n%スイッチ
SCPっぽいものが書きたくて
ホラーなの?ミステリーなの?
カテゴリはよくわかりません
n%スイッチ(以下「スイッチ」という。)は、突然何もない所から対象の人物の前に現れます。スイッチの見た目はプラスチック製品で、スカイブルー色の本体と、ショッキングピンク色の1つのボタンと、[n%]と書かれたディスプレイ部からなります。[n%]には、対象者によって変わる数字が入ります。また、スイッチの裏には、英語の大文字と小文字が混ざった状態の対象者の名前が、緑のクレヨンで記入されています。このクレヨンの文字は消えません。現在、スイッチを破壊できるいかなる方法も発見されていません。スイッチは、対象者のみが押すことができます。他の人物が押そうとしてもボタンは沈み込みません。また、スイッチを5万トン油圧プレス機で物理的に押し込もうとしても動かないことから、物理的な方法も効果がないと推測されています。
対象者は、スイッチに対し恐怖心を抱きます。しかし、自らの手でボタンを押さなければならないという強迫観念に駆られた状態にもなります。
一方でスイッチは、対象者が一定の時間押さないと自動的にボタンが押し込まれます。この間隔は対象者によってまちまちです。また、スイッチと対象者が5mより離れると、スイッチは消え、対象者の手元に再出現します。
対象者が、スイッチのボタンを押すと、スイッチは2通りの行動を起こすことが観測されています。1つは、甲高いファンファーレと共に、クラッカーの破裂音と紙テープがスイッチから発射されます。このクラッカーは一般的なパーティーグッズの物と同じであることが確認されています。その後スイッチはいつの間にか消えています。このような動作をしたスイッチの対象者は、全員がハッピーな気分になったと報告しています。もう1つは、けたたましいサイレンと共に、赤い警告灯がボタンの代わりにスイッチ上部に現れます。その後起きる事は対象者によって違いますが、24時間以内に必ず対象者は死亡します。観察対象の失踪以外、今までのケースでは例外はありません。対象者が死亡した後、スイッチは警告音を停止して消え去ります。副作用としてスイッチを押された後、消えるまでの間、周りの人間はスイッチのことを正しく認識ができなくなります。押した本人には効果は無いようです。
このスイッチの存在が最初に確認されたのは、1875年です。それ以降、ごく稀に発見され、報告がなされました。また、自殺者、未解決事件の変死体の状態を考察し、このスイッチの存在を裏付ける案件も少なからず見受けられました。スイッチが出現する場所、時期、人種などに法則性はありません。報告は以上です。
以下、報告書から抜粋
【報告書No.740023-2】
1944年12月24日
アダム・モントモザーラ 男 ゲルマン系 47歳
[n%]77.3
被験者は●●●●病院に入院中の、ステージⅣの癌患者です。癌は肺、膵臓、前立腺に転移しており、回復は難しいと診断されています。被験者は、ある朝起きたらこのスイッチを握っていたと報告しています。被験者は、スイッチを誰よりも大事そうに抱え触らせようとしなかったり、かと思えば、非常に怖がって壁に投げつけたりしました。3日後、癌手術の前日深夜に被験者は「クソッタレ」という罵声と共にスイッチのボタンを押しました。スイッチからはクラッカーの音と紙テープが吹き出し、音を聞きつけた看護師がすぐさま駆けつけると、そこにはベッドの上で踊る被験者がいました。その後の検査で被験者の体から癌が見つからず、カルテの取り違えとして処理され、1週間後には被験者は退院しました。被験者は88歳まで大きな病を患う事なく、老衰で死亡しました。
【報告書No.118-075】
1997年6月21日
ミナ・リズロット 女 黒人 16歳
[n%] 0.88
被験者はアフリカ大陸◼️◼️◼️国の外交官の娘であった。ある日、不審なスイッチを見つけ、ボディーガードに報告した。ボディーガードがそのスイッチを押収しようとしたが、距離を離れると娘の元に戻ってしまうため、やむなく娘を側に連れたまま、父親の元へ報告に行った。父の前で娘は、スイッチを押さなくてはならないと切迫した状態で懇願した。あまりの剣幕に、父はそれを許可した。スイッチを押した後、警告音と共に警告灯が出現した。爆発物を警戒したボディーガードによって、即座に避難しようとしたが、相変わらずスイッチを遠ざけても娘の近くに戻ってきてしまうため、部屋にあった対爆性能付き金庫の中にスイッチを入れ、100mmの鉄板を部屋の間に置き、娘を保護した。その3時間後、父が様子を見に行ったが娘は椅子に座ったまま心肺停止の状態で見つかり、医師によって死亡が確認された。検死の結果、信じられないことに羊水塞栓症による心肺虚脱が原因と結論付けられた。また、娘は妊娠していたが、妊娠週数3周目であった。後の調査で、ボディーガードが肉体関係にあった事を認めているが、妊娠していることは知らなかったという。後に、この年の◼️◼️◼️国の妊婦死亡率の数値が0.88%であることが判明した。
【報告書No.2468-1192】
1973年5月11日
サラ・マーナ 女 26歳
[n%]99.9991
サラの日記 5/11
今日はサイアクな1日だ。せっかく楽しみにしてた旅行なのに、突然現れた変なスイッチのせいで手荷物検査場で引っかかって大騒ぎ。X線で見ても中身が透けないから、中にヤクでも入ってるんじゃ無いかって麻薬検査員まで飛んできて超サイアク。最近は手ェ出してないっつーの。結局ハンマーで叩いても壊れなくて預かりになったけど、おかげで私は空港の簡易取調室に缶詰状態。乗る予定の飛行機だってもう飛んじゃったし、口の臭いオッサンに何時間も尋問されたりして超超サイアク。もう寝るし。
5/12
なんか外が騒がしい。
エンジントラブルとか、墜落とかいう言葉が聞こえてきた。どうも、私が乗る予定だった飛行機が墜落して全員あの世にフライトしたらしい。私ってもしかして超ラッキー?
って思っのに、昨日よりもっと怖い顔した警官のオッサンが出てきて、飛行機事故に関与してるんじゃないかってすごい剣幕で怒鳴ってきた。昨日のスイッチも持ってきてて、なんだこれはって。知らないし。100回くらい知らないって言った時だったかな、オッサンが持ってたスイッチのボタンが勝手にカチってなったと思ったら、なんかクラッカーの音と紙テープがバーって出てきて、よくわかんないけど私はその時すごいハッピーな気分になってオッサンに抱きついちゃった!
結局、私は無罪が認められて解放されたけど、奇跡の生還者とか言われてテレビに出たりなんかして超タイヘン。もう寝るし。
ーー「おそらくだが、我々の予測が当たっていれば、こんなラッキーガールもいるということだ」
ある機関の研究者
【報告書No.◼️◼️◼️◼️◼️◼️】
◼️◼️◼️◼️◼️・◼️◼️◼️ 男 アジア系 31歳
[n%]100
監視カメラ映像・録音ログ
72211:6:00:21:48 「あの忌々しいスイッチを俺の見えない所に置いてくれ…たのむよ なぁ、カメラから見てるんだろ?」
72211:91:03:02「いつあのボタンは動くんだ?それまで俺はこの何もない部屋でガラス越しにスイッチと一緒に過ごさなきゃならないのか?」
◼️◼️◼️:04:01:89「頼む!あのスイッチをくれ!もう限界だ!」
被験者が暴れ始めた為麻酔ガスを注入。以降、被験者は度々自殺を図る為に拘束具を着せた上で観察が決定した。
記録ログ
2025:3:85:41
博士同士の雑談記録から抜粋
「我々が手に入れたのは、安全装置か、それとも時限爆弾か?どっちなんだ?」
「どちらも正解であって、どちらも間違いだよ。これは、人間の理解の範疇では測れない。」
「じゃあなんでそんなモン抱え込んでるんだ?」
「我々にできることは、記録することだけなんだ。」