異臭
昭和十年秋 東京府 郊外
都心から離れた山中に人口30人ほどの小さな集落があった
集落の中で唯一中学校に通っていた河原木純平十四歳
純平はいつもと変わりない朝を迎え朝食を食べていた
「もうちょっい落ち着いて食えよ」
「いや親父、これくらい急いで食わねーと学校に間に合わねーだて」
純平は朝食を食べ終わると制服に着替えさらに制帽、マントを羽織り下駄を履いた、母が玄関で
「弁当もった?忘れ物ないね」
「大丈夫だって、暗くなるまでには帰ってくるから、行って来ます」
と、言い純平は家を飛び出して行った
家を出て山を降りる道を走っていると近所に住む人たちが挨拶してくれる
「おー、おはよう」
「おはようございます」
「ジュンくん今日も急いでるの」
「これくらい急がないと授業を間に合わないので」
純平は中学に行くため山を降りてていった
それから数時間後、純平は学校の授業を終え帰る頃にはすでに日は落ち暗くなっていた純平は村に帰るため山道を走っていった
「しまった、すっかり暗くなっちまった」
純平の通っている山道から離れた山の麓に刀を持った二人組みがいた
「水城さん、目撃情報があったのはここ周辺です」
「そうか、んで内容は」
「昨夜に、女性が何者かに襲われてると住人から通報がありそこで近くの交番に駐在していた警官二名が捜索に向かいましたが、その警官二名も消息不明、目撃者によりますととても人間とは思えない顔だったとほかにも別の場所でも似たような目撃情報が多数ありますので一体だけではないく複数体いるかと」
「人的被害が大きくなる前に仕留めんとな、よし霞、山に入るぞ、捜索し発見次第始末する」
「はい」
そう言うと二人は山へ入って行った
純平が帰り道の山道を走っていると突然
「う、酷いなんだこの匂い」
純平が気づくとあたり一帯に思わず鼻を覆いたくなるほどの異臭が漂っていた
「あっちからか、この酷い匂いは」
純平が草をかき分けて行くとそこに血まみれの警官二人が倒れていた
「うわあ!」
純平は思わず腰を抜かした
「け、警官?」
どこからか声が聞こえた
「へへへ、やっと一人掛かったぜ」
すると木の上から男が降りて来た
「見張りてっの退屈なもんだ、だがやっと餌が掛かった」
その男の姿は普通の人間と同じだったが腕には奇妙な刺青をしていた
「あんた、何者なんだ」
「これから死ぬ奴に、知る必要はねーだろ!」
その男はいきなり純平に襲いかかった