で対抗するしかない。慣れないながらも武器を構える。模擬戦でやったことを思い出せ。武器を構えたルシィを嘲笑うかのように相手は足に力を入れ、モーニングスターを振り回す。ジャラジャラと響く鉄と鉄がこすれる音が廊下に反響する。耳に響いて何処か痛いのは、この空間のせいだからだろうか。自分に向かって伸びるモーニングスターの鎖部分を狙い、武器を振り下ろす。相手もルシィのやろうとしていることに気付き、瞬時にモーニングスターを引くが鎖が長い分、動作に時間がかかってしまう。そこを突き、ルシィは勢いよく武器を突きつける。カァン!と響く音と衝撃に痛みが走る。がそれを無視して鎖を巻き取ると力を振り絞り、引き上げた。引き返そうとしていた相手とルシィとで力の引き合いとなる。が、当然ながらルシィが引き摺られてしまう。だって力の差が歴然だから。だから、


「〈光よ切り裂け(ライト・ノアス)〉」


パンッと手を叩くように武器を突き下ろせば、ルシィを中心に黄色をした円、光を伴った円が描かれ波紋のように広がる。その波紋は鋭い刃となってモーニングスターもろとも相手に襲いかかり、体を覆い隠し包んでいく。包むと共に光が刃物となり相手の動きを封じていく。だがそれだけで相手の動きが完全に止まるとは思っていない。サッと跳躍し、相手の背後に回り込み、相手がなにかするよりも速く片手に力をためて手刀を落とした。ジャラリ、と鎖がとぐろを巻いて落ちていき、相手が両膝をついて倒れ込む。全員気絶したのを確認し、ホッと胸を撫で下ろした。途端、片足が痛みだして、嗚呼、やっぱりちゃんとかけないと駄目だなぁとルシィは苦笑した。

ルシィも近接攻撃強いです。

次回は金曜日です!

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